豆腐などの原材料表示で見かけることがある「シリコーン樹脂」。食品を作るときに立つ泡を消すために使われる食品添加物です。
一方で、「シリコンが食べ物に入っているなんて体に悪そう」「消化されずに体にたまるのでは」という話を耳にして、シリコーン樹脂の入った食品を避けようか迷っている方もいるかもしれません。
- シリコーン樹脂に毒性があるのか知りたい
- 体にたまらないか不安
- シリコン製の調理器具と同じものか気になる
- 入っている食品を避けるべきか迷う
そこで、厚生労働省の添加物の使用基準と、国際機関(JECFA)の評価をもとに、シリコーン樹脂をどれだけとっても大丈夫なのかを確かめました。
結果、使用基準の上限いっぱいまで入った豆腐1丁を食べても、1日の許容量の2割にとどまることが分かりました。
シリコンを食べている、と聞くとびっくりしますが……。
使い方にも量にも、はっきり決まりがあるんです。数字で順番に確かめていきましょう。
- シリコーン樹脂は何に使われるか
- 国の使用基準と1日の許容量
- 上限まで入った豆腐で計算すると
- シリコン製の調理器具とのちがい
使う数字は、国の使用基準と国際機関の評価に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。
シリコーン樹脂が体に悪いと言われる理由


シリコーン樹脂(「シリコン樹脂」と書かれることもあります)は、ケイ素と酸素がつながった「シリコーン」の仲間で、食品添加物としては泡を消す役目をしています。シリコーンは、食品添加物のほかに調理器具の素材などにも使われています。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。名前のイメージ、調理器具との混同、そして体にたまるという心配です。
どれも、なんとなく不安になる話ですね。
1つずつ、国の資料で確かめていきましょう。
工業製品のような名前
「シリコーン樹脂」と聞くと、工業用の材料や、プラスチックのようなものを思い浮かべる人が多いでしょう。
ただ、食品添加物としてのシリコーン樹脂は、国が使ってよい目的と量を決めた指定添加物です。2章で使用基準を見ます。
名前だけで、こわく感じていました。
名前より、決まりと量を見るのがコツですよ。
シリコン製の調理器具と混同しやすい
「シリコン 体に悪い」と調べると、シリコンスチーマーやへらなどの調理器具の話もたくさん出てきます。
食べ物に入る添加物と、食べ物にふれる調理器具は、決まりも心配の中身も別のものです。5章で分けて説明します。
同じ「シリコン」でも、話がちがうんですね。
そうなんです。まずは分けて考えましょう。
体にたまるという心配
シリコーン樹脂は消化されにくいので、体にたまるのではと心配する声もあります。
国際機関のJECFAは、シリコーン樹脂の1日摂取許容量(ADI)を決めています。3章で、その量と比べてみましょう。
許容量が決まっているなら、比べられますね。
そうなんです。物差しがあると、こわさが数字になりますよ。
シリコーン樹脂とは?何に使われる添加物か


ここからは、厚生労働省の添加物の使用基準で、シリコーン樹脂の決まりを見ていきます。
結果、使ってよいのは泡を消す目的だけで、量は食品1kgにつき0.050gまでと決められていました。


目的も量も、両方決まっているんですね。
そうなんです。決まりは2つだけなので、覚えやすいですよ。
泡を消すための添加物
食品を作るときには、煮たり混ぜたりする工程で泡が立つことがあります。泡があふれると作業がしにくくなるのが、作る側の困りどころです。
シリコーン樹脂は、この泡を消す「消泡剤」として使われます。泡を消すのに必要な量は、ごく少しです。
泡を消すために入れるんですね。
そうなんです。作る途中の困りごとを減らすための添加物なんですよ。
国の使用基準は2つ
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 使ってよい目的 | 泡を消す目的だけ(消ほうの目的以外に使用してはならない) |
| 使える量の上限 | シリコーン樹脂として、食品1kgにつき0.050g以下 |
上限の0.050gは、食品1kgあたり50mgです。つまり、食品全体の0.005%以下という、とても少ない量です。
「分解しなければならない」決まりはない
ほかのサイトでは、「最終製品に残らないよう分解処理が義務」と書かれていることがあります。
しかし、使用基準に書かれているのは「目的」と「量の上限」の2つだけで、分解の決まりはありません。食品にシリコーン樹脂が残ることを前提に、量の上限が決められていると読むのが正確です。
残らない、ではなかったんですね。
そうなんです。だからこそ、量で確かめることが大切なんですよ。
シリコーン樹脂の1日摂取許容量


次は、どれだけとっても大丈夫なのかを確かめます。JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)は、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン)の1日摂取許容量を評価しています。
結果、1日摂取許容量は体重1kgあたり0〜1.5mgでした。体重50kgの大人なら1日75mg、16.5kgの子どもなら約25mgです。


子どもは、大人の3分の1くらいなんですね。
体重で決まる量なので、そうなります。次の章で、食品の量と比べますよ。
体重1kgあたり1日1.5mgまで
| 体重 | 1日摂取許容量 |
|---|---|
| 50kg(大人) | 75mg |
| 16.5kg(1〜6歳の平均) | 約25mg |
1日摂取許容量は、一生毎日とり続けても健康に影響がないと考えられる量です。動物実験などで影響が出なかった量に、さらに余裕をとって決めた値です。
「制限なし」ではない
ほかのサイトでは、JECFAの評価を「制限なし(not specified)」と紹介しているものもあります。
しかし、JECFAの評価ページでは「0〜1.5mg/kg体重」と数字で決められています。制限がないわけではなく、上限があるからこそ、安心できる量かどうかを計算で確かめられるわけです。
数字があるほうが、かえって安心できますね。
そのとおりです。「制限なし」と言われるより、確かめやすいですよ。
超えたらすぐ危ない、ではない
1日摂取許容量は、一生毎日とり続けた場合を考えた量です。ある日に少し多く食べたからといって、すぐに体に影響が出る量ではありません。
大切なのは、毎日の食事でとる量が、許容量に比べてどれくらいかです。次の章で、豆腐を使って計算してみましょう。
毎日の量で考えればいいんですね。
そうなんです。1日だけを見て慌てなくて大丈夫ですよ。
上限まで入った豆腐1丁でも許容量の2割


では、実際の食品ではどれくらいになるのでしょうか。使用基準の上限いっぱいまでシリコーン樹脂が入っていたと仮定して、豆腐で計算しました。
結果、豆腐1丁(300g)でも15mgで、大人の1日の許容量75mgの2割でした。


上限いっぱいで計算しても、2割なんですね。
そうなんです。実際の量は上限以下なので、もっと少なくなりますよ。
豆腐1丁で15mg
| 食べる量(上限まで入っていた場合) | シリコーン樹脂 | 大人(50kg)の許容量に対して |
|---|---|---|
| 豆腐1丁(300g) | 15mg | 20% |
| 豆腐半丁(150g) | 7.5mg | 10% |
| 上限まで入った食品1.5kg | 75mg | 100% |
許容量に届くのは、上限まで入った食品を毎日1.5kg食べた場合です。ふつうの食事で届く量ではありません。
子どもの場合も2割
体重16.5kgの子どもなら、1日の許容量は約25mgです。上限まで入った豆腐を100g食べても5mgで、許容量の約2割です。
子どもは大人より許容量が少ないぶん、食べる量も少ないので、割合はほとんど変わりません。
子どもでも、同じくらいの割合なんですね。
そうなんです。体重と食べる量の両方で考えると分かりやすいですよ。
上限は「これ以上使えない量」
使用基準の0.050gは、これより多く使ってはいけない量です。実際に使われる量は、この範囲の中に収まります。
つまり、この記事の計算はいちばん多く見積もった場合の数字です。それでも許容量の2割なので、シリコーン樹脂を理由に豆腐を避ける必要はないと言えます。添加物の量を許容量と比べた例は、アルギン酸エステルの記事でも確かめました。
いちばん多く見積もって2割なら、安心できます。
そうなんです。多めに計算しておくのが、確かめ方のコツですよ。
シリコン製の調理器具とは別の話


最後に、よく混同される調理器具の話を整理します。食品安全委員会の資料では、シリコン製の調理器具から溶け出すものを心配する声が取り上げられています。
結果、調理器具は「器具・容器包装」として、溶け出す量に別の規格があることが分かりました。


調理器具には、調理器具の決まりがあるんですね。
そうなんです。決まりの種類がちがうので、分けて考えましょう。
添加物は「食べ物に入れるもの」
食品添加物のシリコーン樹脂は、食べ物の中に少しだけ入るものです。決まりは、さきほど見た使用基準(目的と量)にあたります。
添加物の決まりの考え方は、キサンタンガムの記事やリン酸カルシウムの記事と同じです。量の上限と許容量を比べることで、安全かどうかを確かめられます。
添加物は、量で確かめればいいんですね。
そうなんです。どの添加物でも、同じやり方が使えますよ。
調理器具は「溶け出す量」の規格
シリコン製の調理器具は、食品衛生法でゴム製の器具・容器包装として、溶け出す量の規格が決められています。
食品安全委員会の資料によると、厚生労働省は高温で使うゴム製の器具について分析調査を行っています。調理器具を使うときは、製品に書かれた耐熱温度を守りましょう。
耐熱温度を守るのが大事なんですね。
そうなんです。使い方の表示を確かめてくださいね。
調べるときのコツ
「シリコン 体に悪い」と調べるときは、食べ物の添加物の話か、調理器具の話かをまず分けましょう。
添加物なら使用基準と許容量、調理器具なら耐熱温度と製品の表示を見ます。どちらの話かが分かれば、確かめる場所も分かります。
話を分けるだけで、ずいぶん整理できますね。
そのとおりです。混ぜて考えないのがいちばん大事ですよ。
シリコーン樹脂のよくある質問


ここまでの内容をふまえて、シリコーン樹脂について多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
シリコーン樹脂は体に悪いですか
シリコーン樹脂は、泡を消す目的だけに使ってよい指定添加物です。使用基準の上限いっぱいまで入った豆腐1丁(300g)でも15mgで、大人の1日摂取許容量(75mg)の2割でした。
シリコーン樹脂は体にたまりますか
JECFAは、一生毎日とり続けても健康に影響がないと考えられる量として、1日摂取許容量を体重1kgあたり0〜1.5mgと決めました。上限まで入った豆腐1丁でも、大人の許容量の2割です。
シリコーン樹脂はどんな食品に使われますか
食品を作るときに泡が立つ工程で、泡を消すために使われます。使用基準では、泡を消す目的以外には使えません。
シリコン製の調理器具も体に悪いですか
調理器具は食品添加物とは別に、器具・容器包装として溶け出す量の規格があります。製品に書かれた耐熱温度を守って使いましょう。
子どもが食べても大丈夫ですか
体重16.5kgの子どもの1日摂取許容量は約25mgです。上限まで入った豆腐100gでも5mgで、許容量の約2割でした。
シリコーン樹脂が入った豆腐は避けたほうがいいですか
いちばん多く見積もっても許容量の2割なので、シリコーン樹脂を理由に豆腐を避ける必要はないと考えられます。豆腐はたんぱく質やカルシウムがとれる食品です。
シリコーン樹脂は体に悪いかのまとめ


シリコーン樹脂は体に悪いのかを、厚生労働省の使用基準とJECFAの評価で確かめてきました。
答えは「目的と量が決められた添加物で、上限まで入った豆腐1丁でも許容量の2割。調理器具のシリコンとは別の話」です。
- 使ってよいのは泡を消す目的だけ
- 量は食品1kgに0.050gまで
- 1日摂取許容量は体重1kgに1.5mg
- 上限まで入った豆腐1丁で15mg
- それでも大人の許容量の2割
- 調理器具とは決まりが別
使用基準の上限いっぱいまで入った豆腐1丁を食べても、1日の許容量の2割というのが、今回いちばんの発見でした。
名前ほど、こわいものではなかったんですね。
そのとおりです。名前のイメージより、決まりと量を見る。これがいちばん大事なポイントですよ。
次にシリコーン樹脂の表示を見かけたときは、「泡を消すために、決められた量だけ使われている」ことを思い出してみてください。
成分ラボでは身近な食品を、メーカーの表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの添加物の記事も、あわせてどうぞ。






本記事の使用基準は厚生労働省「添加物の使用基準」、1日摂取許容量はJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)のポリジメチルシロキサンの評価(ADI 0〜1.5mg/kg体重)、調理器具に関する記述は食品安全委員会「平成23年度 食品安全委員会が自ら行う食品健康影響評価の案件候補」資料によります(2026年10月14日確認)。豆腐の計算は、使用基準の上限いっぱいまで入っていたと仮定し、豆腐1丁を300gとして単純に計算しました。実際の使用量は上限以下です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。持病がある方や治療中の方は、医師の指示を優先してください。








