ガムやお菓子、清涼飲料の原材料表示で、まれに見かける「ネオテーム」。あまり聞きなれない名前の甘味料です。
先に答えを書くと、ネオテームは砂糖の7,000〜13,000倍の甘さをもつ甘味料で、食品中の砂糖をすべて置き換えたと仮定しても、推定摂取量は1日にとってよい量の約8%でした。食品安全委員会は、発がん性も遺伝毒性もないと評価しています。
- ネオテームとは何なのか知りたい
- ネオテームの危険性や発がん性が気になる
- アスパルテームとのちがいを知りたい
- どのくらいとっても大丈夫なのか知りたい
そこで、厚生労働省の審議会の報告書、国際機関JECFAと欧州食品安全機関(EFSA)の評価をつき合わせて調べています。
結果、日本の食品安全委員会は1日にとってよい量を体重1kgあたり1.0mgと評価していました。EFSAは2025年に、この量を2mgから10mgへ引き上げています。
聞いたことのない甘味料だと、ちょっと不安です。
そうですよね。国の資料に、くわしい数字がそろっていましたよ。順番に確かめましょう。
- ネオテームの甘さともとになった物質
- 日本・JECFA・EFSAの安全性の評価
- 砂糖をすべて置き換えた場合の推定摂取量
- 砂糖と同じ甘さに必要な量
使う数字や言葉は、国と国際機関の資料に限りました。まずは、ネオテームが危険と言われる理由から見ていきます。
ネオテームが危険と言われる理由


ネオテームが「危険」「体に悪い」と言われるのはなぜでしょうか。
理由をたどると、大きく2つに分かれました。アスパルテームからつくられていることと、甘さがとても強いことです。
どちらも、なんとなく怖い気がします。
1つずつ、資料で確かめていきますね。
アスパルテームからつくる
厚生労働省の添加物部会の報告書によると、ネオテームはアスパルテームをN-アルキル化することで得られた甘味料です。
そのため、「アスパルテームの仲間なら同じように心配」と感じる方もいるはずです。ただ、安全性は物質ごとに評価されています。3章で、ネオテームの評価を確かめましょう。
アスパルテームの仲間と聞くと、心配でした。
その気持ちは分かります。でも、評価はネオテームとして別に行われていますよ。
甘さがとても強い
ネオテームの甘さは、砂糖の7,000〜13,000倍です。少しの量で、強い甘さが出ます。
「そんなに甘いものを食べて大丈夫なのか」と感じるかもしれません。ただ、甘さが強いぶん、使う量はとても少なくてすむということでもあります。5章で、砂糖と同じ甘さに必要な量を計算します。
甘さが強いほど、怖い気がしていました。
逆に言えば、ほんの少ししか使わないということなんです。
ネオテームとは、砂糖の7,000〜13,000倍甘い甘味料


では、ネオテームとはどんな甘味料なのでしょうか。厚生労働省の添加物部会の報告書(2007年)で確かめました。
報告書によると、ネオテームは甘味料として使われ、甘さは砂糖の7,000〜13,000倍、アスパルテームの約30〜60倍でした。
アスパルテームより、さらに甘いんですね。
はい。くわしく見ていきましょう。
甘さは砂糖の7,000〜13,000倍
甘さの倍率は、使う食品の種類や配合によって異なるとされています。そのため、7,000〜13,000倍と幅をもって書かれていました。


アスパルテームと比べると、約30〜60倍の甘さです。アスパルテームも砂糖よりずっと甘い甘味料なので、ネオテームはさらに少ない量で甘くなります。
倍率に幅があるのは、食べ物によってちがうからなんですね。
そうなんです。だから、数字は幅で覚えておくのがいいですよ。
国が指定した指定添加物
厚生労働省の「食品添加物公定書収載添加物分類表」では、ネオテームは「指定」(指定添加物)に分類されています。指定添加物は、国が使ってよいと定めた添加物です。
報告書では、摂取量が1日にとってよい量より十分に低いため、使用基準は設定しないとされていました。ただし、目的の効果を得るのに必要な量を超えないことが前提です。
使える量の決まりがないのは、少し意外です。
とる量が十分に少ないので、決まりを作る必要がないと判断されたんですよ。4章で数字を見ます。
19か国以上で使われていた
報告書によると、ネオテームは米国、オーストラリア等の19か国以上で、甘味やフレーバー増強の目的で使われていたとされています(2007年時点)。
欧州では、当時は認可に向けて検討中でした。いまはEFSA(欧州食品安全機関)が評価を行っていて、2025年に評価をし直しています。甘味料を使った飲み物は、コカ・コーラゼロの記事でも調べています。
海外では、先に使われていたんですね。
はい。日本でも、食品安全委員会がネオテームを評価していますよ。
ネオテームの危険性は?1日にとってよい量は体重1kgあたり1.0mg


では、ネオテームの安全性はどう評価されているのでしょうか。日本の食品安全委員会、国際機関JECFA、欧州のEFSAの3つの評価を並べました。
1日にとってよい量(ADI)は、食品安全委員会が体重1kgあたり1.0mg、JECFAが0〜2mg、EFSAが10mgでした。
評価する機関によって、数字がちがうんですね。
はい。どの試験の結果をもとにしたかで、数字が変わるんです。1つずつ見ていきましょう。
食品安全委員会は1.0mg
報告書によると、食品安全委員会はラットの二世代繁殖試験で子どもの体重が低かったことを根拠に、安全係数100で1日にとってよい量を体重1kgあたり1.0mgと評価しました。


あわせて、各種の動物試験やヒトへの投与試験の結果から、催奇形性・遺伝毒性・発がん性はないと評価しています。高い量で見られた主な影響は、体重の増え方がにぶることなどでした。
発がん性はないと評価されているんですね。
はい。動物試験だけでなく、人に投与した試験の結果も見ているんですよ。
JECFAは0〜2mg
国際機関のJECFAは、2003年に1日にとってよい量を体重1kgあたり0〜2mgと評価しています。
根拠は、イヌの1年間の試験で影響が出なかった量(体重1kgあたり200mg)に、安全係数100をかけたものです。日本の評価とは、もとにした試験がちがいます。
もとにした試験がちがうから、数字もちがうんですね。
そうなんです。どちらも、安全側に余裕をもたせた数字ですよ。
EFSAは10mgに引き上げ
EFSAは2025年の再評価で、1日にとってよい量を、2007年に決めた体重1kgあたり2mgから10mgに引き上げました。
あわせて、遺伝毒性の懸念はなく、マウスとラットの試験で発がん性を示す結果はなかったとしています。推定される摂取量は、どの年代でも10mgを超えないと結論しました。
新しい評価で、量が増えたんですね。
はい。評価をし直した結果、量が引き上げられたということですね。
砂糖をすべて置き換えても、1日にとってよい量の約8%


では、実際にはどれくらいとっているのでしょうか。報告書では、食品中の砂糖をすべてネオテームに置き換えたと仮定して、摂取量を推計していました。
結果は、大人で1日3.84mg(体重50kgとして体重1kgあたり0.0769mg)でした。食品安全委員会の1日にとってよい量(1.0mg)の約8%です。
砂糖を全部置き換えても、1割にもならないんですね。
はい。しかも、これはかなり多めに見積もった計算なんですよ。
大人の推定量
推計は、平成13年国民栄養調査の食品群別の摂取量をもとに、食品中の砂糖をすべてネオテームに置き換えた場合を仮定しています。


体重50kgの人なら、1日にとってよい量は50mgです。推定量3.84mgは、その約8%にあたります。実際には砂糖がすべてネオテームに置き換わることはないので、これより少ないと考えられます。
現実よりも、多めに見積もっているんですね。
そうなんです。多めに見ても、余裕がある数字なんですよ。
子どもは約23%
年齢別では、1〜6歳で1日3.54mg(体重1kgあたり0.225mg)と推計されていました。体重あたりで見ると、大人より多くなります。
それでも、1日にとってよい量(体重1kgあたり1.0mg)の約23%です。子どもは体が小さいので、体重あたりの量で比べることが大切です。
子どもは体重あたりで多くなるんですね。
はい。ただ、それでも上限の4分の1ほどにおさまっていますよ。
砂糖10gと同じ甘さに必要なネオテームは約0.8〜1.4mg


最後に、砂糖と比べてどれくらいの量を使うのかを計算しました。文部科学省の食品成分表の上白糖と、報告書の甘さの倍率を使っています。
砂糖10gと同じ甘さにするのに必要なネオテームは、約0.8〜1.4mgでした。砂糖の1万分の1前後の量です。
1gにも全然届かないんですね。
はい。ミリグラムの単位なので、目には見えないほどの量ですよ。
砂糖10gと同じ甘さ
砂糖10gを、甘さの倍率(7,000〜13,000倍)で割ると、10g÷13,000=約0.8mg、10g÷7,000=約1.4mgになります。


上白糖10gは、食品成分表の値で39kcal(100gあたり391kcal)です。ネオテームなら、同じ甘さをミリグラム単位の量で出せるということです。甘味料と砂糖のカロリーの比べ方は、アクエリアスゼロの記事でも紹介しています。
同じ甘さでも、量がまったくちがいますね。
そうなんです。ほんの少しの量で、砂糖と同じ甘さが出せるということですね。
分解してできる物質も評価済み
報告書では、ネオテームが食品の中で分解してできる物質の量も推計されていました。主な分解物の推定摂取量は、体重1kgあたり1日0.021〜0.136μgです。
1μgは、1mgの1000分の1です。分解物も含めて、とる量はとても小さいと見積もられていました。
分解したあとのことまで、調べてあるんですね。
はい。報告書には、そこまで書かれていましたよ。
ネオテームのよくある質問


ここまでの内容をふまえて、ネオテームについて多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
ネオテームとは何ですか
アスパルテームをN-アルキル化して得られた甘味料です。甘さは砂糖の7,000〜13,000倍、アスパルテームの約30〜60倍で、国が指定した指定添加物です。
ネオテームに危険性や発がん性はありますか
食品安全委員会は、動物試験やヒトへの投与試験の結果から、催奇形性・遺伝毒性・発がん性はないと評価しています。EFSAも2025年の再評価で、遺伝毒性の懸念はなく、発がん性を示す結果はなかったとしています。
ネオテームは1日にどのくらいまでとってよいですか
食品安全委員会の評価では、体重1kgあたり1日1.0mgです。体重50kgの人なら1日50mgになります。JECFAは0〜2mg、EFSAは2025年に10mgとしています。
ネオテームとアスパルテームのちがいは何ですか
ネオテームは、アスパルテームをN-アルキル化して得られた物質で、甘さはアスパルテームの約30〜60倍です。安全性は、ネオテームとして別に評価されています。
ネオテームの使用量に決まりはありますか
使用基準は設定されていません。厚生労働省の審議会は、摂取量が1日にとってよい量より十分に低いため、使用基準は設けないことが適当としました。ただし、必要な量を超えて加えないことが前提です。
子どもがネオテームをとっても大丈夫ですか
食品中の砂糖をすべてネオテームに置き換えたと仮定した推計でも、1〜6歳の摂取量は体重1kgあたり1日0.225mgで、1日にとってよい量の約23%でした。
ネオテームの危険性のまとめ


ネオテームの危険性を、厚生労働省の審議会の報告書、JECFAとEFSAの評価で確かめてきました。
答えは「ネオテームは砂糖の7,000〜13,000倍甘い甘味料で、発がん性や遺伝毒性はないと評価されている。食品中の砂糖をすべて置き換えても、推定摂取量は1日にとってよい量の約8%」です。
- ネオテームはアスパルテームから得られた甘味料
- 甘さは砂糖の7,000〜13,000倍、アスパルテームの約30〜60倍
- 1日にとってよい量は体重1kgあたり1.0mg(食品安全委員会)
- EFSAは2025年に、2mgから10mgへ引き上げた
- 砂糖をすべて置き換えても、大人で約8%・1〜6歳で約23%
- 砂糖10gと同じ甘さに必要な量は約0.8〜1.4mg
砂糖をすべてネオテームに置き換えても、1日にとってよい量の1割に届かないというのが、今回いちばん大事な点でした。
名前だけで怖がっていたのが、もったいなかったです。
そのとおりです。名前のイメージより、評価と数字で判断する。これがいちばん大きなポイントですよ。
次に「ネオテーム」の文字を見かけたら、ほかの原材料もあわせて見てみてください。
成分ラボでは身近な食品を、国の資料と各社の発表をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの記事も、あわせてどうぞ。






本記事のネオテームの甘さ・用途・食品安全委員会の評価・使用基準・推定摂取量は厚生労働省「ネオテームの食品添加物の指定に関する添加物部会報告書」(2007年)、指定添加物の分類は厚生労働省「食品添加物公定書収載添加物分類表」、JECFAの評価はJECFAデータベース(2003年)、EFSAの評価は「Re-evaluation of neotame (E 961) as food additive」(EFSA Journal 2025)、上白糖のエネルギーは文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」によります(2026年10月29日確認)。約8%・約23%の割合と、砂糖10gと同じ甘さに必要な量は、成分ラボが計算したものです。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。








