赤いふたの小さなびんでおなじみの、味の素の「ハイミー」。煮物やみそ汁に数ふりするだけで、だしをとったようなコクが出る便利な調味料です。
一方で、「ハイミーは化学調味料のかたまりで体に悪い」「ほんだしのほうが自然で安心」という声を耳にして、使い続けていいのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
- うま味調味料だけでできていて不安
- 味の素と何が違うのか分からない
- ほんだしに替えたほうがいいか迷う
- どのくらい使っていいのか知りたい
そこで、味の素公式の商品情報とお客様相談センターの使用量の目安をもとに、ハイミーと、同じ味の素の「ほんだし」を、汁物4人分(600ml)で並べてみました。
結果、ハイミーを避けてほんだしにすると、だしから入る塩分は5倍以上になることが分かりました。
ほんだしのほうが、体にいいと思っていました……。
うま味調味料の心配と塩分の心配は、分けて考える必要があるんです。数字で順番に確かめていきましょう。
- 原材料と栄養成分
- ほんだしとの比較
- うま味成分の評価
- 使う量の目安
使う数字は、メーカーの公式表示と国や国際機関の資料に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。
ハイミーが体に悪いと言われる理由


ハイミーは、味の素が販売している「うま味だし」です。公式の商品情報では、こんぶ・かつお・しいたけに含まれる3つのうま味成分を配合した調味料と紹介されています。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。うま味調味料への不安と、使う量が分からない心配が混ざっています。
煮物には、いつもハイミーを入れています。
長く使われている調味料だからこそ、心配の中身をはっきりさせておきたいですね。
うま味調味料だけでできている
ハイミーの原材料名は「調味料(アミノ酸等)」の1つだけです。塩や砂糖、かつおぶし粉末などは入っていません。
中身がまるごと食品添加物なので、「添加物のかたまり」と心配されやすいのでしょう。添加物であること自体は事実なので、評価を4章でくわしく確かめます。
全部が添加物と聞くと、ちょっとこわいです。
どんな評価を受けている成分なのかを、国の資料と国際機関の資料で見ていきましょう。
「化学調味料」という呼び名
ハイミーのようなうま味調味料は、「化学調味料」と呼ばれることもあります。ただ、味の素公式のQ&Aによると、原料はさとうきびの糖蜜などで、みそやしょうゆと同じ発酵法で作られています。
呼び名の印象と安全性は別の話です。大事なのは、国や国際機関がどう評価しているかを見ることにあります。
名前の印象だけで、こわがっていたかもしれません。
呼び名より、中身と評価を見るのが大切ですね。
どのくらい使えばいいか分かりにくい
ハイミーは、少しの量でうま味が強く出る調味料です。そのため、「入れすぎると体に悪いのでは」と、使う量に迷う人も多いようです。
参考にした記事では「1日小さじ1杯程度が目安」と書かれていましたが、味の素公式の情報にそうした目安は見当たりませんでした。公式の使用量の目安は、汁物4人分で10ふり程度です。5章でくわしく見ます。
目安があると、安心して使えますね。
公式の数字を見れば、思っているよりずっと少ない量だと分かりますよ。
ハイミーの原材料と栄養成分


ここからは、味の素公式の商品情報で、ハイミーの中身を見ていきます。
結果、4ふり(0.4g)あたりの食塩相当量は0.12gでした。塩は使っていないのに、少しだけ塩分があります。


塩が入っていないのに、塩分があるんですね。
うま味成分にナトリウムが含まれているからなんです。順番に見ていきましょう。
原材料は調味料(アミノ酸等)だけ
| 項目 | ハイミー |
|---|---|
| 原材料名 | 調味料(アミノ酸等) |
| エネルギー | 1.1kcal |
| たんぱく質 | 0.19g |
| 脂質 | 0g |
| 炭水化物 | 0.090g |
| 食塩相当量 | 0.12g |
| アレルギー物質 | ―(表示なし) |
| 内容量 | 65g瓶・35g袋・75g袋 |
ハイミーは、うま味成分だけを混ぜた調味料です。1回に使う量がごくわずかなので、カロリーや糖質はほぼ気にしなくてよい量にとどまります。
うま味成分は92%・4%・4%
| 成分 | ハイミー | 味の素® |
|---|---|---|
| グルタミン酸ナトリウム(こんぶのうま味) | 92% | 97.5% |
| イノシン酸ナトリウム(かつお節のうま味) | 4% | 1.25% |
| グアニル酸ナトリウム(しいたけのうま味) | 4% | 1.25% |
ハイミーと「味の素®」の違いは、成分の割合にあります。ハイミーでは、イノシン酸とグアニル酸の割合が味の素®の約3倍です。
うま味成分は、組み合わせると強く感じられる性質があります。ハイミーは、うま味がより強く出るように配合されていると考えると分かりやすいでしょう。
味の素とハイミーは、割合が違うだけなんですね。
そうなんです。だから、煮物や汁物にはハイミーがすすめられているんですよ。
4ふりで食塩相当量0.12g
4ふり(0.4g)に含まれる食塩相当量は0.12gで、1gに直すと0.30gになります。うま味成分にくっついているナトリウムの分です。
同じ重さの食塩と比べると、塩分は3分の1以下に収まります。とはいえ、塩分がゼロではないことは覚えておきましょう。
塩分がゼロではないんですね。
そうなんです。ただ、ほかのだしの素と比べると、意外な結果になりますよ。
ハイミーを避けてほんだしにすると


「うま味調味料が気になるなら、かつおぶしの入ったほんだしにすればいい」と考える人も多いでしょう。そこで、味の素公式の「ほんだし」と、汁物4人分(600ml)で並べてみました。
結果、だしから入る食塩相当量は0.24〜0.30gから1.6gへ、5倍以上になりました。


ほんだしにすると、塩分がそんなに増えるんですね。
ほんだしは、原材料のいちばん最初が「食塩」なんです。表で確かめてみましょう。
だしの塩分は5倍以上
| 汁物4人分(600ml) | ハイミー | ほんだし |
|---|---|---|
| 使う量の目安 | 0.8〜1.0g(10ふり程度) | 4g(300mlに2g) |
| だしから入る食塩相当量 | 0.24〜0.30g | 1.6g |
| 1人分(150ml)の食塩相当量 | 約0.06〜0.075g | 0.40g |
| 原材料のいちばん最初 | 調味料(アミノ酸等) | 食塩 |
ほんだしの栄養成分表示は、みそ汁1杯分(1g)で食塩相当量0.40gとなっています。4人分では1.6gになり、ハイミーの5倍以上です。
ほんだしにもアミノ酸等は入っている
ほんだしの原材料には、食塩・砂糖類(砂糖、乳糖)・風味原料(かつおぶし粉末、かつおエキス)・酵母エキス・酵母エキス発酵調味料、そして調味料(アミノ酸等)が並んでいます。
つまり、ほんだしに替えても、うま味調味料を避けたことにはならないのです。アレルギー表示に「乳成分」がある点も、ハイミーとの違いといえます。
ほんだしにも入っているなんて、知りませんでした。
原材料名の「/」のあとが添加物です。そこまで読むと、違いがよく分かりますよ。
香りがほしいなら使い分ける
とはいえ、ほんだしにはかつおぶしの香りがあり、ハイミーにはありません。役割が少し違う調味料です。
みそ汁でかつおの香りがほしいときはほんだし、煮物でうま味だけを足したいときはハイミー、と料理によって使い分けるのが現実的です。塩分を気にするなら、ほんだしを使うときは、みそやしょうゆを少し控えるとよいでしょう。
どっちがいい、という話ではないんですね。
そうなんです。塩分の量を知ったうえで、選べばいいんですよ。
ハイミーのうま味成分の安全性


次は、「うま味調味料が体に悪い」という不安を確かめます。ハイミーの3つのうま味成分は、指定添加物リストにすべて載っています。
結果、国際機関も食品安全委員会も、使い方を守れば問題ないという評価でした。


国が認めた添加物なんですね。
そうなんです。評価の中身を順番に見ていきましょう。
3つとも国が認めた指定添加物
L-グルタミン酸ナトリウム、5′-イノシン酸二ナトリウム、5′-グアニル酸二ナトリウムの3つは、いずれも国が安全性を評価して使用を認めた「指定添加物」です。
食品の表示では、まとめて「調味料(アミノ酸等)」と書かれます。ハイミーの原材料名が1つだけなのは、このためです。
3つが1つの名前にまとまっていたんですね。
そうなんです。ほかの加工食品の表示でも、よく見かける書き方ですよ。
JECFAと食品安全委員会の評価
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は1987年、グルタミン酸とその塩類について、1日に摂ってよい量(ADI)を「特定しない」と評価しました。日本の食品安全委員会も、グルタミン酸塩の試験結果をふまえ、ADIを特定する必要はないとしています。
「特定しない」は、ふつうに食品に使う量では健康への心配がなく、数値の上限を決める必要がないという意味です。味の素公式のQ&Aでも、ADIが定められていないため使用量の制限はないと説明しています。うま味調味料の話は、アジシオの記事でも取り上げています。
上限を決めなくていいほど、という意味なんですね。
そうなんです。かなり安全側の評価ですね。
EFSAは目安を設定
一方、欧州食品安全機関(EFSA)は2017年、グルタミン酸類の1日の目安を体重1kgあたり30mg(グルタミン酸として)と定めました。体重60kgなら1日1.8gです。
汁物1杯分のハイミーは約0.2〜0.25gで、この目安よりずっと少ない量です。ただ、EFSAは食品全体からとる量が目安を超える人がいる可能性も指摘しています。気になる人は、加工食品も含めて量を意識するとよいでしょう。
ヨーロッパでは、少し慎重なんですね。
そうなんです。ただ、ハイミーを数ふりするくらいで、この目安に近づくことは考えにくいですよ。
ハイミーの使う量の目安


では、ハイミーとはどう付き合えばよいのでしょうか。答えは、公式の目安の量を守り、汁物全体の塩分を意識することです。
気をつけるのは、うま味成分よりも、一緒に使うみそやしょうゆの塩分です。
ハイミーより、ほかの調味料に気をつければいいんですね。
そうなんです。そこさえ押さえれば、便利な調味料ですよ。
汁物4人分で10ふり程度
味の素公式の使用量の目安では、汁物4人分(600ml)で10ふり程度(0.8〜1.0g)、煮物4人分(煮汁600ml)で12ふり程度(0.8〜1.3g)です。
小さじ1杯は約4gなので、4人分の汁物でも小さじ4分の1ほどです。参考にした記事の「1日小さじ1杯」は、汁物4人分に使う量の4〜5倍にあたります。
思っていたより、ずっと少ない量なんですね。
ひとふりずつ入れて、味を見ながら足すのがおすすめですよ。
1日の目標量と比べる


厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)では、食塩の1日の目標量は男性7.5g未満・女性6.5g未満です。一方、国民健康・栄養調査では日本人の平均は9.6gで、すでに目標を超えています。
ハイミーのだし1杯分(約0.06〜0.075g)は、女性の目標量の約1%です。汁物の塩分は、みそやしょうゆからも入るので、合計で考えましょう。
平均でもう超えているなんて、知りませんでした。
だからこそ、だしの素の塩分も知っておくと役に立ちますよ。
ほかの調味料と重ねない
ハイミーでうま味を足すと、みそやしょうゆを少なめにしても味が決まりやすくなります。味が薄いと感じたら、塩分のある調味料より先にうま味を足してみましょう。
一方、中華だしや合わせ調味料にも塩分とうま味調味料が入っています。だしの素を何種類も重ねないことがポイントです。中華だしの塩分は、ウエイパーの記事で、うま味調味料を使った炒飯の塩分は香味ペーストの記事で調べています。
だしの素を重ねるクセがあったので、気をつけます。
1つに決めるだけで、塩分はかなり減らせますよ。
ハイミーのよくある質問


ここまでの数字をふまえて、ハイミーについて多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
ハイミーは体に悪いですか
特別に体に悪い調味料ではありません。原材料は調味料(アミノ酸等)だけで、3つのうま味成分はいずれも国が認めた指定添加物です。
4ふり(0.4g)の食塩相当量は0.12gです。公式の目安の量を守って使いましょう。
ハイミーと味の素の違いは何ですか
どちらもうま味(旨味)成分を混ぜた調味料ですが、割合が違います。グルタミン酸は昆布だしの、イノシン酸やグアニル酸は核酸系と呼ばれるうま味成分です。ハイミーはグルタミン酸ナトリウム92%・イノシン酸ナトリウム4%・グアニル酸ナトリウム4%です。
味の素®は97.5%・1.25%・1.25%で、ハイミーはイノシン酸とグアニル酸が約3倍多く、うま味が強く出ます。
ハイミーとほんだしはどちらが体にいいですか
塩分で比べると、汁物4人分(600ml)でハイミーは0.24〜0.30g、ほんだしは1.6gで、ほんだしが5倍以上です。
ほんだしにも調味料(アミノ酸等)は入っています。香りがほしいならほんだし、と料理で使い分けるのがおすすめです。
ハイミーはどのくらい使っていいですか
味の素公式では、ADIが定められていないため使用量の制限はないとしています。
使用量の目安は、汁物4人分で10ふり程度(0.8〜1.0g)、煮物4人分で12ふり程度(0.8〜1.3g)です。
ハイミーの原料は何ですか
味の素公式のQ&Aによると、原料はさとうきびの糖蜜で、キャッサバ芋やとうもろこしのでんぷんから作ることもあります。
みそやしょうゆと同じ発酵法で作られています。
ハイミーに賞味期限はありますか
塩や砂糖のように長期間品質が変わらないため、賞味期間は設定されていません。
白いままでサラサラしていれば使えます。変色したり固まったりしていたら使わないでください。
ハイミーは体に悪いかのまとめ


ハイミーは体に悪いのかを、味の素公式の商品情報と国や国際機関の資料で確かめてきました。
答えは「体に悪い調味料ではない。公式の目安の量を守り、汁物全体の塩分を意識する」です。
- 原材料は調味料(アミノ酸等)だけ
- 4ふりで食塩相当量0.12g
- ほんだしにするとだしの塩分は5倍以上
- ほんだしにもアミノ酸等は入っている
- 3つのうま味成分は指定添加物
- 汁物4人分で10ふり程度が目安
ハイミーを避けてほんだしにすると、だしから入る塩分は5倍以上になるというのが、今回いちばんの発見でした。
「自然そうに見える=塩分が少ない」とは限らないんですね。
そのとおりです。原材料名と食塩相当量を見て選ぶ。これがいちばん大事なポイントですよ。
次にハイミーを使うときは、ひとふりずつ味を見てみてください。
調味料のアミノ酸では、グリシンの記事もあります。味付けに使うと「調味料(アミノ酸等)」とまとめて書けるため、名前が表示に出ないことがあると確かめました。




「化学調味料無添加」のだしが気になる方は、酵母エキスの記事もどうぞ。消費者庁は、アミノ酸が主成分の酵母エキスを使いながら「調味料(アミノ酸等)無添加」とうたう表示を、誤認させるおそれがある例に挙げていました。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの調味料の記事も、あわせてどうぞ。






本記事の原材料と栄養成分は、味の素公式の商品情報「うま味だし・ハイミー」「ほんだし」の表示です(ハイミーは65g瓶4ふり0.4gあたり、ほんだしはみそ汁1杯分1gあたり・2026年10月12日確認)。使う量はお客様相談センターの使用量の目安により、だしから入る食塩相当量は使う量に公式表示をかけて計算しました。食塩の目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、日本人の平均摂取量は「令和6年 国民健康・栄養調査」、うま味成分の評価は指定添加物リスト、厚生労働省の審議会資料(食品安全委員会の評価書)とEFSAの発表によります。商品の中身は変わることがあるため、購入時はパッケージの表示を確かめてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。高血圧などで塩分を制限している方や治療中の方は、医師の指示を優先してください。






