チューブから絞るだけで、炒飯や野菜炒めがお店のような味になる味の素の「Cook Do 香味ペースト」。冷蔵庫に1本常備している家庭も多いはずです。
一方で、「塩分のかたまり」「化学調味料だらけで体に悪い」という口コミを耳にして、使うたびに少し後ろめたく感じている方もいるのではないでしょうか。
- 塩分が多くて心配
- 油っぽさが気になる
- 添加物の中身を知りたい
- 毎日使っていいか迷う
そこで、味の素の公式表示と、味の素自身が公開している炒飯レシピ2つを並べてみました。
結果、うま味調味料「味の素」と塩で作った炒飯のほうが、1人分の塩分は約半分でした。
化学調味料を避けたくて、香味ペーストに任せていたのに……。
塩分を決めているのは添加物ではなく、使う量なんです。順に数字で見ていきましょう。
- 1人前の栄養成分と原材料
- 公式レシピ2つの塩分比較
- 炒飯1皿と1日の目標量
- 脂質と添加物の中身
使う数字は、メーカーの公式表示と、国の資料・食品成分データベースに限りました。
まずは、なぜ「体に悪い」と言われるのかから整理します。
香味ペーストが体に悪いと言われる理由


香味ペーストは、鶏のだしにこがしニンニク油などの香味油を合わせた、ペースト状の中華調味料です。120gと222gのチューブで売られています。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、4つに分かれました。数字で裏が取れるものと、イメージが先に立っているものが混ざっています。
便利すぎるから、かえって怪しく見えるのかもしれません。
その感覚は大事です。1つずつ確かめましょう。
塩分が多い
いちばん多いのが、「しょっぱい=塩分が多そう」という声です。原材料のいちばん最初に「食塩」と書かれているので、そう感じるのも自然です。
実際、炒飯1人前6.5gで食塩相当量は2.3gあります。重さの約35%が塩という計算で、この不安は数字で裏づけられました。
重さの3分の1以上が塩なんですね。
原材料のいちばん最初が食塩です。この不安は数字で裏づけられました。
油が多い
ペーストを絞ると、表面に油が光って見えます。原材料の2番目と3番目も「食用油脂」「香味油」です。
ただ、炒飯1皿の脂質で見ると、ペーストから来る分は約1割でした。いちばん多いのは別のところにあります。5章でくわしく見ていきます。
炒飯の脂質は、ペーストからはそんなに来ていないんですね。
いちばん多いのは炒める油のほうです。5章でくわしく見ます。
化学調味料が入っている
「/」の後ろには、調味料(アミノ酸等)・乳化剤・香料の3つが並んでいます。昔から「化学調味料」と呼ばれてきたうま味成分が入っていることを気にする人もいます。
ところが、塩分で比べると話は逆でした。うま味調味料を直接使ったレシピのほうが、塩分は少なかったのです。3章で確かめます。
うま味調味料を使ったほうが、塩分は少ないんですか。
はい。3章で、同じ会社のレシピどうしで比べてみました。
味が濃くなりやすい
「少量で味が決まるから、つい濃い味に慣れてしまう」という指摘もあります。これは使う人の量しだいで、ペーストそのものの毒性の話ではありません。
ただ、公式レシピでも表示の1人前より多く使っていることが分かりました。量の目安は4章で紹介します。
公式レシピでも、表示より多く使っているんですね。
量の目安を決めておくと安心です。4章で紹介します。
香味ペーストの原材料と栄養成分


ここからは、味の素の商品情報にある「Cook Do 香味ペースト」の表示を見ていきましょう。
栄養成分を見ると、カロリーや脂質は小さく、目立つのは食塩相当量だけでした。


27kcalなら、カロリーは気にしなくてよさそうですね。
はい。見るべき数字は、食塩の2.3gです。
1人前6.5gの栄養成分
| 炒飯1人前(6.5g)あたり | 香味ペースト |
|---|---|
| エネルギー | 27kcal |
| たんぱく質 | 0.80g |
| 脂質 | 2.2g |
| 炭水化物 | 1.1g |
| 食塩相当量 | 2.3g |
| リン | 4.9mg |
| カリウム | 10.3mg |
食塩2.3gは、日本人の食事摂取基準(2025年版)の目標量(成人男性7.5g未満・女性6.5g未満)に対して、男性の約3割、女性の約35%にあたります。
ネット上には「1日の20〜30%」と紹介する記事もあります。しかし女性で計算すると、3割を超えます。
原材料のトップは食塩
| 区分 | 味の素の表示 |
|---|---|
| 原材料(「/」の前) | 食塩(国内製造)、食用油脂、香味油、ポークエキス、砂糖、チキンエキス、野菜エキス、香辛料、酵母エキス、酵母エキス発酵調味料 |
| 添加物(「/」の後ろ) | 調味料(アミノ酸等)、乳化剤、香料 |
| アレルギー物質 | 小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ごま |
原材料は、重さの多い順に書くきまりです。食塩が先頭にあるので、中身でいちばん多いのは塩だと分かります。
食用油脂と香味油が続くのは、ニンニクやねぎの香りを油に移して閉じ込めているためです。
1人前の表示は2通りある
じつは、味の素のサイトには「炒飯1人前」の量が2通り載っています。商品情報では6.5g、ブランドサイトでは4.3g(食塩1.5g)です。
100gあたりに直すと、どちらも食塩は約35gで、濃さは同じでした。違うのは「1人前にどれだけ使うか」の想定だけです。同じ炒飯でも、量しだいで塩分は1.5倍変わるということです。


香味ペーストと塩の炒飯を比較


「香味ペーストは添加物が多いから、塩とこしょうで作ったほうが体にいい」と考える人もいるでしょう。
そこで、味の素の公式レシピサイト「味の素パーク」から、材料がよく似た炒飯を2つ選びました。結果、塩とうま味調味料で作った黄金チャーハンは、香味ペーストの黄金炒飯の約半分の塩分でした。


同じ会社のレシピなのに、2倍も違うんですね。
はい。しかも半分のほうは、うま味調味料「味の素」を使っているレシピです。
比べた2つのレシピ
| 2人分の材料 | 黄金炒飯 | 黄金チャーハン |
|---|---|---|
| ご飯 | 400g | 400g |
| 卵 | 2個 | 2個 |
| チャーシュー | 100g | 60g |
| 味付け | 香味ペースト 17g | 塩 小さじ1/4・味の素 8ふり・しょうゆ 小さじ1・こしょう |
| サラダ油 | 大さじ1・1/2 | 大さじ1 |
| 1人分の塩分 | 4.3g | 2.1g |
| 1人分の脂質 | 23.4g | 16.8g |
ご飯と卵の量は同じで、違いは味付けとチャーシュー・油の量です。1人分の塩分は、4.3gと2.1gでした。
チャーシューの差を引いても約1.8倍
黄金炒飯はチャーシューが40g多いので、その分の塩分も含まれています。食品成分データベースでは、焼き豚100gの食塩相当量は2.4gです。
40gの差は2人分で約1.0g、1人分なら約0.5gです。これを差し引いても3.8gと2.1gで、香味ペーストの炒飯は約1.8倍の塩分が残ります。


うま味調味料を避けると塩分は増える
2つの差は、「うま味をどこから足すか」にあります。黄金チャーハンは、うま味を「味の素」で足して、塩は小さじ1/4に抑えています。
香味ペーストにも、うま味のもとは入っています。ただ、塩・油・うま味が一体になっているので、うま味だけを足すことはできません。味を濃くしようと絞るほど、塩分もいっしょに増えていきます。
「化学調味料は避けたい」と思って選ぶと、塩分は増える方向なんですね。
そうなります。塩分を気にするなら、うま味調味料はむしろ味方です。
香味ペーストの塩分と1日の目標量


次に、炒飯1皿の塩分が、1日の目標量のどれくらいにあたるのかを見てみましょう。
黄金炒飯の4.3gは、成人男性の目標量7.5gの約6割、女性6.5gの約3分の2にあたります。昼に1皿食べれば、夕食に残る塩分はわずかです。


炒飯1皿で、1日の半分以上になるなんて……。
具のチャーシューやハムにも塩が入っているからです。ペーストだけの話ではありません。
日本人はすでに1日9.6g
令和6年 国民健康・栄養調査によると、20歳以上の食塩摂取量は平均1日9.6gでした。男性10.5g、女性8.9gです。
すでに目標量を2〜3gオーバーしている状態です。香味ペーストを「足す」より、何かを「置き換える」使い方が向いています。
もう目標を超えているなら、足すより置き換えなんですね。
塩やしょうゆの代わりに使う、という考え方が向いています。
公式レシピは表示の1.3倍を使う
表示の1人前は6.5gですが、黄金炒飯は2人分で17g、つまり1人分8.5gを使っています。1人分で作る「秒速 レンチン炒飯」も8.5gでした。ブランドサイトが「2人分の目安」とする量を、1人で使っている計算です。
8.5gなら、ペーストだけで食塩は約3.0gです。表示の1人前より0.7g多く、レシピどおりに作ると表示より塩分は増えると覚えておきましょう。


チューブ9cmが表示の1人前
レシピやブランドサイトでは、12cmが8.5g、24cmが17gと書かれています。ここから計算すると、1cmは約0.7gです。
表示の1人前6.5gは、およそ9cmです。ブランドサイトの「ご使用の目安」は2人分で約12cm(8.5g)なので、1人分なら約6cmになります。目分量で絞らず、「1人前は9cmまで」と決めておくだけで、塩分は0.7gほど減らせます。


香味ペーストの油と添加物


続いて、塩分の次によく心配される「油」と「添加物」を見ていきます。
炒飯1人分の脂質を材料ごとに分けると、ペーストから来る脂質は約2.9gで、全体の約1割でした。


油っぽく見えたのは、ペーストより炒め油だったんですね。
大さじ3/4の油だけで約9gあります。まずはそちらを見直すほうが効きます。
脂質のいちばんは炒め油
| 黄金炒飯1人分 | 脂質(目安) |
|---|---|
| 炒め油(大さじ3/4=9g) | 約9.0g |
| 卵(1個・50g) | 約5.1g |
| チャーシュー(50g) | 約4.1g |
| 香味ペースト(8.5g) | 約2.9g |
| ご飯(200g) | 約0.6g |
合計は約21.7gで、レシピの表示23.4gとほぼ合います。炒め油が全体の約4割をしめていました。
フッ素加工のフライパンなら、油を大さじ1/2に減らしても炒められます。ペーストを変えるより、油を減らすほうが脂質は下がります。
調味料(アミノ酸等)の正体
「調味料(アミノ酸等)」は、昆布のうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムなどをまとめた書き方です。いくつ使っていても、1つの名前で表示できるきまりがあります(国民生活センター)。
グルタミン酸ナトリウムは、国際的な評価機関JECFAが1日の許容量を「特定しない」と評価した成分です(日本食品化学研究振興財団の一覧)。ふつうの食べ方で量を心配する必要はない、という意味です。
「アミノ酸等」は、昆布のうま味のなかまなんですね。
国際機関も、1日の許容量を数字で決める必要がないと評価しています。
乳化剤と香料の役目
乳化剤は、ペーストの中の油と水分が分かれないようにする役目です。マヨネーズが分離しないのと同じしくみで、チューブから均一に絞れるのは乳化剤のおかげです。
香料も、一括名で表示できる添加物の1つです。表示からは天然か合成かは分かりません。「合成香料だから危ない」と決めつける根拠は、表示の上にはありません。
均一に絞れるのは、乳化剤のおかげなんですね。
マヨネーズが分離しないのと同じしくみです。
香味ペーストの塩分を減らす使い方


ここまでで、香味ペーストで気にするべきは「塩分」と「使う量」だと分かりました。
やめる必要はありません。量を決めて、ほかの塩分と重ねないことで、毎日の料理にも使えます。
便利だから手放したくないので、使い方を知りたいです。
今日からできることを、3つにしぼりました。
1人前は9cmまでにする
まずは量です。チューブの1cmは約0.7gなので、9cmで表示の1人前6.5gになります。
レシピの12cmから9cmに減らすだけで、1人分の食塩は約0.7g減ります。物足りなければ、こしょうや刻みねぎで香りを足しましょう。
12cmを9cmにするだけで、塩分が減らせるんですね。
物足りなければ、こしょうや刻みねぎで香りを足しましょう。
うま味は別に足す
3章のとおり、塩分を抑えたいならうま味を別に足すのが近道です。ペーストを半分にして、うま味調味料を少しふると、味の厚みを保ったまま塩分を減らせます。
黄金チャーハンが2人分で「味の素」8ふり・塩小さじ1/4で作れていることが、その裏づけです。
ペーストを半分にして、うま味調味料を足すんですね。
味の厚みを保ったまま、塩分だけを減らせます。
塩気のある具と重ねない
ハム・チャーシュー・ベーコンなどの加工肉にも塩が入っています。焼き豚なら50gで約1.2gです。
加工肉を入れる日はペーストを控えめにし、卵やレタス、きのこなど塩気のない具を増やしましょう。スープに使うときは、汁を残すだけでも塩分は減らせます。
ハムやチャーシューにも、塩が入っているんですね。
加工肉を入れる日は、ペーストを控えめにしましょう。
香味ペーストのよくある質問


ここまでの数字をふまえて、香味ペーストについて多い疑問にまとめて答えます。
いずれもメーカーの公式表示と、公的機関の資料にもとづいた回答です。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
香味ペーストは体に悪いですか
添加物が体に悪いという根拠は見つかりませんでした。気にするべきは塩分で、1人前6.5gに食塩2.3g、重さの約35%が塩です。
公式レシピの炒飯1皿は4.3gで、成人男性の目標量の約6割になります。量を決めて使えば、毎日の料理にも使えます。
1日にどれくらいまで使っていいですか
決まった上限はありません。食塩の目標量(男性7.5g・女性6.5g未満)から考えると、表示の1人前6.5gを1日1回までにするのが目安です。
みそ汁や漬け物など、ほかの塩分が多い日はさらに控えめにしましょう。
鶏がらスープの素に替えたほうが塩分は少ないですか
同じ重さで比べると、食品成分データベースの顆粒中華だしの食塩は100gあたり47.5gで、香味ペーストの約35gより多くなります。
替えるだけで塩分が減るわけではありません。どの調味料でも、使う量を決めることが大切です。
化学調味料が入っているのは心配ですか
調味料(アミノ酸等)の主な成分であるグルタミン酸ナトリウムは、JECFAが1日の許容量を「特定しない」と評価しています。
味の素の公式レシピでは、うま味調味料を使った炒飯のほうが塩分は約半分でした。
開封後はどう保存すればいいですか
味の素によると、未開封なら常温、開封後はフタをしっかり閉めて冷蔵庫で保存します。
中身が出にくいときは、チューブをもみほぐしてから使うようすすめています。
子どもに食べさせても大丈夫ですか
食べてはいけない理由はありません。ただ、3〜5歳の食塩の目標量は1日3.5g未満と、大人の半分ほどです。
子どもの分は大人の半量を目安にし、ほかのおかずの塩分も合わせて考えてください。
アレルギー物質は入っていますか
小麦・大豆・鶏肉・豚肉・ごまが含まれています。パッケージに「NEW!」のマークがない物は、ごまが追加された表示です。
アレルギーのある方は、手元の商品の表示を必ず確かめてください。
香味ペーストについてのまとめ


香味ペーストが体に悪いのかを、味の素の公式表示と公式レシピ、国の資料で確かめてきました。
答えは「添加物より塩分。そして塩分を決めるのは使う量」です。
- 1人前6.5gで食塩2.3g
- 重さの約35%が塩
- 炒飯1皿で塩分4.3g
- 塩と味の素の炒飯は約半分
- 脂質の主役は炒め油
- 1人前はチューブ9cm
うま味調味料を避けて香味ペーストに任せると、炒飯の塩分は約2倍になるというのが、今回いちばんの発見でした。
明日からは、9cmで止めてみます。
それがいちばんです。量を決めて、塩気のある具と重ねない。これだけ覚えておいてください。
次に香味ペーストを絞るときは、チューブの長さを一度だけ測ってみてください。
カップスープの塩分は、スープデリの記事で比べています。
同じ調味料では、ガーリックバターソースの記事もあります。添加物を避けてバターで手作りすると、同じ量で脂質は約2.7倍になりました。
合わせ調味料の塩分では、かんたん酢の記事もあります。大さじ1杯で食塩約0.7g、鶏のさっぱり煮にすると1人分で3.2gと、女性の1日の目標量の約半分でした。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの公式表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。
同じ中華だしのウエイパーや、塩分を調べたごはんですよ・味の素の冷凍餃子の記事もあわせてどうぞ。












本記事の香味ペーストの原材料・栄養成分・保存方法は味の素株式会社の商品情報とブランドサイト、炒飯の材料と1人分の塩分・脂質は味の素パークの各レシピの表示です(2026年10月3日確認)。焼き豚・鶏卵・調合油・ご飯・顆粒中華だしの値は文部科学省 食品成分データベースの値です。チャーシューの差し引き、脂質の内訳、チューブ1cmあたりの重さは、これらの値から計算した目安です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。高血圧や腎臓病などで食塩を制限されている方は、医師の指示を優先してください。


