コチニール色素は、サボテンにつく虫から作る赤い色素です。
「虫から作った色素が食べ物に入っている」という話を耳にして、どの食品に使われているのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
- どの食品に入っているのか知りたい
- 子どもの好きなお菓子に入っていないか心配
- 原材料表示のどこを見ればよいか分からない
- アレルギーが起きないか不安
そこで、ハム・かまぼこ・お菓子・飲料の大手メーカーの公式サイトで、原材料表示を1つずつ確かめました。
結果は、よく出回っている一覧とはかなり違います。今コチニール色素が見つかるのは、ハム・ウインナーと赤いかまぼこが中心でした。
いちごのお菓子やジュースに入っているイメージでした。
大手のいちご菓子は、ほとんどが別の赤い色素に切り替え済みです。
- コチニール色素を使っている商品の実名一覧
- 同じジャンルでも使っていない商品
- 一覧から外れた食品とその経緯
- なぜ使われるのかと発がん性の評価
- アレルギーが起きやすい人
使う資料は各メーカーの公式表示と、消費者庁・食品安全委員会・国際機関の評価です。
まずは、裏面でどんな名前で書かれているかから見ていきましょう。
コチニール色素とは


コチニール色素は、中南米原産の虫「エンジムシ(コチニールカイガラムシ)」から取り出す赤色の着色料です。
国の分類では「既存添加物」にあたり、長く使われてきた実績をもとに使用が認められている添加物の1つになります。
一覧を見る前に、原料と表示の名前を押さえておくと、スーパーで裏面を見たときに迷いません。
虫そのものが入っているわけではないんですよね。
ええ。乾かした虫から、赤い成分だけを取り出して精製したものです。
原料はエンジムシ
食品安全委員会によると、コチニール色素はサボテンなどに寄生するエンジムシのメスを乾かし、そこから抽出して作ります。
赤い色のもとは「カルミン酸」という成分です。色素の正体は虫の体に含まれる赤い成分で、虫の形が残っているわけではありません。
酸性ではオレンジ色、中性に近づくと赤から紫がかった色になり、熱や光で色があせにくいのも特徴です。


表示の名前は4通り
原材料表示では、同じ色素が4つの名前で書かれます。


消費者庁の注意喚起でも、食品での表示例としてこの4つが挙げられていました。
「色素」の文字が入っていれば「着色料」を省略できるため、「コチニール色素」「カルミン酸色素」だけで書かれている商品もあります。
海外の食品では、EUは「E120」という番号、米国はFDAの規則で「cochineal extract」または「carmine」と書かれます。輸入菓子を買うときは、この表記を探してください。
名前が違うだけで、中身は同じなんですね。
そうです。4つとも覚えておけば見落としません。
化粧品のカルミンとの違い
口紅やアイシャドウの成分表示では「カルミン」という名前が出てきます。
カルミンは、カルミン酸をアルミニウムなどと結びつけて水に溶けにくくしたものです。化粧品や医薬品では使われていますが、日本の食品添加物としては認められていません。
食品の裏面に「カルミン」とだけ書かれることはない、と覚えておけば十分です。


「天然」とは書けない決まり
コチニール色素は虫から作るため、いわゆる天然由来の色素にあたります。
ただし消費者庁の通知では、添加物の表示に「天然」やそれに似た言葉を使うことは認められていません。
パッケージに「合成着色料不使用」と書かれた商品でも、コチニール色素が入っていることはありえます。「合成着色料不使用」はコチニール不使用という意味ではないので、裏面の確認が欠かせません。
合成の色素を避けた商品ほど、天然の赤としてコチニールが選ばれやすいわけです。
コチニール色素が使われる理由
わざわざ虫由来の色素をなぜ使うのか、疑問に思う方も多いでしょう。
メーカーは商品ごとの理由を公表していないため、ここでは色素の性質と国の決まりから言えることを挙げます。
- 熱や光で色があせにくい
- 合成着色料不使用と両立できる
- 使える食品の範囲が合成の赤より広い
ハムやかまぼこは加熱して作り、明るい売り場に並ぶ食品です。加熱と光に強い赤が求められる場面で使われているのは、この性質と合っています。
一方で、味や日持ちには関係しません。使う目的は色だけです。
なんとなく入っているわけではないんですね。
ええ。ただ目的が色だけなので、使っていない商品を選んでも味は変わりません。
コチニール色素の食品一覧【ハム・ウインナー】


今回いちばん多く見つかったのが、ハム・ベーコン・ウインナーなどの食肉加工品でした。
ハムのピンク色やウインナーの赤い皮は、発色剤だけでなく着色料で色を整えていることがあります。
プリマハムでは20品以上、伊藤ハムでも約10品でコチニール色素の表記がありました。代表的な商品を並べます。
朝ごはんのハムにも入っているんですか。
ええ。ここが一覧のいちばんの山場です。
ハム・ベーコン
| 商品名 | メーカー | 表示の書き方 |
|---|---|---|
| 朝のフレッシュ ロースハム | 伊藤ハム | コチニール色素 |
| スマイルUP!ロースハム | プリマハム | カルミン酸色素 |
| 厚切りベーコン | プリマハム | カルミン酸色素 |
| 朝のグルメファミリー ボロニアソーセージ | 伊藤ハム | 着色料(コチニール、クチナシ) |
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| 伊藤ハム 朝のフレッシュ ロースハム | コチニール色素 |
| プリマハム スマイルUP!ロースハム | カルミン酸色素 |
| プリマハム 厚切りベーコン | カルミン酸色素 |
| 伊藤ハム ボロニアソーセージ | 着色料(コチニール、クチナシ) |
ロースハムやベーコンのように、見た目で「着色している」と気づきにくい商品に使われているのが特徴です。
ハムのピンク色は肉そのものの色だと思われがちですが、色味をそろえるために色素を足している商品があるということでした。
ウインナー
| 商品名 | メーカー | 表示の書き方 |
|---|---|---|
| タコさんウインナー | プリマハム | 着色料(カルミン酸、アナトー) |
| お徳用 赤ウインナー | プリマハム | 着色料(カルミン酸、アナトー) |
| おべんとうの赤ウインナー | 丸大食品 | 着色料(アナトー、カルミン酸) |
| ポールウインナー | 伊藤ハム | コチニール色素 |
| 味わい造り あらびきウインナー | プリマハム | 着色料(カラメル、クチナシ、カルミン酸) |
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| プリマハム タコさんウインナー | 着色料(カルミン酸、アナトー) |
| プリマハム お徳用 赤ウインナー | 着色料(カルミン酸、アナトー) |
| 丸大食品 おべんとうの赤ウインナー | 着色料(アナトー、カルミン酸) |
| 伊藤ハム ポールウインナー | コチニール色素 |
| プリマハム あらびきウインナー | 着色料(カラメル、クチナシ、カルミン酸) |
お弁当の定番である赤いウインナーは、アナトー(ベニノキの種から取る橙色の色素)と組み合わせて使われていました。
子どもが喜ぶタコさんウインナーの赤は、コチニールとアナトーの2つで作った色です。
お弁当に毎日入れていました…。
使ってはいけないものではありません。量の話は6章でします。
同じメーカーでも商品で違う
ここで押さえておきたいのは、同じメーカーの中でも商品によって色素が違うことです。
伊藤ハムの赤ウインナーは「着色料(クチナシ、アナトー)」で、コチニール色素を使っていません。
一方、同じ伊藤ハムのポールウインナーはコチニール色素です。メーカー名で判断せず、商品ごとに裏面を見るしかありません。
なお、成分ラボで調べたマルシンハンバーグは着色料そのものを使っていませんでした。
コチニール色素の食品一覧【かまぼこ・魚】


次に多かったのが、赤いかまぼこなどの水産練り製品です。
コープの商品情報(2,698品)を調べると、コチニール色素の表記があったのは23品で、そのうち22品がかまぼこでした。
紅白かまぼこの「紅」は、ほとんどがこの色素で色を付けています。
お正月のかまぼこですか。
ええ。年末にいちばん口にする機会が増える色素です。
赤いかまぼこ
| 商品名 | メーカー | 表示の書き方 |
|---|---|---|
| 姫かま 紅 | 紀文食品 | 着色料(コチニール) |
| 一正の蒲鉾 赤 | 一正蒲鉾 | 着色料(コチニール) |
| 小田原蒲鉾(赤) | コープ(製造:籠淸) | 着色料(コチニール色素) |
| 小田原御蒲鉾 一本で紅白 | コープ(製造:鈴廣かまぼこ) | 着色料(コチニール色素) |
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| 紀文 姫かま 紅 | 着色料(コチニール) |
| 一正の蒲鉾 赤 | 着色料(コチニール) |
| コープ 小田原蒲鉾(赤) | 着色料(コチニール色素) |
| コープ 一本で紅白 | 着色料(コチニール色素) |
紀文では、キャラクターかまぼこのピンク色の部分にも使われていました。
なお、コチニールが使われているのは赤い部分だけです。紅白セットの白いかまぼこには入っていません。
魚肉ソーセージと桜でんぶ
練り製品以外では、次の2つで確認できました。
- 東洋水産 ソーセージL 4本束:コチニール色素
- ヤマト食品 桜でんぶ:コチニール色素
ただし魚肉ソーセージは、メーカーで分かれます。丸大食品のフィッシュソーセージはクチナシ色素で、コチニールは使っていません。
桜でんぶは、ちらし寿司やお弁当のピンク色です。ひな祭りの季節に口にする機会が増える食品といえます。
カニカマは使っていない
赤い水産加工品の代表であるカニカマも調べましたが、確認した商品はどれもコチニール色素を使っていませんでした。
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| 一正 サラダスティック | 着色料(紅麹) |
| スギヨ 匠のカニカマ | トマト色素、パプリカ色素 |
| カネテツ ほぼカニ | カロチノイド色素 |
同じ赤い練り製品でも、カニカマは紅麹やトマト由来の色素が主流でした。
かまぼこは使っていて、カニカマは使っていないんですね。
ええ。見た目が似ていても、中身の選び方は違っていました。
コチニール色素の食品一覧【飲み物・お菓子】


コチニール色素といえば、いちご味のお菓子やジュースを思い浮かべる方が多いはずです。
ところが大手メーカーの公式サイトを調べると、この分野で見つかった商品はごくわずかでした。
調べたのはロッテ362品、江崎グリコ約469品、ブルボン約279品、カンロ418品、森永乳業約284品です。
あれだけ調べて、ほとんどないんですか。
ええ。見つかったのは乳飲料と、一部の洋菓子だけでした。
いちご系の乳飲料
飲み物で確認できたのは、森永乳業の2品です。
| 商品名 | メーカー | 表示の書き方 |
|---|---|---|
| ピクニック いちごオ・レ | 森永乳業 | カルミン酸色素 |
| マウントレーニア クリーミーとちおとめ苺ラテ | 森永乳業 | カルミン酸色素 |
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| ピクニック いちごオ・レ | カルミン酸色素 |
| マウントレーニア 苺ラテ | カルミン酸色素 |
どちらも「カルミン酸色素」と書かれているため、「コチニール」の文字だけ探すと見落とす例です。
洋菓子と和菓子の一部
お菓子では、ヨックモックのサンク ビジュー(フランボワーズ)が「着色料(コチニール、ラック)」でした。
桜の季節限定のドゥーブル ショコラ オゥ サクラにもコチニール色素が使われています。
ほかに地方の和菓子店のいちごもちでも見つかりました。大手の量産菓子より、贈答用や専門店の菓子に残っている傾向です。
大手のお菓子より、贈答用や専門店のお菓子で見つかるんですね。
大手のいちご味のお菓子は、別の色素で赤を出していました。次の見出しで紹介します。
大手のいちご菓子は別の色素
大手のいちご味のお菓子は、コチニール以外の色素で赤を出していました。
| 商品名 | メーカー | 表示の書き方 |
|---|---|---|
| いちごポッキー | 江崎グリコ | アカビート色素 |
| 明治ストロベリーチョコレート | 明治 | 紅麹色素 |
| ハイチュウ ストロベリー | 森永製菓 | アカキャベツ色素 |
| いちごミルク 190g缶 | サントリー | クチナシ色素 |
| 商品名 | 表示の書き方 |
|---|---|
| グリコ いちごポッキー | アカビート色素 |
| 明治ストロベリーチョコ | 紅麹色素 |
| 森永製菓 ハイチュウ いちご | アカキャベツ色素 |
| サントリー いちごミルク | クチナシ色素 |
いずれもビーツ・紅麹・赤キャベツなど、虫以外の原料から取った赤でした。
グミやキャンディも含め、確認した大手の量産菓子でコチニール色素を使った商品は見つかっていません。着色料全般の見分け方はタフグミの記事でも詳しく扱っています。
子どものお菓子のほうが安心なんて、意外でした。
一般に出回っている一覧は、ここが今と合っていません。
コチニール色素をやめた食品


インターネット上の「コチニール色素の食品一覧」には、今は使われていない商品や分野がよく載っています。
昔の情報がそのまま書き写されてきたためでしょう。
ここでは、切り替わりが確認できた例を並べます。


一覧に載っていても、今は違うことがあるんですね。
ええ。買う前に見るべきは一覧ではなく、手元の裏面です。
スタバは2012年に米国で中止
スターバックスは2012年4月、米国でストロベリー&クリーム フラペチーノなど6品に使っていたコチニール色素をやめると発表しました(NPRの報道)。
菜食主義の人たちからの反発を受けたもので、トマト由来のリコピンに切り替えています。
一方、日本の公式サイトではアレルゲンと栄養成分は公開されていますが、原材料の全文は出ていません。日本の現行メニューで使っているかは公式情報では確認できないというのが正確なところです。
海外では、トマト由来の色素に切り替えた例もあるんですね。
菜食主義の人たちの声を受けての変更でした。
いちごミルクの色素の変更
サントリーの「いちごミルク 190g缶」は、2014年時点のアレルギー情報サイトの記録ではコチニール色素でした。
現在の公式サイトの表示は「クチナシ色素」です。同じ商品名のまま、中身の色素だけ入れ替わることがあると分かる例でしょう。
リキュールのカンパリも、かつてコチニールで色を付けていたことで知られますが、日本で売られている現行品の表示は着色料(赤102、黄5、青1)になっていました。
同じ商品名でも、色素が入れ替わることがあるんですね。
だから、昔の情報ではなく今の表示で確かめることが大切です。
紅しょうがとかき氷シロップ
一覧の定番である紅しょうがとかき氷シロップも、確認した商品ではコチニール色素を使っていませんでした。
- 岩下の紅生姜:野菜色素
- 天長食品 千切り紅しょうが:着色料(赤102)
- 井村屋 こだわりの氷みつ いちご:アカキャベツ色素など
- かき氷シロップの業務用品:赤色2号が中心
どちらも合成の赤色色素か野菜由来の色素が主流です。
一覧をうのみにすると、避ける必要のない商品まで避けることになります。
コチニール色素の発がん性と安全性


次に、発がん性を含めたコチニール色素の安全性です。
国際機関は、毎日一生食べ続けても健康に影響が出ないと考えられる量(1日許容摂取量)を決めています。
その量と、日本人が実際にとっている量を並べると、判断はしやすいはずです。
虫由来と聞くと、やっぱり体に悪そうに感じます。
気持ちは分かります。ただ数字で見ると、印象とはかなり違いますよ。
1日の許容量は体重1kgあたり5mg
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は1982年に、カルミン類の1日許容摂取量を体重1kgあたり5mgと定めました。
欧州食品安全機関(EFSA)も2015年の見直しで、この値を変える理由はないとしています。
体重50kgの人なら、1日250mgまでという計算です。
体重50kgなら、1日250mgまでなんですね。
欧州の見直しでも、この値を変える理由はないとされています。
日本人の摂取量は許容量の130分の1以下


食品安全委員会の資料では、国内の生産量から計算した1人1日あたりの摂取量は1.2〜1.9mgとされています。
体重50kgの人の許容量250mgと比べると、およそ130分の1以下です。
しかもこの推計は色素製品の重さで数えたもので、色素の成分そのものはさらに少なくなります。
毎朝ハムを食べても、そこまで届かないんですね。
ええ。量の面で心配する必要はほぼありません。
発がん性は認められていない
「発がん性があるのでは」という声も見かけるので、ここは評価ごとに確かめます。
| 評価・試験 | 年 | 結論 |
|---|---|---|
| JECFA(FAO/WHO) | 1982年 | 長期試験で発がん性なし、遺伝毒性の証拠なし |
| ラットの二世代試験(カルミン) | 1987年 | 発がん性なし |
| マウスの104週試験(コチニール色素) | 1991年 | 発がん性なし |
| EFSA(欧州食品安全機関) | 2015年 | 遺伝毒性なし、発がん性・生殖への毒性も示されず |
| 評価・試験 | 年 | 結論 |
|---|---|---|
| JECFA | 1982年 | 発がん性なし |
| ラット二世代 | 1987年 | 発がん性なし |
| マウス104週 | 1991年 | 発がん性なし |
| EFSA | 2015年 | 遺伝毒性なし |
マウスの試験は約2年、つまりマウスのほぼ一生にわたって与え続けたものです。それでも発がん性は認められていません。
食品安全委員会の資料には、発がんを後押しする作用はこの試験では評価できないとも書かれていました。「調べた範囲で発がん性は見つかっていない」が正確な言い方になります。
「虫由来だから危ない」というイメージとは違い、毒性の面ではよく調べられた色素といえます。
気にするなら、発がん性よりアレルギーのほうなんですね。
そうです。そこは次の章で詳しく見ます。
合成の赤色より使える食品は広い
着色料には、使ってはいけない食品が決められています。
使用基準では、コチニール色素を含む天然の着色料はこんぶ類・食肉・鮮魚介類・茶・のり類・豆類・野菜・わかめ類の8種類に使えません。
一方、赤色102号などの合成のタール色素は、しょうゆ・みそ・めん類なども加えた19種類に使えないことになっています。
生の肉や魚を色でごまかせないよう、どちらも「素材そのもの」には使えない決まりです。
コチニール色素のアレルギー


量の面で心配がない一方、コチニール色素で本当に注意が必要なのはアレルギーです。
2012年5月、消費者庁はコチニール色素によるアレルギーについて注意喚起を出しました。
ここは「量が少ないから大丈夫」とは言えない部分なので、ていねいに見ていきます。
アレルギーは、少しでも起きるんですか。
ええ。アレルギーは量ではなく、体が反応するかどうかの問題です。
原因は色素ではなくたんぱく質
アレルギーの原因は赤い色素そのものではありません。
厚生労働省の通知によると、原料の虫に由来して色素に残るたんぱく質が原因と考えられています。
日本の規格ではたんぱく質は2.2%以下と決められていますが、ゼロではありません。精製度の高い製品でもアレルギーの報告があるため、体質に合わない人は避けるのが確実です。
精製しても、たんぱく質が少し残ることがあるんですね。
アレルギーのある方は、量にかかわらず避けるのが確実です。
報告された症状と件数
消費者庁の注意喚起では、1960年代から約20の論文で、化粧品や食品によるアナフィラキシーと考えられる例が報告されているとしています。
厚生労働省の部会資料には、国内の食品で起きた2例が載っていました。
- 20代女性:果実酒でアナフィラキシーショック
- 40代女性:清涼飲料水で発疹と血圧低下
症状として多いのは、かゆみ・じんましん・発疹・呼吸困難です。件数は多くないものの、起きたときは重くなりやすいのが特徴です。
化粧品で体が覚えるケース


報告の多くは、成人女性でした。
藤田医科大学とホーユーの学会発表では、2016年以降に登録された16例のうち14例が成人女性で、その14例中10例は化粧品がきっかけと推定されていました。
口紅やアイシャドウで赤い色素に何度もふれるうちに体が覚え、あとから食品で症状が出るという流れです。
お化粧品が入り口になるなんて、知りませんでした。
ここが、ほかの一覧記事ではほとんど触れられていない点です。
気をつけたい人
次に当てはまる方は、コチニール色素の入った食品を避けるか、先に医師に相談してください。
- 赤い口紅やアイシャドウでかぶれたことがある人
- 赤い食品や飲み物でじんましんが出たことがある人
- アナフィラキシーの経験がある人
- 原因の分からない食物アレルギーがある人
食べてすぐにかゆみや息苦しさが出たときは、食べた商品の原材料表示を控えて受診すると、原因を特定しやすくなります。
コチニール色素を避ける方法


アレルギーが心配な方や、虫由来の原料を避けたい方のために、具体的な見分け方と置き換え先をまとめます。
ポイントは、一覧ではなく手元の商品の表示で判断することです。
同じジャンルの中に、コチニールを使っていない商品が必ず見つかります。
全部やめなくても、選び直せばいいんですね。
ええ。今回調べた範囲でも、どのジャンルにも代わりがありました。
裏面は「/」の後ろを見る
原材料表示では、スラッシュ(/)より後ろ、または「添加物」の欄に色素が書かれています。
そこで次の4つの名前がないかを探します。
- コチニール色素
- カルミン酸色素
- 着色料(コチニール)
- 着色料(カルミン酸)
着色料が複数あるときは、かっこの中にまとめて書かれるので、かっこの中まで読んでください。
置き換え先の例
| よく買うもの | 使っていない商品の例 | 使っている色素 |
|---|---|---|
| 赤いウインナー | 伊藤ハム 赤ウインナー | クチナシ、アナトー |
| 魚肉ソーセージ | 丸大食品 フィッシュソーセージ | クチナシ色素 |
| 赤い練り製品 | 一正 サラダスティック | 紅麹 |
| 紅しょうが | 岩下の紅生姜 | 野菜色素 |
| いちご味のお菓子 | グリコ いちごポッキー | アカビート色素 |
| よく買うもの | 置き換え先 |
|---|---|
| 赤いウインナー | 伊藤ハム 赤ウインナー |
| 魚肉ソーセージ | 丸大 フィッシュソーセージ |
| 赤い練り製品 | 一正 サラダスティック |
| 紅しょうが | 岩下の紅生姜 |
| いちご味のお菓子 | グリコ いちごポッキー |
ハムやベーコンは、「着色料不使用」をうたう商品を選ぶのがいちばん確実です。
表示がない場面に注意
包装された商品には原材料表示の義務がありますが、その場で作って売るものには表示がありません。
- お店で焼いたケーキや和菓子
- カフェやレストランのドリンク
- 量り売りのお惣菜
アレルギーがある方は、店員さんに色素の種類を聞くのが確実です。
表示がないことは、入っていないことの証明にはなりません。
コチニール色素のよくある質問


最後に、コチニール色素について多い疑問にまとめて答えます。
いずれも公的機関の資料と各社の公式表示にもとづいた回答です。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
コチニール色素は虫がそのまま入っているのですか
入っていません。乾かしたエンジムシから赤い成分を取り出し、精製したものが色素として使われています。
食品の中に虫の形が残ることはありません。
子どもや妊娠中に食べても大丈夫ですか
1日許容摂取量は体重をもとに決めた値で、子どもや妊娠中の方にも同じ考え方が当てはまります。日本人の推計摂取量は許容量の130分の1以下なので、量の面で心配はほぼありません。
ただしアレルギーの経験がある場合は、量に関係なく避けてください。
紅麹サプリの健康被害と関係はありますか
関係ありません。コチニール色素は虫由来で、紅麹とは原料がまったく別物です。
また国のQ&Aでは、2024年に問題になった紅麹の原材料と、食品添加物の「紅麹色素」も、作り方と目的が違う別のものと説明されています。
スタバの飲み物には今も使われていますか
米国では2012年に使用をやめ、トマト由来のリコピンに切り替えています。
日本の公式サイトは原材料の全文を公開していないため、現行メニューで使っているかどうかは確認できません。気になる方は店舗で聞いてください。
コチニール色素に発がん性はありますか
国際機関(JECFA)と欧州食品安全機関(EFSA)の評価では、発がん性も遺伝毒性も認められていません。マウスに約2年与え続けた試験でも、発がん性は見られませんでした。
注意が必要なのは発がん性ではなく、体質によるアレルギーです。
なぜ合成着色料ではなくコチニール色素を使うのですか
熱や光で色があせにくく、「合成着色料不使用」とうたう商品にも使えるためと考えられます。メーカーは商品ごとの理由を公表していません。
目的は色だけで、味や日持ちには関係しません。
コチニール色素の食品一覧のまとめ


コチニール色素を使っている食品を、各メーカーの公式表示で1つずつ確かめてきました。
一般に出回っている一覧とは、使われている場所がかなり違っていました。
- 今見つかるのはハム・ウインナーと赤いかまぼこが中心
- 大手のいちご菓子は紅麹やアカビートに切り替え済み
- 表示名はコチニール色素・カルミン酸色素など4通り
- 摂取量は1日許容量の130分の1以下
- 注意すべきは量ではなくアレルギー
- 化粧品で体が覚えてから食品で発症する例が多い
いちご菓子を避けても、朝のハムやお弁当のウインナーには入っているというのが今回の結論です。
避けるなら、見るのはお菓子じゃなくてハムなんですね。
そうです。そして多くの人にとっては、避ける必要自体がない量でした。
次にスーパーでハムやかまぼこを手に取ったら、裏面の「/」の後ろを見てみてください。4つの名前のどれかがあるかどうかで、この記事の一覧を自分の買い物に置き換えられます。
アナトーやカラメル色素が入ったお菓子の例として、ジャイアントコーンの記事でも着色料を1つずつ確かめています。
原材料表示でよく見かける成分では、脱脂粉乳の記事もあります。「リンが多くて骨に悪い」という噂を、カルシウムとの割合から確かめました。
お菓子に絞ったコチニール色素のお菓子の記事もあります。コチニール入りのお菓子8品を実名で紹介し、避けて合成の赤色3号に替えると許容量が50分の1になることも比べました。
コチニール色素のほかに虫が原料の添加物があるかは、着色料で虫が原料の種類一覧の記事にまとめました。着色料で虫が原料なのはコチニール色素とラック色素の2つだけですが、ツヤ出しの「光沢剤」は中身が表示されないため見分けられません。
着色料以外の食品添加物では、アラビアガムの安全性も調べています。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの公式表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。着色料の見分け方や、着色料を使っていない加工食品の記事もあわせてどうぞ。














本記事の原材料は、各メーカーが公式サイトで公開している表示を2026年9月に確認したものです。商品のリニューアルで変わることがあるため、購入時はお手元の商品の表示もあわせてご覧ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。アレルギーの症状がある方は医師の指示を優先してください。



