冷ややっこや焼き魚の薬味、豚肉のしょうが焼きなど、毎日の料理で使う「生姜」。チューブ入りのおろし生姜や、ガリ・紅しょうがでとることも多い食べ物です。
一方で、「生姜を食べてはいけない人がいる」「体質によっては体に悪い」という話を耳にして、自分は食べても大丈夫なのか気になっている方もいるはずです。
- 生姜を食べてはいけないと言われる理由を知りたい
- 国の情報ではどんな人に注意が書かれているのか知りたい
- 妊娠中や授乳中に食べてもよいのか知りたい
- チューブや紅しょうがで気をつけることを知りたい
そこで、厚生労働省の情報サイト「eJIM」のショウガのページと、文部科学省の食品成分表をつき合わせて調べています。
結果、eJIMには「食べてはいけない人」の一覧はなく、注意が書かれていたのは、大量にとったとき・妊娠中・授乳中の3つでした。数字で差が大きかったのは塩分で、生の生姜は食塩0gなのに対し、紅しょうがは100gあたり5.6gです。
生の生姜には、塩分がないんですね。
そうなんです。気をつけたいのは、生姜そのものより加工品の塩分でした。順番に確かめていきましょう。
- eJIMに書かれている生姜の安全性
- 注意が書かれている3つの場合
- 生の生姜・チューブ・ガリ・紅しょうがの塩分
- 1日の食塩の目標量との比べ方
使う数字や言葉は、国の資料に限りました。まずは、生姜を食べてはいけないと言われる理由から見ていきます。
生姜を食べてはいけないと言われる理由


生姜を「食べてはいけない」と言われるのはなぜでしょうか。
よく聞く心配をたどると、大きく2つに分かれました。辛みが強くて胃に負担がかかりそうなことと、妊娠中や授乳中に食べてよいか分からないことです。
どちらも、なんとなく気になっていました。
1つずつ、国の情報で確かめていきますね。
辛みが強くて胃が心配
生姜には、ピリッとした強い辛みがあります。たくさん食べたら胃が荒れるのでは、と心配になる方もいるはずです。
この心配については、eJIMに「大量にとった場合」の副作用が書かれています。どのくらいの量でどんな症状なのかは、3章で見ていきます。
辛いものを食べると、おなかが心配になります。
そうですよね。何が書かれているかを、そのまま確かめましょう。
妊娠中や授乳中が心配
妊娠中や授乳中は、いつもの食べ物でも大丈夫か気になる時期です。生姜も例外ではありません。
eJIMには、妊娠中と授乳中についての書き方がそれぞれあります。こちらも3章でくわしく紹介します。
赤ちゃんへの影響は、とくに気になります。
はい。書かれていることと、書かれていないことを分けて見ていきますね。
国の情報サイトに「食べてはいけない人」の一覧はない


では、国の情報では、生姜の安全性はどう書かれているのでしょうか。厚生労働省のeJIM「ショウガ」のページで確かめました。
このページには、「食べてはいけない人」の一覧はありませんでした。書かれていたのは、研究の対象と、安全性についての説明です。
一覧がないというのは、意外でした。
はい。何が書かれているのかを、順番に見ていきましょう。
eJIMとは
eJIMは、厚生労働省の「統合医療」に係る情報発信等推進事業で作られている情報サイトです。生姜のページは、米国の国立補完統合衛生センター(NCCIH)の情報を日本語にしたものです。
ページには、米国の医療制度に準じて書かれていて、日本に当てはまらない内容が含まれる場合があるとも書かれています。読むときは、この点も頭に入れておきましょう。
もとは、アメリカの情報なんですね。
そうなんです。それを国の事業として、日本語で紹介しているんですよ。
研究の多くはサプリが対象
eJIMによると、生姜は吐き気や嘔吐などについて研究されています。ただし、それらの研究のほとんどは、食品ではなくダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)を対象にしたものです。


つまり、料理で使う生姜と、サプリで濃くとる生姜は、分けて考える必要があるということです。研究の結果を、そのまま毎日の料理に当てはめることはできません。
料理の生姜と、サプリの生姜はちがうんですね。
はい。とる量も形も、大きくちがいますからね。
口からとる安全性
安全性については、サプリとして口からとった多くの研究で、安全に使用されていると書かれています。皮膚に使う場合も、安全と考えられるとされています。
そのうえで、注意が書かれていたのは、大量にとったとき・妊娠中・授乳中の3つでした。次の章で、1つずつ見ていきます。
多くの研究で、安全に使われているんですね。
そうなんです。ただ、注意も書かれているので、そこをしっかり確かめましょう。
注意が書かれているのは、大量・妊娠中・授乳中の3つ


eJIMで注意が書かれていたのは、どんな場合でしょうか。ショウガのページの「安全性について」をまとめました。
注意は、大量にとったとき・妊娠中・授乳中の3つでした。どれも「食べてはいけない」ではなく、「気をつける」「相談する」という書き方です。
禁止ではなく、注意という書き方なんですね。
はい。それぞれ、どう書かれているか見ていきましょう。
大量にとったとき
eJIMには、とくに大量にとった場合、腹部の不快感、胸焼け、下痢、口や喉の炎症などの副作用を引き起こす可能性があると書かれています。


ただし、「大量」が何gからなのかは、書かれていませんでした。料理の薬味として使う量と、サプリで濃くとる量は大きくちがうので、まずは食べすぎないことが目安になります。
何gから、という数字はないんですね。
そうなんです。書かれていない数字を、こちらで決めつけないようにしましょう。
妊娠中
妊娠中については、一部の研究で安全性が示唆されているものの、決定的なエビデンスはないとされています。
そのため、妊娠中に生姜の使用を検討している場合は、今かかっている医療機関に相談するようにと書かれています。とくにサプリなどで続けてとりたいときは、自分で判断しないことが大切です。
妊娠中は、相談してから決めればいいんですね。
はい。かかりつけの先生に聞くのが、いちばん確実ですよ。
授乳中
授乳中については、生姜を使用しても安全かどうかは、ほとんどわかっていないと書かれています。
「危ない」と分かっているわけでも、「安全」と分かっているわけでもない、ということです。気になる場合は、妊娠中と同じく医療機関に相談するのが確実です。
分かっていない、というのも大事な情報ですね。
そのとおりです。分からないことは、分からないと知っておくのが大切なんですよ。
気をつけたいのは、紅しょうがなど加工品の塩分


では、数字で見て気をつけたいことはあるのでしょうか。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」で、生姜と加工品の食塩相当量を比べました。
結果、生の生姜は100gあたり食塩0gなのに対し、紅しょうがは5.6gでした。生姜そのものより、漬けたり味をつけたりした加工品の塩分のほうが、数字の差は大きかったです。
同じ生姜でも、こんなにちがうんですね。
はい。加工のしかたで、塩分が大きく変わるんですよ。
生の生姜は食塩0g
成分表では、生の生姜(皮なし)の食塩相当量は100gあたり0gです。すりおろしても、0gのままでした。
生の生姜で料理に辛みや香りを足すと、塩分を増やさずに味にメリハリをつけられるということです。
生の生姜なら、塩分は気にしなくていいんですね。
そうなんです。ただ、しょうが焼きのたれなど、いっしょに使う調味料の塩分は別に考えましょう。
チューブ・ガリ・紅しょうが
加工品の食塩相当量は、100gあたりチューブのおろし生姜が1.5g、ガリ(甘酢漬)が2.0g、紅しょうが(酢漬)が5.6gでした。ガリと紅しょうがは、液汁を除いた値です。


とくに紅しょうがは、生の生姜にはない塩分が、100gで5.6gも入っていることになります。梅干しなどの漬物の塩分は、カリカリ梅の記事でも比べています。
紅しょうがが、いちばん塩分が多いんですね。
はい。色や味が濃いぶん、塩もしっかり使われているんですよ。
10gで1日の目標量と比べる
では、実際に食べる量ではどうでしょうか。100gあたりの値から、10gあたりの食塩を計算しました。紅しょうがは0.56g、ガリは0.20g、チューブは0.15gです。


厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。紅しょうが10gは、女性の目標量の約9%にあたります。令和6年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の平均は9.6gで、すでに目標量を超えています。
10gでも、目標量の1割近くになるんですね。
はい。少しずつでも、積み重なる塩分は意識したいところです。
生の生姜にはカリウムも含まれる


最後に、生の生姜の栄養も見ておきましょう。同じ食品成分表で、主な成分を確かめました。
生の生姜(皮なし)は、100gあたり28kcalで、カリウムが270mg含まれていました。食塩相当量は0gです。
生姜にも、ミネラルが入っているんですね。
はい。ただ、薬味で使う量は少ないので、たくさんとれるわけではありませんよ。
生の生姜の主な成分
生の生姜(皮なし)100gあたりの主な成分は、次のとおりです。
| 成分(100gあたり) | 生の生姜(皮なし) |
|---|---|
| エネルギー | 28kcal |
| 炭水化物 | 6.6g |
| 食物繊維 | 2.1g |
| カリウム | 270mg |
| 食塩相当量 | 0g |
どの値も、薬味として使う数gでは、とても小さな量になります。生姜は栄養をとる食べ物というより、料理の味や香りを引き立てる食べ物と考えるとよいでしょう。
栄養より、味つけの役目が大きいんですね。
そのとおりです。生姜は、薬味としての使い方がいちばん合っていますよ。
紅しょうがではカリウムが減る
紅しょうが(酢漬)では、カリウムは100gあたり25mgでした。生の生姜の270mgの、10分の1以下です。
漬けることで、カリウムは減り、塩分は5.6gに増えるという結果でした。同じ生姜でも、加工品は別の食べ物として数字を見るのがおすすめです。調味料の塩分は、梅ねりの記事でも調べています。
漬けると、中身がこんなに変わるんですね。
はい。名前が同じでも、数字で見るとちがいがよく分かりますよ。
生姜を食べてはいけない人のよくある質問


ここまでの内容をふまえて、生姜について多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
生姜を食べてはいけない人はいますか
厚生労働省のeJIMのショウガのページには、「食べてはいけない人」の一覧は書かれていません。注意が書かれているのは、大量にとったとき・妊娠中・授乳中の3つです。
生姜を食べすぎるとどうなりますか
eJIMには、とくに大量にとった場合、腹部の不快感、胸焼け、下痢、口や喉の炎症などの副作用を引き起こす可能性があると書かれています。何gから大量なのかは書かれていません。
妊娠中に生姜を食べてもよいですか
eJIMでは、一部の研究で安全性が示唆されているものの決定的なエビデンスはないとして、使用を検討している場合は今かかっている医療機関に相談するよう書かれています。
授乳中に生姜を食べてもよいですか
eJIMには、授乳中に使用しても安全かどうかはほとんどわかっていないと書かれています。気になる場合は、医療機関に相談するのが確実です。
紅しょうがの塩分はどのくらいですか
文部科学省の食品成分表では、紅しょうが(酢漬・液汁を除いたもの)は100gあたり食塩相当量5.6gでした。10gでは0.56gで、成人女性の目標量6.5g未満の約9%です。
チューブの生姜にも塩分はありますか
あります。食品成分表のチューブ入りのおろし生姜は、100gあたり食塩相当量1.5gです。生の生姜は0gなので、塩分が気になるときは生の生姜をすりおろすと塩分を増やしません。
生姜を食べてはいけない人のまとめ


生姜を食べてはいけない人はいるのかを、厚生労働省のeJIMと文部科学省の食品成分表で確かめてきました。
答えは「eJIMに『食べてはいけない人』の一覧はなく、注意は大量にとったとき・妊娠中・授乳中の3つ。数字で気をつけたいのは、生の生姜にはない加工品の塩分で、紅しょうがは100gあたり5.6g」です。
- eJIMに「食べてはいけない人」の一覧は書かれていない
- 生姜の研究のほとんどは、食品ではなくサプリが対象
- 大量にとると、腹部の不快感や下痢などの副作用の可能性
- 妊娠中は医療機関に相談、授乳中の安全性はほとんど不明
- 生の生姜は食塩0g、紅しょうがは100gあたり5.6g
- 紅しょうが10gで、女性の食塩の目標量の約9%
生姜そのものより、紅しょうがやガリなど加工品の塩分に気をつけるというのが、今回いちばん大事な点でした。
生姜を怖がらずに、塩分に気をつければいいんですね。
そのとおりです。妊娠中や授乳中で気になるときは、医療機関に相談する。これも忘れずにいきましょう。
次に生姜を使うときは、生の生姜か加工品かも、あわせて見てみてください。
成分ラボでは身近な食品を、国の資料と各社の発表をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの記事も、あわせてどうぞ。






本記事の生姜の安全性は厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』eJIM「ショウガ」(米国国立補完統合衛生センターの情報の日本語版)、食品の成分は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」、食塩の目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、食塩の平均摂取量は厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」によります(2026年10月25日確認)。10gあたりの食塩と目標量に対する割合は、成分表の値から成分ラボが計算したものです。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。妊娠中・授乳中の方や、持病のある方は、医療機関にご相談ください。








