ちくわやかまぼこ、漬物、お菓子の原材料で見かける「ソルビトール」や「ソルビット」。甘さをつけたり、食品をしっとり保ったりするために使われる食品添加物です。
一方で、「ソルビトールは体に悪い」「発がん性があるのでは」という話を耳にして、ソルビトールの入っていない食品を選ぼうか迷っている方もいるかもしれません。
- 体に悪いのか、はっきり知りたい
- 発がん性があるのか気になる
- お腹がゆるくなる話を聞いた
- 砂糖の代わりならカロリーゼロか知りたい
そこで、国際機関の評価、厚生労働省の資料、文部科学省の食品成分表をつき合わせて、ソルビトールの安全性・お腹への影響・カロリーを調べています。
結果、砂糖を避けてソルビトールにしても、1gあたりのカロリーは砂糖の約3分の2残ることが分かりました。気をつけたいのは毒性より、お腹とカロリーのほうでした。
砂糖の代わりなら、カロリーはほとんどないと思っていました……。
糖アルコールにもカロリーはあるんです。数字で順番に確かめていきましょう。
- ソルビトールの使い道と安全性の評価
- 1gあたりのカロリー
- お腹がゆるくなる量
- 体重ごとの目安
使う数字は、国・国際機関の資料に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。
ソルビトールが体に悪いと言われる理由


ソルビトールは、糖アルコールと呼ばれる甘味のある成分です。アスパルテームやサッカリンのような人工甘味料とは、別の種類になります。原材料の欄には「ソルビトール」または「ソルビット」と書かれます。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。化学的な名前、お腹がゆるくなる話、そしてカロリーの誤解です。
どれも、聞いたことがあります。
1つずつ、国や国際機関の資料で確かめていきましょう。
添加物で発がん性が心配
ソルビトールは食品添加物として使われているので、「発がん性があるのでは」と心配する声があります。
国際機関の評価は、1日の許容量を「特定しない」という、もっとも心配の少ない区分です。2章でくわしく見ていきます。
いちばん心配の少ない区分なんですね。
そうなんです。評価の意味も一緒に確かめましょう。
お腹がゆるくなる
ソルビトールは、一度にたくさんとるとお腹がゆるくなることが知られています。体の中で吸収されにくい性質があるためです。
どのくらいの量で起きるかは、4章で厚生労働省の資料から確かめます。
お腹がゆるくなるのは、ちょっと困ります。
量の目安を知っておけば、避けられますよ。
カロリーゼロだと思われがち
ソルビトールは、砂糖の代わりに使われることもあるので、カロリーがないものと思われがちです。
ところが、ソルビトールにもカロリーはあります。3章で、砂糖と1gあたりで比べます。
私も、カロリーゼロだと思っていました。
甘味料によって、カロリーはさまざまなんですよ。
ソルビトールとは?使い道と国際的な評価


ソルビトールの使い道と安全性を、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)の評価で確かめました。
結果、甘味料や保湿剤などとして認められ、1日の許容量は「特定しない」とされていました。


いろいろな使い道があるんですね。
そうなんです。甘さだけでなく、しっとり保つ役目もあるんですよ。
甘さとしっとり感をつける
| JECFAの機能分類 | 役目 |
|---|---|
| 甘味料 | 甘さをつける |
| 保湿剤 | 水分を保って、しっとりさせる |
| 増量剤・安定剤 | かさを出す、状態を安定させる |
| 食感をととのえる | かたさややわらかさを調える |
練り製品や漬物、お菓子などで、乾燥してかたくなるのを防ぐ目的でも使われるのです。漬物の例は、カリカリ梅の記事でも原材料を確かめました。
1日の許容量は「特定しない」
JECFAは、ソルビトールの1日の許容量(ADI)を「特定しない(NOT SPECIFIED)」としています。
これは、ふつうの使い方で健康に悪い影響が出る心配がほとんどなく、数値の上限を決める必要がないという評価です。発がん性の心配から上限が決められている、ということはありません。
上限がないのは、それだけ心配が少ないということなんですね。
そうなんです。ただし、お腹への影響は別に考えますよ。
マルチトールやキシリトールの仲間
ソルビトールは、マルチトールやキシリトール、エリスリトールと同じ糖アルコールの仲間です。
同じ仲間でも、カロリーやお腹への影響の出やすさはそれぞれちがいます。マルチトールについては、マルチトールの記事でくわしく確かめました。
仲間でも、中身はちがうんですね。
そのとおりです。名前ごとに確かめるのが大事ですよ。
砂糖を避けてもカロリーは3分の2残る


次に、カロリーを確かめます。文部科学省の食品成分表(八訂)には、糖アルコールごとのエネルギー換算係数が決められています。
結果、ソルビトールは1gあたり2.6kcalで、砂糖(上白糖)の3.91kcalの約3分の2でした。


3分の2も残るんですか。
そうなんです。カロリーゼロの甘味料とは、まったくちがうんですよ。
1gあたりで比べると
| 1gあたり | エネルギー |
|---|---|
| 砂糖(上白糖) | 3.91kcal |
| 還元水あめ | 3.0kcal |
| ソルビトール | 2.6kcal |
| マルチトール | 2.1kcal |
| マンニトール | 1.6kcal |
ソルビトールは、糖アルコールの中では高めの部類です。砂糖を避けて選んでも、カロリーは3分の1ほどしか減りません。
カロリーゼロの甘味料とはちがう
アセスルファムKやスクラロースのような甘味料は、ごく少しで甘くなるので、カロリーはほとんどありません。一方、ソルビトールは砂糖と同じように、量を使って甘くする成分です。
「砂糖不使用」「シュガーレス」と書かれていても、ソルビトールなどの糖アルコールでカロリーがあることがあります。甘味料の比べ方は、ミンティアの記事でも確かめました。
「砂糖不使用」でも、カロリーはあるんですね。
そうなんです。栄養成分表示のエネルギーを見るのが確実ですよ。
栄養成分表示の見方
糖アルコールを使った食品では、炭水化物の内訳に「糖質」「糖類」が書かれていることがあります。
糖類は砂糖やぶどう糖などのことで、ソルビトールは含まれません。「糖類ゼロ」でもソルビトールが入っていれば、カロリーはあるので、エネルギーの欄もあわせて確かめましょう。
「糖類ゼロ」と「カロリーゼロ」はちがうんですね。
そのとおりです。言葉のちがいに気をつけましょう。
お腹がゆるくなる量は1日約12gが目安


ソルビトールでいちばん気をつけたいのは、お腹への影響です。厚生労働省の資料には、お腹がゆるくなる量についての研究がまとめられています。
結果、お腹がゆるくならない量の目安は体重1kgあたり1日0.22gで、体重52.6kgの人なら約12gでした。


12gまでなら、お腹がゆるくなりにくいんですね。
そうなんです。ふつうの食品で、一度にこれを超えることはあまりありませんよ。
お腹がゆるくならない目安
| 項目 | 量 | 出典 |
|---|---|---|
| お腹がゆるくならない目安 | 体重1kgあたり1日0.22g | 研究2本の男女の平均 |
| 体重52.6kgの場合 | 1日 約12g | 同上から計算 |
| お腹がゆるくなった量(シロップ) | 20〜30g | 研究1本 |
この目安は、「これを超えると必ずお腹がゆるくなる」という量ではありません。お腹がゆるくならなかった量の上限として示されたものです。
国が注意を出した食品もある
2003年には、1缶でソルビトールを約28.6g含む食品について、厚生労働省が保健所に対応を求めました。
目安の約12gを1缶で2倍以上超える量だったためです。ふつうの食品に入っている量とは、けたがちがう例です。
そんなにたくさん入っていた食品があったんですね。
そうなんです。量が多すぎると、国も注意を出すんですよ。
ふつうの食品なら量は少なめ
ちくわや漬物、お菓子に使われるソルビトールは、しっとりさせたり甘さを足したりする分で、1食で何十gもとることはふつうありません。
ただし、シュガーレスのあめやガムを一度にたくさん食べると、量が増えることがあります。お腹がゆるくなったら、食べる量を減らしましょう。
シュガーレスのお菓子は、食べすぎに気をつけます。
そうですね。パッケージの注意書きもあわせて見ましょう。
体重ごとのお腹がゆるくならない目安


最後に、体重ごとの目安を計算しました。厚生労働省の資料の「体重1kgあたり0.22g」を使います。
結果、体重20kgの小さな子どもでは約4.4gで、大人の3分の1ほどでした。


子どもは、ずっと少ない量なんですね。
そうなんです。体が小さいほど、少ない量で影響が出やすいんですよ。
体重20kgなら約4.4g
| 体重 | お腹がゆるくならない目安(1日) |
|---|---|
| 20kg | 約4.4g |
| 40kg | 約8.8g |
| 60kg | 約13.2g |
この数字は研究の平均から計算した目安で、感じ方には個人差があります。お腹が弱い方は、もっと少ない量でも気づくことがあります。
子どもには量を決めて渡す
子どもにシュガーレスのお菓子をあげるときは、1回に食べる量を決めて渡すと安心です。
お腹がゆるくなったら、その日はソルビトールの入ったお菓子を控えるようにしましょう。不調が続くときは、医師に相談してください。
量を決めて渡すのは、すぐできますね。
そのとおりです。小分けのものを選ぶのも1つの方法ですよ。
ほかの糖アルコールと重ねない
マルチトールなど、ほかの糖アルコールもお腹に同じような影響があります。
シュガーレスのお菓子をいくつも食べると、糖アルコールの合計が増えることがあります。原材料で、糖アルコールがいくつ使われているかも見てみましょう。
合計で考えるんですね。
そうなんです。いろいろな物を少しずつ、が基本ですよ。
ソルビトールのよくある質問


ここまでの内容をふまえて、ソルビトールについて多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
ソルビトールは体に悪いですか
JECFAは1日の許容量を「特定しない」としていて、ふつうの使い方で健康に悪い影響が出る心配はほとんどないと評価しています。気をつけたいのは、一度にたくさんとったときにお腹がゆるくなる点です。
ソルビトールに発がん性はありますか
JECFAの評価で1日の許容量が「特定しない」とされているのは、発がん性なども含めて、上限を決める必要がないと判断されたためです。
どのくらいでお腹がゆるくなりますか
厚生労働省の資料では、お腹がゆるくならない量の目安を体重1kgあたり1日0.22g(体重52.6kgで約12g)としています。シロップで20〜30gとると、お腹がゆるくなったという研究があります。
ソルビトールのカロリーは
食品成分表では1gあたり2.6kcalで、砂糖(上白糖)の3.91kcalの約3分の2です。カロリーゼロではありません。
ソルビトールとソルビットはちがいますか
同じものです。原材料の欄には「ソルビトール」または「ソルビット」と書かれます。
子どもが食べても大丈夫ですか
ふつうの食品に入っている量なら、心配はほとんどありません。ただし体重20kgの子どもでは目安が約4.4gと少ないので、シュガーレスのお菓子などは量を決めて渡しましょう。
ソルビトールは体に悪いかのまとめ


ソルビトールは体に悪いのかを、国・国際機関の資料で確かめてきました。
答えは「1日の許容量は特定しないとされ、毒性の心配は少ない。ただし一度にたくさんとるとお腹がゆるくなり、カロリーも砂糖の約3分の2ある」です。
- 甘味料・保湿剤として使われる
- 1日の許容量は「特定しない」
- 1gあたり2.6kcalで砂糖の約3分の2
- お腹がゆるくならない目安は体重1kgあたり0.22g
- 体重52.6kgで1日約12g
- 子どもは目安が少ないので量を決める
砂糖を避けてソルビトールにしても、カロリーは約3分の2残るというのが、今回いちばんの発見でした。
毒性より、お腹とカロリーに気をつければいいんですね。
そのとおりです。名前でこわがらず、量で考える。これがいちばん大事なポイントですよ。
次にシュガーレスのお菓子を選ぶときは、原材料の糖アルコールと、栄養成分表示のエネルギーを見てみてください。
ソルビットが使われている調味料では、にんにくチューブの記事もあります。添加物より気になるのは食塩で、10gで0.7g、1本使いきると約3gでした。






糖アルコールを使ったお菓子では、フリスクのカロリーの記事もどうぞ。表示の「糖類」に糖アルコールは入らないので、糖類0gでも炭水化物は1缶24〜30gありました。
砂糖の代わりになる甘味料は、ネオテームは危険?の記事でも調べています。ソルビトールとちがい、ネオテームは砂糖10gと同じ甘さに必要な量が約0.8〜1.4mgとごくわずかです。
成分ラボでは身近な食品や添加物を、国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの甘味料や添加物の記事も、あわせてどうぞ。






本記事の安全性の評価はJECFA「SORBITOL」の評価(1982年)、お腹がゆるくなる量の目安は厚生労働省「D-ソルビトールを多量に添加した食品について」(2003年)の参考資料、カロリーは文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」のエネルギー換算係数と上白糖の値によります(2026年10月17日確認)。体重ごとの目安は、体重1kgあたり0.22gを単純にかけて計算しました。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。お腹の不調が続く方や治療中の方は、医師の指示を優先してください。







