【検証】酵母エキスは体に悪い?うま味調味料を避けて選んでも主成分はアミノ酸

酵母エキスは体に悪い?酵母エキスは食品の原材料で、気にしたいのはだしの素の食塩、と白だしのびんと小皿を前に驚くナナと微笑むセイジのアイキャッチ

白だしやめんつゆ、顆粒だし、スナック菓子の原材料を見ると、よく出てくる「酵母エキス」。「化学調味料無添加」と書かれた商品にも、多く使われています。

一方で、「酵母エキスは体に悪い」「無添加と書きながら、実はうま味調味料と同じ」という話を耳にして、選び方に迷っている方もいるかもしれません。

酵母エキスの疑問に答えます
  • 酵母エキスが体に悪いと言われる理由を知りたい
  • 添加物なのか、食品なのか気になる
  • 「無添加」の商品なら安心なのか迷う
  • だしの素はどれくらい使ってよいか知りたい

そこで、消費者庁の表示のガイドラインと、食品安全委員会の評価、文部科学省の食品成分表をつき合わせて調べています。

結果、うま味調味料を避けて酵母エキス入りの「無添加」を選んでも、うま味の主成分はアミノ酸でした。むしろ気にしたいのは、だしの素の食塩です。

「無添加」と書いてあるほうを、わざわざ選んでいました……。

表示の意味を知っておくと、選び方が変わりますよ。順番に確かめていきましょう。

この記事で確かめること
  • 酵母エキスは原材料表示のどこに書かれるか
  • 「調味料(アミノ酸等)無添加」の意味
  • うま味調味料の安全性の評価
  • だしの素の食塩と使う量

使う数字は、国の資料に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。

目次

酵母エキスが体に悪いと言われる理由

酵母エキスはなぜ体に悪いと言われる?3つの理由を確かめる、と不安そうなナナと白だしと顆粒だし

酵母エキスに、すぐに体をこわすような成分が入っているわけではありません。それでも「体に悪い」と言われるのはなぜでしょうか。

理由をたどると、3つに分かれました。添加物のように見える名前、「無添加」の表示と一緒に使われること、そして味の濃い食品によく入っていることです。

どれも、なんとなく気になっていたことです。

1つずつ、国の資料で確かめていきますね。

添加物のように見える名前

「エキス」という言葉から、工場で作られた添加物のような印象を持つ方もいます。

酵母エキスは、パンやお酒にも使われる酵母から、うま味のもとになる成分を取り出したものです。添加物かどうかは、2章で表示のルールから確かめます。

名前だけで、添加物だと思いこんでいました。

名前の印象と、表示のルールは別なんです。あとで見ていきましょう。

「無添加」の表示と一緒に使われる

「化学調味料無添加」「調味料(アミノ酸等)不使用」と書かれた商品の原材料に、酵母エキスが入っていることも少なくありません。

そのため、「無添加とうたいながら、同じようなものを入れている」という不信感につながっているようです。3章で、消費者庁の考え方を見ましょう。

無添加なのに、似たものが入っているのは気になります。

実は、消費者庁もこの点を取り上げているんですよ。

味の濃い食品によく入っている

酵母エキスは、だしの素やスープの素、スナック菓子など、うま味をしっかりつけたい食品によく使われます。

こうした食品は、食塩も多めのものが少なくありません。どのくらいの量なのかは、5章で食品成分表から確かめます。

味の濃い食品に入っているから、悪く見えていたのかもしれませんね。

そうなんです。成分そのものと、食品全体の塩分は分けて考えましょう。

酵母エキスは添加物の欄ではなく原材料の欄に書かれる

酵母エキスは添加物ではなく原材料の欄に書かれる、と説明するセイジと書類と虫めがね

食品の原材料表示は、「/」より前が原材料、後ろが添加物という書き方になっています。

消費者庁の不使用表示の解説資料の例でも、酵母エキスはしょうゆや本みりんと同じく「/」より前の原材料の欄に書かれていました。

原材料表示で酵母エキスは「/」より前の原材料、調味料(アミノ酸等)は後ろの添加物

酵母エキスは、添加物の欄には書かれないんですね。

そうなんです。だから「添加物不使用」と書かれた商品にも、入っていることがあるんですよ。

「/」より前が原材料

原材料の欄には、しょうゆ・みりん・食塩など、食品として扱われるものが多い順に並びます。酵母エキスもここに入るなかまです。

一方、うま味調味料のグルタミン酸ナトリウムは添加物なので、「/」より後ろに「調味料(アミノ酸等)」と書かれます。

同じうま味をつけるものでも、書く場所がちがうんですね。

そのとおりです。ここを知っておくと、表示の読み方が分かりますよ。

食品添加物の使用基準はない

酵母エキスは食品として扱われるので、食品添加物のような使用基準はありません。原材料の欄に、ほかの食材と同じように書かれます。

うま味調味料も、国が使用を認めた食品添加物です。どちらがよい・悪いではなく、扱いのちがいだと考えましょう。

扱いがちがうだけで、どちらも使ってよいものなんですね。

そうですね。うま味調味料の安全性は、4章でくわしく見ますよ。

うま味調味料を避けて選んでも主成分はアミノ酸

無添加なら安心?うま味の主成分はアミノ酸、と驚くナナとセイジと白だしの小びん

「調味料(アミノ酸等)無添加」と書かれた商品を選べば、うま味調味料は入っていないはずです。では、何でうま味をつけているのでしょうか。

消費者庁の解説資料には、「調味料(アミノ酸等)無添加」の白だしに、アミノ酸が主成分の酵母エキスが使われている例が載っていました。

調味料(アミノ酸等)無添加の表示でもアミノ酸が主成分の酵母エキスが使われている例

無添加でも、アミノ酸でうま味をつけているんですね。

そうなんです。表示がちがっても、うま味のもとは近いものなんですよ。

消費者庁が挙げる「類型5」

消費者庁の食品添加物の不使用表示に関するガイドラインは、「無添加」「不使用」の表示を10の類型に分けています。

そのうち「類型5」は、同じはたらきの原材料を使っているのに「◯◯無添加」とうたう表示です。例として、アミノ酸を含む抽出物を使いながら、調味料を使っていないと表示することが挙げられています。

国が、気をつける例として挙げているんですね。

そのとおりです。消費者が誤解しないように、という考え方ですよ。

「無添加」は安全という意味ではない

同じガイドラインでは、「無添加だから体によい」「無添加だから安全」と結びつける表示も、誤認させるおそれがあるとしています。

食品添加物は、安全性の評価を受けたうえで国が使用を認めているからです。「無添加」の文字だけで選ぶ必要はありません。

無添加のほうが安全だと思いこんでいました。

表示の言葉より、原材料と栄養成分表示を見るのがコツですよ。

うま味調味料のグルタミン酸は「1日の上限を決める必要なし」

うま味調味料は危険?グルタミン酸は上限を決める必要なし、と驚くナナと白い粉と昆布

では、避けられがちなうま味調味料は、本当に体に悪いのでしょうか。国の評価書で確かめました。

食品安全委員会の評価書によると、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、グルタミン酸とその塩類について、1日に摂ってよい量(ADI)を「特定しない」としていました。

上限を決める必要がない、という意味なんですね。

そうなんです。ふつうに使う量なら、安全性の心配はないという評価ですよ。

日本の評価も同じ考え方

食品安全委員会も、グルタミン酸の塩について発がん性や遺伝毒性はないと考えられるとし、ADIを特定する必要はないと評価しています。

グルタミン酸は、昆布などの食品にもともと含まれるうま味成分です。酵母エキスに含まれるアミノ酸も、うま味という点では同じなかまです。

どちらを選んでも、うま味の成分は近いんですね。

そのとおりです。くわしくはハイミーの記事でも比べていますよ。

うま味調味料の記事も

うま味調味料を使った料理の塩分は、香味ペーストの記事やアジシオの記事でも調べています。

どの記事でも、気にしたいのは、うま味の成分よりも食塩の量という結果でした。

うま味と塩分は、分けて考えるんですね。

そうなんです。次の章で、だしの素の食塩を見ていきますよ。

気にしたいのはだしの素の食塩

本当に気にしたいのはだしの素の食塩、とほほえむセイジと顆粒だし

酵母エキスやうま味調味料がよく入っているのが、顆粒だしや固形スープの素です。文部科学省の食品成分表で、食塩の量を確かめました。

結果、顆粒和風だしは100gあたり食塩40.6g。重さの4割以上が食塩でした。

だしの素の食塩は100gあたり顆粒中華だし47.5g・顆粒和風だし40.6g

だしの素は、ほとんど塩なんですね。

そうなんです。酵母エキスが入っているかどうかより、こちらのほうが大きな差ですよ。

100gあたりで比べると

100gあたり食塩相当量
顆粒中華だし47.5g
固形ブイヨン43.2g
顆粒和風だし40.6g
かつお・昆布だし(液)0.1g
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」(2026年10月20日確認)

かつおと昆布からとっただし(液)は、100gあたり食塩0.1gでした。だしの素とは、食塩の量が大きくちがいます。

自分でとっただしは、ほとんど塩が入っていないんですね。

そうですね。だしの素は、だしと塩をまとめて入れているものなんですよ。

使う量で食塩が決まる

顆粒和風だしの量食塩相当量女性の目標量6.5gに対して
1g約0.4g約6%
2g約0.8g約12%
3g約1.2g約19%
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」から計算
顆粒和風だし1〜3gの食塩と女性の目標量の比較

厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)では、食塩の目標量は1日男性7.5g未満、女性6.5g未満です。だしの素は、量を決めて使うのがいちばんの対策です。

だしの素は、目分量で入れていました。

一度、はかって使ってみると、ふだんの量が分かりますよ。

無添加のだしの素も食塩は確かめる

「化学調味料無添加」のだしの素でも、食塩が入っていることに変わりはありません。

選ぶときは、表の「無添加」の文字より、裏の栄養成分表示の食塩相当量を見るのが確実です。ほかの調味料の塩分は、インスタント味噌汁の記事でも比べています。

表の文字より、裏の数字を見るんですね。

そのとおりです。数字を見る習慣がつくと、選び方が楽になりますよ。

酵母エキスのよくある質問

添加物?無添加?酵母エキスの6つの疑問に答えます、と考えるナナと6つの吹き出し

ここまでの内容をふまえて、酵母エキスについて多い疑問にまとめて答えます。

気になる質問だけ拾い読みしてください。

酵母エキスは体に悪いですか

酵母エキスは食品として扱われ、原材料の欄に書かれます。食品添加物のような使用基準はありません。気にしたいのは、酵母エキスが入ったことの多いだしの素やスープの素の食塩です。

酵母エキスは添加物ですか

添加物ではなく、食品の原材料として扱われます。原材料表示では「/」より前の、原材料の欄に入るものです。

「化学調味料無添加」なら安心ですか

消費者庁のガイドラインでは、アミノ酸を含む原材料を使いながら調味料を使っていないとうたう表示は、誤認させるおそれがある例に挙げられています。「無添加」の文字より、原材料と栄養成分表示を見ましょう。

うま味調味料は体に悪いですか

JECFAは、グルタミン酸とその塩類の1日に摂ってよい量(ADI)を「特定しない」としています。日本の食品安全委員会も、ADIを特定する必要はないと評価しています。

だしの素はどれくらい使ってよいですか

顆粒和風だしは100gあたり食塩40.6gで、1gで約0.4gです。1日の食塩の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満なので、使う量を決めておくと安心です。

子どもの料理に使っても大丈夫ですか

使ってはいけないわけではありません。子どもは体が小さいぶん食塩の割合が大きくなるので、だしの素は少なめにし、味見をして調節しましょう。

酵母エキスは体に悪いかのまとめ

表の無添加より裏の食塩を見る、とうなずくナナとセイジと白だしと顆粒だし

酵母エキスは体に悪いのかを、国の資料で確かめてきました。

答えは「酵母エキスは食品の原材料で、うま味の主成分はアミノ酸。うま味調味料を避けて選んでも、うま味のもとは近い。気にしたいのは、だしの素の食塩」です。

この記事のポイント
  • 酵母エキスは「/」より前の原材料
  • うま味調味料は「/」より後ろの添加物
  • 無添加の白だしにアミノ酸が主成分の酵母エキスの例
  • 消費者庁は類型5として注意を示している
  • グルタミン酸のADIは「特定しない」
  • 顆粒和風だしは100gで食塩40.6g

うま味調味料を避けて「無添加」を選んでも、うま味の主成分はアミノ酸というのが、今回いちばんの発見でした。

「無添加」の文字に安心しすぎていたかもしれません。

そのとおりです。表の言葉より、裏の原材料と食塩相当量を見る。これがいちばん大きなポイントですよ。

次にだしの素を使うときは、袋の裏の食塩相当量を見て、使う量をはかってみてください。

「保存料不使用」の表示が気になる方は、pH調整剤の記事もあわせてどうぞ。消費者庁は、日持ちのために保存料以外の添加物を使いながら「保存料不使用」とうたう表示を、誤認のおそれがある例に挙げていました。

成分ラボでは身近な調味料を、国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの調味料の記事も、あわせてどうぞ。

数値についての注記

本記事の表示のルールは消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月)と同解説資料、グルタミン酸の評価は食品安全委員会「添加物評価書 L-グルタミン酸アンモニウム」(2008年)、だしの食塩は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」、食塩の目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によります(2026年10月20日確認)。使う量ごとの食塩は、これらの値から計算しました。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。食事制限をしている方は、医師や管理栄養士の指示を優先してください。

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