イオンのトップバリュや業務スーパーで、骨なしの白身魚として売られているパンガシウス。
安くて使いやすい一方で、「川で育った魚だから体に悪い」「薬が心配」「まずい」という声を耳にして、買うのをためらっている方もいるのではないでしょうか。
- 川の養殖魚で安全か知りたい
- 抗生物質や農薬が気になる
- 安すぎて品質が不安
- タラに替えたほうがいいか迷う
そこで、トップバリュの公式表示と国の検査結果をもとに、スーパーの定番であるタラと同じ100gで並べてみました。
結果、パンガシウスを避けてタラにすると、値段は約2倍になることが分かりました。
安いのには理由があると思って、ちょっと高くてもタラを買っていました……。
タラはたんぱく質が多いのは確かです。ただ、安全の基準そのものは輸入魚も同じなんですよ。
- 原材料と100gの栄養成分
- タラとの栄養と値段の比較
- 輸入時の検査と過去の違反
- まずいと言われる原因と食べ方
使う数字は、メーカーの公式表示と、国や公的機関の資料に限りました。
まずは、なぜ「体に悪い」と言われるのかから見ていきましょう。
パンガシウスが体に悪いと言われる理由


パンガシウスは、東南アジアで養殖されるナマズの仲間です。日本に入ってくるものの多くはベトナム産で、骨と皮を取った冷凍の切り身として売られています。


「体に悪い」と言われる理由をたどると、4つに分かれました。根拠のあるものと、イメージが先行しているものが混ざっています。
「ナマズ」と聞くだけで、ちょっと身構えてしまいます。
名前の印象と、数字で分かることを分けて見ていきましょう。
川で養殖されている
パンガシウスの多くは、ベトナムのメコン川流域の養殖池で育てられています。「川の水が汚れていそう」というイメージが、不安の出発点になっているようです。
ただし育つ場所がどこであっても、日本で売るには日本の食品衛生法の基準を満たす必要があります。4章で検査の中身を確かめます。
川の養殖と聞くと、水がきれいか気になります。
どこで育っても、日本で売るには日本の基準を満たす必要があります。
薬や農薬への心配
「養殖魚には抗生物質が使われているのでは」という声も少なくありません。
実際に、厚生労働省の平成22年度の資料には、ベトナム産のなまずから除草剤のトリフルラリンが見つかり、検査が強化された記録があります。噂にはまったく根拠がないわけではありません。
薬の心配は、まったくの噂ではなかったんですね。
過去に見つかった記録があります。今どうなっているかを4章で確かめましょう。
値段が安すぎる
トップバリュのパンガシウスは280gで398円(税抜)、100gあたり約143円です。「安い魚は品質が悪い」と感じる人もいるでしょう。
成長が早く、養殖しやすい魚であることが安さにつながっています。値段の安さそのものは、体への影響とは別の話です。
安いと、品質が悪いのかと思ってしまいます。
成長が早く育てやすい魚だから安いんです。体への影響とは別の話ですよ。
まずいという口コミ
「川のにおいがする」「水っぽい」という口コミもあります。味の評価が「体に悪そう」という印象につながっている面もありそうです。
においと水っぽさには、それぞれはっきりした原因がありました。5章でくわしく紹介します。
まずいと言われるのにも、理由があるんですね。
においと水っぽさには、はっきりした原因があります。直し方も紹介します。
パンガシウスの原材料と栄養成分


ここからは、トップバリュの「ASC認証 骨取り・皮なし白身魚(ベトナム産パンガシウス)(冷凍)280g」の表示を見ていきます。
原材料を見ると、魚のほかに食塩とリン酸塩が加えられていることが分かりました。ここが、天然のタラの切り身との大きな違いです。


冷凍の魚に、塩が入っているんですね。
はい。そのぶん、食塩はタラより多めになります。
原材料は魚と食塩とリン酸塩
| 区分 | トップバリュの表示 |
|---|---|
| 原材料名 | パンガシウス(養殖)、食塩 |
| 「/」の後ろ(添加物) | クエン酸(K)、リン酸塩(Na) |
| 原産国 | ベトナム |
リン酸塩は、東京都の資料によると、すり身の冷凍による品質の低下や、解凍したときに水分が流れ出るのを防ぐ目的で使われる添加物です。冷凍の魚の身をしっとり保つための工夫といえます。
100gの栄養成分
| 100gあたり | パンガシウス |
|---|---|
| エネルギー | 58kcal |
| たんぱく質 | 12.9g |
| 脂質 | 0.6g |
| 炭水化物 | 0.5g |
| 食塩相当量 | 0.7g |
100gで58kcal、脂質は0.6gしかありません。白身魚のなかでも、かなり低カロリーで脂の少ない魚です。
一方、食塩は0.7gでした。成人男性の1日の目標量7.5g未満に対して、100gで約9%にあたります。
ネットの数字との違い
ネット上には、パンガシウスを「100gあたり約95kcal・たんぱく質約15g」と紹介する記事があります。
しかしトップバリュの表示は58kcalで、約4割も少ない数字でした。商品として売られているものの栄養を知りたいときは、パッケージの表示を見るのがいちばん確かです。
ネットの数字と、4割もちがうんですね。
売られている商品の栄養は、パッケージの表示がいちばん確かです。
脂質がほとんどない
脂質0.6gを1g=9kcalで計算すると約5kcalで、カロリーのうち脂質は約9%しかありません。
ここで気をつけたいのが、DHAやEPAです。これらは魚の脂に含まれる成分で、脂が少ないぶん多くは期待できません。パンガシウスのDHA・EPAの量は、メーカー表示にも国の成分表にも載っていませんでした。
なお、国の成分表にある「なまず」は日本の在来種で、100gで145kcal・脂質8.6gと、パンガシウスとはまったく違う魚です。名前が似ていても、数字は別ものと考えてください。


パンガシウスとタラの比較


パンガシウスが不安な人が、代わりに選びやすいのがタラです。
そこで、文部科学省の食品成分データベースの「まだら」「すけとうだら」、白身魚フライによく使われる「ホキ」と、同じ100gでカロリー・たんぱく質・食塩を並べました。


タラのほうが、たんぱく質の棒が長いですね。
たんぱく質はタラの勝ちです。ただ、値段も見ておく必要があります。
同じ100gで並べる
| 100gあたり | パンガシウス | まだら | すけとうだら | ホキ |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 58kcal | 72kcal | 72kcal | 78kcal |
| たんぱく質 | 12.9g | 17.6g | 17.4g | 17.0g |
| 脂質 | 0.6g | 0.2g | 1.0g | 1.3g |
| 食塩相当量 | 0.7g | 0.3g | 0.3g | 0.4g |
| 100g | パンガシウス | まだら |
|---|---|---|
| カロリー | 58kcal | 72kcal |
| たんぱく質 | 12.9g | 17.6g |
| 食塩 | 0.7g | 0.3g |
タラの値は、国の成分表にある生の魚の値です。パンガシウスは加工済みの商品の表示なので、同じ条件ではない点に注意してください。
たんぱく質はタラの約7割
100gあたりのたんぱく質は、パンガシウスが12.9g、まだらが17.6gでした。パンガシウスはタラの約7割です。
生のまだらは100gのうち約81gが水分です。パンガシウスはリン酸塩で水分を保っているぶん、同じ100gでも身の割合が少なくなっている可能性があります(表示に水分量の記載はありません)。


食塩はタラの約2倍
食塩は、パンガシウスが0.7g、まだらとすけとうだらが0.3gでした。加工の段階で食塩が加えられているため、タラの約2倍になっています。
とはいえ、100gで0.7gは成人男性の目標量の約9%です。令和6年の国民健康・栄養調査で日本人の食塩の平均は9.6gなので、味つけを控えれば十分おさまる量といえます。


値段はタラの約2倍


同じイオンのネットスーパー「グリーンビーンズ」で比べると、パンガシウスは100gあたり約143円、ロシア産スケソウダラ(70g×3切で598円)は約285円でした。タラに替えると値段は約2倍です。
100円で買えるたんぱく質に直すと、パンガシウスは約9.0g、スケソウダラは約6.1gです。たんぱく質の量で考えても、タラのほうが約1.5倍高くつく計算になります。
不安どおりに選ぶと損をする
「川の養殖魚は体に悪い」と考えて、パンガシウスをやめてタラに替えたとしましょう。
たんぱく質は増えて、食塩は減ります。ただし残留する薬の基準は同じで、値段は約2倍。毎日の献立で続けると、食費の差は小さくありません。安全のために替えるのなら、その心配は次の4章の検査で確かめてからでも遅くないのです。
タラに替えても、薬の基準は同じなんですね。
はい。値段は約2倍になるので、毎日だと食費の差は大きくなります。
パンガシウスの安全性と輸入検査


いちばん多い不安は、「薬や農薬が残っていないか」でした。
国の検査結果を見ると、基準を超えたものは国内に入らない仕組みがあり、最近の違反もパンガシウスではなかったことが分かりました。順番に確かめます。


輸入の魚も、ちゃんと検査されているんですね。
はい。過去に見つかったことがあるからこそ、検査が続けられています。
基準は輸入品も国産品も同じ
厚生労働省によると、農薬や動物用医薬品には全てに残留基準が決められていて、基準を超える食品は輸入も販売も禁止されています(ポジティブリスト制度)。
このルールは、ベトナム産のパンガシウスにも国産の魚にも同じように当てはまります。輸入品だけ基準がゆるい、ということはありません。
輸入品だけ基準がゆるい、ということはないんですね。
どの国の食品にも、同じ残留基準が当てはまります。
令和7年度の検査結果
厚生労働省の令和7年度の監視指導結果では、輸入食品の届出約253万件に対して214,030件の検査が行われ、違反は791件でした。違反したものは、積み戻しや廃棄などで国内に出回らないよう処理されています。
このうち動物用医薬品の違反は全体で16件、ベトナム産は7件で、7件ともえびの違反でした。なまず(パンガシウス)の違反は載っていません。


過去に見つかったトリフルラリン
平成22年度の資料では、ベトナム産のなまずが、除草剤トリフルラリンを調べる「モニタリング検査の強化品目」に入っていました。
つまり「薬が心配」という噂は、平成22年度(2010年度)ごろには実際に違反が出ていたことが元になっている可能性があります。今は検査を続けたうえで、令和7年度の違反には出てきていません。
昔の違反が、今の噂のもとになっているのかもしれませんね。
その可能性があります。今は検査を続けたうえで、違反は出てきていません。
ASC認証の基準
トップバリュのパンガシウスには、ASC認証のマークが付いています。ASCは、環境や働く人に配慮した養殖に与えられる国際認証です。
ASC Japanによると、認証を受けた養殖場では、WHOが「人の医療に極めて重要」とする抗菌剤はいずれも使えません。使う抗生物質も、獣医の処方が必要とされています。
認証マークがあると、薬の使い方にも決まりがあるんですね。
人の医療に大切な抗菌剤は使えず、使う薬も獣医の処方が必要です。
パンガシウスがまずいと言われる原因


体への影響とは別に、「パンガシウスはまずい」という声も根強くあります。
口コミと表示を見比べると、におい・水っぽさ・身の薄さの3つに分けられました。どれも下ごしらえで変えられるものです。
前に焼いたとき、水がたくさん出てべちゃっとしました。
リン酸塩で保った水分が出てきたんですね。拭き取るだけで、かなり変わりますよ。
川や沼のようなにおい
グリーンビーンズの口コミには、「ロットによっては川や沼のにおいをかすかに感じる」という声がありました。淡水の池で育つ魚なので、海の魚とは違うにおいがすることがあります。
同じ口コミでも、唐揚げやムニエルにすると気にならないという感想が目立ちました。においが気になる人は、加熱する料理から試すとよいでしょう。
唐揚げやムニエルなら、においが気にならないんですね。
加熱する料理から試すのがおすすめです。下ごしらえでも変わりますよ。
解凍すると水が出る
2章で見たとおり、パンガシウスにはリン酸塩が使われ、身に水分を保たせています。そのぶん、解凍や加熱のときに水が出やすいのが特徴です。
トップバリュ公式も、調理のポイントとして「余分な水分は拭き取る」ことを挙げています。水を拭かずに焼くと、べちゃっとした食感になりやすいのです。
べちゃっとするのは、水を拭いていなかったからなんですね。
リン酸塩で水分を保っているぶん、水が出やすいんです。
身が薄くやわらかい
骨と皮を取った切り身は薄く、加熱するとやわらかくくずれやすい特徴があります。煮魚にすると「物足りない」と感じる人もいるでしょう。


逆にいえば、火の通りが早く、子どもでも食べやすいということです。フライやムニエルのように、衣や粉で包む料理と相性がよい魚といえます。
パンガシウスのおいしい食べ方


ここまでの数字から、パンガシウスで気をつけるのは安全性より、塩分と水っぽさだと分かりました。
裏を返せば、下ごしらえと味つけを少し変えるだけで、安くて使いやすい魚になります。4つのコツをまとめます。
タラの代わりに、普段の献立で使ってみたいです。
塩が最初から入っている、と覚えておくのがいちばんのコツです。
解凍後に水けを拭く
冷蔵庫でゆっくり解凍したあと、キッチンペーパーで表面の水けをしっかり拭き取ります。
水けを取ってから焼くと、身がしまり、においも出にくくなります。酒をふって数分おいてから拭くのも、においを抑える方法です。


下味の塩は控えめに
パンガシウスには、100gで0.7gの食塩が最初から入っています。タラと同じつもりで塩をふると、塩分が重なります。
下味の塩は半分ほどにして、レモンやこしょう、ハーブで風味を足すと、塩を増やさなくても味がまとまるでしょう。
最初から塩が入っているなら、塩は少なめでいいんですね。
タラと同じつもりでふると、塩分が重なります。レモンやこしょうで補いましょう。
粉をまぶして焼く
小麦粉や片栗粉を薄くまぶしてから焼くと、表面がカリッとして、やわらかい身もくずれにくくなるのがよいところです。
ムニエルや唐揚げ、フライが向いている料理です。揚げ物にすると脂質は増えるので、毎日食べるなら焼く料理を中心にするとよいでしょう。
粉をまぶすと、くずれにくくなるんですね。
表面がカリッとします。毎日なら揚げるより焼く料理が向いています。
DHAは青魚で補う
パンガシウスは脂が少ないぶん、DHAやEPAは多く期待できません。魚の脂をとりたい日は、さばやいわしなどの青魚と組み合わせるのがおすすめです。
「安い白身魚はパンガシウス、脂は青魚」と役割で使い分けると、食費をおさえながら魚のよさを取り入れられます。
安い白身はパンガシウス、脂は青魚、と使い分ければいいんですね。
食費をおさえながら、魚のよさも取り入れられますよ。
パンガシウスのよくある質問


ここまでの数字をふまえて、パンガシウスについて多い疑問にまとめて答えます。
いずれもメーカーの公式表示と、公的機関の資料にもとづいた回答です。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
パンガシウスは体に悪いですか
トップバリュの表示では100gで58kcal・脂質0.6gと、低カロリーで脂の少ない魚です。
輸入の際は国の残留基準で検査され、令和7年度の動物用医薬品の違反にパンガシウスは入っていません。気をつけたいのは、加工で加えられた食塩(100gで0.7g)です。
抗生物質や農薬は残っていませんか
平成22年度にはベトナム産なまずから除草剤トリフルラリンが見つかり、検査が強化されました。
基準を超えた食品は輸入も販売もできない仕組みで、令和7年度のベトナム産の動物用医薬品違反7件はすべてえびでした。ASC認証の養殖場では、人の医療に重要な抗菌剤は使えません。
タラに替えたほうが体にいいですか
同じ100gで比べると、まだらはたんぱく質が17.6gと多く、食塩は0.3gと少なめです。
ただし値段は約2倍になります。パンガシウスでも下味の塩を控えれば、塩分の差はおさえられます。
パンガシウスはなぜまずいと言われるのですか
淡水の池で育つため、ロットによっては川のようなにおいを感じることもあるようです。
また、リン酸塩で保った水分が解凍時に出て、水っぽくなりやすい魚です。水けを拭き、粉をまぶして焼くと食感がよくなります。
パンガシウスの栄養素の特徴は何ですか
100gあたりエネルギー58kcal・たんぱく質12.9g・脂質0.6g・炭水化物0.5g・食塩相当量0.7gです(トップバリュの表示)。
脂が少ないぶん、DHA・EPAは多く期待できません。量はメーカー表示にも国の成分表にも載っていません。
子どもに食べさせても大丈夫ですか
骨と皮が取ってあり、身がやわらかいので、子どもにも食べやすい魚です。
3〜5歳の食塩の目標量は1日3.5g未満なので、100gで0.7gの塩分をふまえ、下味の塩は控えめにしてください。
パンガシウスについてのまとめ


パンガシウスが体に悪いのかを、トップバリュの公式表示と国の検査結果で確かめてきました。
答えは「安全の基準はタラと同じ。気をつけるのは加えられた塩と水っぽさ」です。
- 100gで58kcal・脂質0.6g
- 原材料に食塩とリン酸塩
- たんぱく質はタラの約7割
- 食塩はタラの約2倍の0.7g
- 最近の薬の違反はえびのみ
- タラに替えると値段は約2倍
パンガシウスを避けてタラにすると、値段は約2倍になるというのが、今回いちばんの発見でした。
高いタラを選ぶより、下ごしらえを変えてみます。
それがいちばんです。水けを拭いて、塩は控えめに。脂は青魚で補ってくださいね。
次にパンガシウスを買うときは、裏面の原材料と、ASC認証のマークを見てみてください。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの公式表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。
同じように冷凍のおかずを調べた味の素の冷凍餃子や、マルシンハンバーグの記事もあわせてどうぞ。






本記事のパンガシウスの原材料・栄養成分・価格は、グリーンビーンズ(イオン)に掲載されたトップバリュ商品の表示です(2026年10月2日確認)。まだら・すけとうだら・ホキ・なまずの値は文部科学省 食品成分データベースの値です。脂質の割合と100円あたりのたんぱく質は、これらの値から計算しています。価格は時期や店舗で変わります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方や治療中の方は、医師の指示を優先してください。






