小さなカップを木のスプーンですくって食べる、サンヨー製菓のモロッコヨーグル。駄菓子屋さんの定番として、子どものころから親しんできた方も多いでしょう。
一方で、「ヨーグルトじゃなくて油のかたまり」「添加物だらけで体に悪い」という声を耳にして、子どもに食べさせていいのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
- 中身が油と聞いて不安
- トランス脂肪酸が気になる
- 添加物の多さが心配
- 子どもに何個まで食べさせるか迷う
そこで、包装の成分表示と、文部科学省の食品成分データベースをもとに、本物のヨーグルトと同じカロリーで並べてみました。
結果、油を避けて加糖ヨーグルトに替えると、糖質は約2.3倍になることが分かりました。
ヨーグルトのほうが、ぜったい体にいいと思っていました……。
ヨーグルトにはたんぱく質やカルシウムがあるので、栄養ではたしかに上です。ただ、甘いヨーグルトは糖質が多いので、「替えれば軽くなる」とは言えないんですよ。
- 1個の栄養成分と原材料
- 添加物6種の中身
- ヨーグルトとの比較
- トランス脂肪酸と食べる量の目安
使う数字は、包装の表示と、国の資料に限りました。今回は、定番のモロッコフルーツヨーグル(1個4g)で確かめていきます。
まずは、なぜ「体に悪い」と言われるのかから見ていきましょう。
モロッコヨーグルが体に悪いと言われる理由


モロッコヨーグルは、大阪のサンヨー製菓が1961年(昭和36年)から作り続けている駄菓子です。正式な名前は「モロッコフルーツヨーグル」で、価格は35円(税抜)ほどです。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、4つに分かれました。数字で確かめられるものと、イメージが先行しているものが混ざっています。
60年以上も売られているのに、そんなに言われているんですね。
昔からあるぶん、中身を知って驚く人が多いようです。1つずつ見ていきましょう。
ヨーグルトなのに乳製品が入っていない
いちばん多いのが、「ヨーグルトだと思っていたのに乳製品が入っていない」という驚きの声です。原材料を見ると、牛乳もヨーグルトも使われていません。
駄菓子図鑑によると、名前が「ヨーグルト」ではなく「ヨーグル」なのは、乳製品を使っていないため、当時の表示ルールに合わせたからだそうです。名前のイメージと中身のずれが、不安の出発点になっています。
ヨーグルトじゃなくて「ヨーグル」なのには、理由があったんですね。
乳製品を使っていないので、当時の表示ルールに合わせた名前だそうです。
主な原料が植物油脂
原材料は多い順に書くきまりがあり、モロッコヨーグルは植物油脂がいちばん最初にきています。ショートニングのような油に、砂糖とブドウ糖を混ぜ、空気を含ませてふんわりさせたお菓子です。
食感はホイップクリームに近く、中身のほとんどは油と糖です。2章で、数字を確かめます。
中身のほとんどは、油と糖なんですね。
ホイップクリームに近いお菓子です。2章で数字を確かめましょう。
トランス脂肪酸が心配
植物油脂やショートニングと聞くと、トランス脂肪酸を思い浮かべる方も多いでしょう。「体に悪い油のかたまり」と書いているサイトもあります。
ただし、メーカーはこの商品のトランス脂肪酸の量を公表していません。国の調査データから推定すると、1個ではごくわずかでした。5章でくわしく見ていきます。
トランス脂肪酸の量は、公表されていないんですね。
国の調査データから推定すると、1個ではごくわずかでした。
添加物がいくつも並んでいる
原材料の「/」の後ろには、酸味料・甘味料・調味料など6種類の添加物が並んでいます。小さな駄菓子にしては多く感じるかもしれません。
中には「ステビアは血圧やホルモンに影響する」といった書き方も見かけますが、国が使用を認めた添加物ばかりです。3章で役割を見ていきます。
ステビアがホルモンに影響する、という話は気になっていました。
どれも国が使用を認めた添加物です。3章で役割を見ていきます。
モロッコヨーグルの栄養成分と原材料


ここからは、包装に書かれた1個(4g)あたりの表示を見ていきます。メーカーの公式サイトには成分の掲載がないため、包装を再現した駄菓子図鑑の掲載で確かめました。
栄養成分を見ると、カロリーの約72%が脂質からきていることが分かりました。


4gしかないのに、半分が油なんですね。
そうなんです。ただ、量そのものは小さいので、割合と量を分けて考えるのが大切です。
1個4gの栄養成分
| 1個(4g)あたり | モロッコフルーツヨーグル |
|---|---|
| エネルギー | 25kcal |
| たんぱく質 | 0g |
| 脂質 | 2g |
| 炭水化物 | 2g |
| 食塩相当量 | 0.007g |
食塩は1個0.007gで、成人女性の1日の目標量6.5g未満の約0.1%です。塩分の心配はまずいりません。
原材料は植物油脂と砂糖が中心
| 区分 | 包装の表示 |
|---|---|
| 原材料(「/」の前) | 植物油脂(国内製造)、砂糖、ブドウ糖(コンスターチを原材料とする)、食塩 |
| 添加物(「/」の後ろ) | 酸味料、甘味料(ステビア)、調味料(アミノ酸)、香料(オレンジオイル)、乳化剤、酸化防止剤(V.E) |
ヨーグルトのような酸っぱさは、乳酸菌ではなく酸味料によるものです。乳酸菌のはたらきは期待できないお菓子だと考えておきましょう。
植物油脂に大豆油が使われている場合があるため、大豆アレルギーのある人は包装の表示を確かめてください。
カロリーの約72%が脂質
脂質1gは9kcalで計算します。2g×9kcalで18kcal、つまり25kcalの約72%が脂質です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食事全体の脂質の割合の目標を20〜30%としています。モロッコヨーグルは、割合で見ると、かなり油に寄ったお菓子と言えます。


モロッコヨーグルの添加物6種


次は、不安の声が多い添加物です。6種類を役割ごとに見ると、どれも味・香り・食感を整えるためのものでした。
結果、保存料・着色料は使われていないことも分かりました。


ステビアって、体に悪くないんですか。
ステビアは南米原産の植物の葉からとる甘味料で、国が使用を認めています。1個に入る量はごくわずかなので、心配するほどではありませんよ。
酸味と甘みを出す3種
酸味料はヨーグルトのような酸っぱさを、甘味料(ステビア)は砂糖に加えた甘みを出します。調味料(アミノ酸)は、うま味で味に深みを出すためのものです。
調味料(アミノ酸)の代表は、昆布のうま味と同じグルタミン酸です。ふだんの食事にも含まれている成分で、この商品だけが特別に使っているものではありません。
ヨーグルトのような酸っぱさは、酸味料の味なんですね。
乳酸菌のはたらきは期待できないお菓子だと考えておきましょう。
香り・食感・品質を守る3種
香料(オレンジオイル)はフルーツの香り、乳化剤は油と水をなじませてなめらかにする役目です。酸化防止剤(V.E)はビタミンEのことで、油が傷むのを防ぎます。
主な原料が油のお菓子なので、油を傷ませないための添加物が入っているのは理にかなっています。
油が主な原料だから、油を守る添加物が入っているんですね。
ビタミンEで油が傷むのを防いでいます。理にかなった使い方です。
保存料・着色料は不使用
添加物の中でとくに気にする人が多い、保存料・合成着色料は、表示にありませんでした。白い色は、油と砂糖に空気を含ませた色です。
「添加物が6種類」という数だけを見ると多く感じますが、気をつけたいのは添加物より油の割合です。数ではなく、何のための添加物かを見るのが大切でしょう。
白い色は、油と砂糖に空気を含ませた色なんですね。
気をつけたいのは、添加物の数より油の割合のほうです。
本物のヨーグルトとの比較


「油の多いお菓子より、本物のヨーグルトを食べればいい」と考える人もいるでしょう。実際、そうすすめているサイトもあります。
そこで、文部科学省の食品成分データベースをもとに、同じ25kcal分で比べてみます。結果、加糖ヨーグルトは糖質がモロッコヨーグルの約2.3倍でした。


脂質は減るのに、糖質は増えるんですね。
甘いヨーグルトは、油が少ないぶん砂糖で味を作っているんです。何を減らしたいかで、選び方が変わりますよ。
同じ25kcalで並べた栄養
| 25kcalあたり | 炭水化物 | 脂質 | たんぱく質 | カルシウム |
|---|---|---|---|---|
| モロッコヨーグル 1個(4g) | 2g | 2g | 0g | 表示なし |
| 加糖ヨーグルト 約39g | 4.6g | 0.1g | 1.7g | 46mg |
| 無糖ヨーグルト 約45g | 2.2g | 1.3g | 1.6g | 54mg |
炭水化物は、加糖ヨーグルトが4.6gでモロッコヨーグルの約2.3倍です。無糖ヨーグルトは2.2gで、モロッコヨーグルとほぼ同じでした。
ヨーグルトのほうが栄養は多い
一方で、ヨーグルトにはたんぱく質とカルシウムがあります。25kcal分の無糖ヨーグルトで、カルシウムは54mgです。
モロッコヨーグルはたんぱく質0gで、栄養をとるための食べ物ではないことははっきりしています。栄養で選ぶなら、ヨーグルトに分があります。
栄養をとるなら、ヨーグルトのほうがいいんですね。
モロッコヨーグルは、たんぱく質0gのおやつと考えましょう。
不安どおりに替えると損をする
「油は体に悪い」と考えて、モロッコヨーグルを甘いカップヨーグルトに替えたとしましょう。脂質は大きく減りますが、同じカロリーで糖質は約2.3倍になります。
しかもカップヨーグルトは1個70〜100gほどあり、食べる量そのものが10倍以上です。「おやつを軽くしたい」が目的なら、替えるより、モロッコヨーグルを1〜2個で止めるほうが近道なのです。
カップヨーグルトに替えると、糖質が増えちゃうんですね。
食べる量も10倍以上になります。替えるより、個数を決めるほうが近道です。
トランス脂肪酸と食べる量の目安


では、モロッコヨーグルで本当に気をつけたいのは何でしょうか。答えは、1個の中身ではなく、食べる個数です。
国の調査データから脂肪酸の量を推定し、1日の目安と並べてみました。


1個なら、どれも小さい数字ですね。
はい。ただ、袋入りを何個も続けて食べると、この数字が個数分だけ増えていきます。
トランス脂肪酸は1個で約0.01g
農林水産省の令和4・5年度の調査では、市販のショートニングのトランス脂肪酸は100gあたり平均0.61gでした。脂質2gがすべてショートニングだとしても、1個で約0.01gです。
WHOの目標は総エネルギーの1%未満で、農林水産省の計算では1日約2gです。1個はその約0.6%、10個食べても約6%にとどまります。「トランス脂肪酸のかたまり」というほどの量ではありません。


飽和脂肪酸は1個で約0.9g
同じ調査で、ショートニングの飽和脂肪酸は100gあたり平均46gでした。モロッコヨーグル1個に当てはめると、約0.9gです。
食事摂取基準では、大人の飽和脂肪酸の目標を総エネルギーの7%以下としています。2,000kcalなら約15gで、1個でその約6%にあたります。数個なら問題ありませんが、こちらのほうがトランス脂肪酸より早く積み上がります。


おやつなら1日2〜3個が目安
農林水産省の「食事バランスガイド」では、お菓子や甘い飲み物は1日200kcal程度を目安にしています。モロッコヨーグル1個25kcalなら、8個分です。
ただ、ほかのお菓子やジュースもとる日が多いでしょう。1日2〜3個(50〜75kcal)までにしておくと、脂質も6g以内におさまり安心です。


モロッコヨーグルのよくある質問


ここまでの数字をふまえて、モロッコヨーグルについて多い疑問にまとめて答えます。
いずれも包装の表示と、国の資料にもとづいた回答です。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
モロッコヨーグルは体に悪いですか
1個25kcal・脂質2gで、カロリーの約72%が脂質です。割合で見ると油に寄ったお菓子ですが、1個の量はごく小さいものです。
1日2〜3個ほどなら体に悪いものではありません。気をつけたいのは、袋入りを続けて何個も食べることです。
乳酸菌は入っていますか
入っていません。原材料に乳製品は使われておらず、ヨーグルトのような酸っぱさは酸味料によるものです。
おなかの調子を整える目的なら、本物のヨーグルトや乳酸菌飲料を選びましょう。
子どもに食べさせてもいいですか
1個の食塩は0.007gで、塩分の心配はまずいりません。おやつとして1〜2個なら、量としても無理のない範囲です。
ただし大豆油が使われている場合があるので、大豆アレルギーのある子は包装の表示を確かめてください。木のスプーンは小さいので、小さな子が口に入れたまま遊ばないよう見てあげましょう。
ダイエット中に食べても大丈夫ですか
1個25kcalは、駄菓子の中でも低いほうです。甘いものが食べたいときに1個で満足できるなら、むしろ量を抑えやすいおやつです。
ただし、カロリーの約72%が脂質なので、続けて何個も食べると脂質がたまっていきます。1回1〜2個と決めておくのがおすすめです。
トランス脂肪酸は大丈夫ですか
メーカーは量を公表していませんが、農林水産省の調査のショートニング平均値から推定すると、1個で約0.01gです。
WHOの目標の1日約2gに対して約0.6%で、10個食べても約6%です。トランス脂肪酸だけを理由に避ける必要はないでしょう。
ステビアは安全ですか
ステビアは南米原産のキク科の植物の葉からとる甘味料で、国が食品への使用を認めています。
砂糖の数百倍の甘さがあるため、使う量はごくわずかです。1個に入る量で健康に影響が出るとは考えにくいでしょう。
カップヨーグルトに替えたほうがいいですか
栄養で選ぶなら、たんぱく質とカルシウムがあるヨーグルトが上です。ただし甘いヨーグルトは、同じカロリーで糖質がモロッコヨーグルの約2.3倍あります。
糖質を増やさずに替えるなら、無糖のヨーグルトを選びましょう。
モロッコヨーグルは体に悪いかのまとめ


モロッコヨーグルは体に悪いのかを、包装の表示と国の資料で確かめてきました。
答えは「割合で見れば油に寄ったお菓子。ただし1個は小さく、気をつけたいのは食べる個数」です。
- 1個25kcal・脂質2g
- カロリーの約72%が脂質
- 乳製品・乳酸菌は入っていない
- 保存料・着色料は不使用
- トランス脂肪酸は1個約0.01g
- おやつなら1日2〜3個まで
油を避けて加糖ヨーグルトに替えると、同じカロリーで糖質は約2.3倍になるというのが、今回いちばんの発見でした。
替えるより、食べる数を決めておくほうがいいんですね。
そのとおりです。1回1〜2個、1日2〜3個まで。これだけ覚えておけば、懐かしい味を安心して楽しめますよ。
次に駄菓子を選ぶときは、1個のカロリーだけでなく、脂質が何gかも見てみてください。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。
同じく乳酸菌やショートニングが気になる食品の記事も、あわせてどうぞ。






本記事のモロッコフルーツヨーグルの栄養成分・原材料は、包装の1個(4g)あたりの表示です(駄菓子図鑑の掲載で2026年10月5日確認)。比較に使ったヨーグルトの値は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を25kcalに換算したもの、トランス脂肪酸・飽和脂肪酸はショートニングの平均値(農林水産省 令和4・5年度調査)からの推定、脂質と飽和脂肪酸の目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、お菓子の目安は農林水産省「食事バランスガイド」によります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方や治療中の方、食物アレルギーのある方は、医師の指示を優先してください。








