【検証】マルチトールの危険性は?糖類ゼロのチョコでもカロリーは1割強しか減らない

マルチトールの危険性は?糖類ゼロのチョコでもカロリーは1割強しか減らない、と2種類のチョコを前に驚くナナと微笑むセイジのアイキャッチ

「糖類ゼロ」「砂糖ゼロ」のチョコやキャンディの原材料に、よく書かれている「マルチトール」。名前は見たことがあっても、どんなものかまでは知らない人が多いのではないでしょうか。

一方で、「マルチトールは危険」「おなかを壊す」「発がん性がある」という声を耳にして、糖類ゼロのお菓子を選んでいいのか迷っている方もいるかもしれません。

マルチトールでこんなお悩みありませんか
  • 食べるとおなかがゆるくなる
  • 発がん性があると聞いた
  • 人工甘味料と同じなのか分からない
  • 普通のお菓子にしたほうがいいか迷う

そこで、国際機関の評価書と国の添加物リスト、メーカーの公式表示をもとに、マルチトールを使ったロッテの「ゼロ」と、普通のミルクチョコ「ガーナミルク」を50gで並べてみました。

結果、糖類ゼロのチョコでも、カロリーは普通のチョコより1割強しか減らないことが分かりました。

糖類ゼロなら、カロリーもぐっと低いと思っていました……。

「ゼロ」が何のゼロなのかを知ると、選び方が変わりますよ。数字で順番に確かめていきましょう。

この記事で確かめること
  • マルチトールの正体
  • 普通のチョコとの比較
  • 発がん性と安全性
  • おなかとの関係

使う数字は、メーカーの公式表示と国や国際機関の資料に限りました。まずは、なぜ危険と言われるのかから見ていきます。

目次

マルチトールが危険と言われる理由

マルチトールが危険と言われる理由。気になる声は3つ、いちばんはおなか、と吹き出しに囲まれて困った顔のナナのバナー

マルチトールは、糖類ゼロのお菓子やシュガーレスのガムによく使われる甘い成分です。原材料には「還元麦芽糖水飴」と書かれていることもあります。「危険」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。

いちばん多いのは、おなかがゆるくなるという声です。そこに、発がん性のうわさと、人工甘味料との混同が重なっています。

糖類ゼロのチョコを食べすぎて、おなかがゆるくなったことがあります。

それには理由があるんです。順番に見ていきましょう。

おなかがゆるくなる

マルチトールのような糖アルコールは、体に吸収されにくい性質があります。そのため、一度にたくさんとると、おなかがゆるくなることがあります。

これは事実で、ヨーロッパでは注意書きが義務になっているほどです。5章でくわしく見ます。

私の体質のせいかと思っていました。

量によっては、だれにでも起こりうることなんですよ。

発がん性のうわさ

マルチトールには「発がん性がある」といううわさもあります。参考にした記事では、「動物実験でも発がん性を示す結果は出ていない」と書かれていました。

ただ、国際機関の評価書を読むと、ラットに大量に与えた試験では腫瘍が増えていました。それでも安全とされた理由を、4章で確かめます。

えっ、腫瘍が増えたんですか。

驚きますよね。どういう条件で、どう判断されたのかが大事なんです。

人工甘味料と混同されやすい

「ゼロ」のお菓子には、アスパルテームやスクラロースなどの甘味料も一緒に使われていることがあります。そのため、マルチトールも人工甘味料の1つと思われがちです。

ところが、日本の表示のルールでは、マルチトールは添加物ではなく食品として扱われています。2章でくわしく見ます。

甘味料と同じものだと思っていました。

原材料表示の書かれ方を見ると、違いがよく分かりますよ。

マルチトールとは何か

マルチトールは添加物ではなく食品の扱い、と白い粉の小皿と麦の穂を前に説明するセイジのバナー

マルチトールは、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)の資料で「還元麦芽糖(hydrogenated maltose)」とも呼ばれる糖アルコールです。

結果、日本では添加物のリストに名前がなく、食品として扱われていることが分かりました。

マルチトールとは何かの図解。麦芽糖に水素を結びつけた糖アルコールで、日本では添加物のリストになく食品として扱われる

添加物じゃないなんて、意外でした。

国のリストで確かめてみましょう。

麦芽糖から作る糖アルコール

マルチトールは、麦芽糖に水素を結びつけて作る糖アルコールです。砂糖のような甘さがありながら、体に吸収されにくいのが特徴です。

砂糖や麦芽糖は「糖類」に入りますが、マルチトールは糖類に入りません。そのため、マルチトールで甘さを出したお菓子は「糖類ゼロ」と表示できます。

甘いのに、糖類ではないんですね。

そうなんです。ここが「糖類ゼロ」のしくみの入り口ですよ。

日本では添加物ではなく食品

国のリストマルチトール(参考)キシリトール
指定添加物リストなしあり
既存添加物名簿なし―
原材料表示の位置「/」の前(食品)「/」の後ろ(添加物)
出典:指定添加物リスト(規則別表第1)、既存添加物名簿(令和7年8月25日現在)(いずれも日本食品化学研究振興財団の掲載版)、ロッテ公式「ゼロ」原材料表示

日本の添加物は、国が認めたリストに載っているものだけです。マルチトールはどちらのリストにも名前がありません。ロッテ「ゼロ」の原材料表示でも、マルチトールは添加物を区切る「/」より前に書かれていました。

「糖類ゼロ」の意味

ロッテの説明によると、「糖類」は砂糖・乳糖・ブドウ糖などの単糖類と二糖類のことです。100gあたり0.5g未満なら「糖類0」と表示できるきまりになっています。

ロッテも「糖類は糖質の一部です。本品は糖質を含みます」と書いています。糖類ゼロでも、糖質やカロリーはゼロではないのです。

糖類と糖質は、別ものだったんですね。

そうなんです。だからカロリーも、思ったほど下がらないんですよ。

マルチトールを避けて普通のチョコにすると

糖類ゼロのチョコでもカロリーは1割強減るだけ、とほぼ釣り合った天びんの2枚のチョコを見るセイジとナナのバナー

「マルチトールが心配なら、普通のチョコにすればいい」と考える人もいるでしょう。そこで、ロッテ公式の「ゼロ」と「ガーナミルク」を、同じ50gで並べてみました。

結果、エネルギーは240kcalと278kcalで、差は1割強でした。糖類ゼロでも、カロリーが大きく下がるわけではありません。

マルチトールを使ったロッテのゼロとガーナミルクを50gで比べた図解。エネルギーは240kcalと278kcal

糖類ゼロなのに、カロリーはあまり変わらないんですね。

チョコのカロリーは、糖だけでなく脂質からも来ているからなんです。

カロリーは1割強しか違わない

50gあたりゼロ(マルチトール使用)ガーナミルク
エネルギー240kcal278kcal
炭水化物25.0g28.3g
糖類0g(表示なし)
脂質20.0g16.6g
原材料のいちばん最初カカオマス砂糖
出典:ロッテ公式「ゼロ」(1本10gあたりの値を5本分に換算)、ロッテ公式「ガーナミルク」(1箱50gあたり・2026年10月12日確認)

マルチトールを避けてガーナミルクにすると、エネルギーは240kcalから278kcalへ約1.16倍です。逆に言えば、ゼロにしてもカロリーは1割強しか減らないということになります。

脂質はゼロのほうが多い

意外なことに、脂質はゼロが20.0g、ガーナミルクが16.6gで、ゼロのほうが多くなっています。

「ゼロ」は糖類のゼロであって、脂質やカロリーのゼロではありません。ダイエット目的で選ぶなら、エネルギーの数字も見ておきましょう。

ゼロのほうが脂質が多いなんて、知りませんでした。

名前だけで選ばず、栄養成分表示まで見るのが大切ですね。

ゼロには甘味料も入っている

ゼロの原材料には、マルチトールのほかにラクチトールという糖アルコールと、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、スクラロース)も使われています。

糖類ゼロのお菓子は、いくつもの甘いものを組み合わせて甘さを出していることが多いのです。甘味料の話は、ラカントの記事でも調べています。

マルチトールだけで甘くしているわけではないんですね。

原材料を最後まで読むと、組み合わせがよく分かりますよ。

マルチトールの発がん性と安全性

マルチトールの国際機関の評価は許容量を特定しない、と書類と虫めがねとチェック印を前に笑顔のナナのバナー

次は、「マルチトールに発がん性がある」という不安を確かめます。国際的な評価をしているのは、JECFAです。

結果、ラットの試験で腫瘍が増えた結果も検討したうえで、1日の許容摂取量は「特定しない」と評価されていました。

マルチトールの安全性についてJECFAの評価をまとめた図解。1日の許容摂取量は特定しない

腫瘍が増えたのに、安全なんですか。

そこが大事なところです。評価書の中身を順番に見ていきましょう。

JECFAは許容量を「特定しない」

JECFAは1993年、マルチトールの1日の許容摂取量(ADI)を「特定しない」と評価しました。1997年には、マルチトールを含むシロップ状の製品も同じ評価になっています。

「特定しない」は、ふつうに食品に使う量では健康への心配がなく、数値の上限を決める必要がないという意味です。

上限を決めなくていいほど、という意味なんですね。

そうなんです。ただ、そこに至る経緯も知っておきましょう。

ラットの試験で出た変化

1993年の評価書では、マルチトールを約87%含むものを、ラットに体重1kgあたり1日最大4.5g与える2年間の試験が検討されました。いちばん多い量の群で、副腎の腫瘍が増えていました。

JECFAは、これを吸収されにくい糖アルコールを大量にとったラットで知られている変化として扱い、これまでの結論に沿って「特定しない」を確認しています。そのうえで、この変化について将来もう一度検討するよう勧めています。

体重1kgあたり4.5gって、どのくらいなんですか。

体重50kgの人なら、毎日225gです。ふつうにお菓子で食べる量とは、まるで違いますね。

参考記事との違い

参考にした記事では「動物実験でも発がん性を示す結果は出ていない」と書かれていましたが、正確には、大量に与えた試験で腫瘍が増えた結果はあったのです。

そのうえで、国際機関は人がふつうに食べる量では心配ないと判断しています。「何も出ていない」ではなく、「出た結果も検討して判断された」と理解しておくとよいでしょう。

「何もない」と「検討して大丈夫」は、ずいぶん違いますね。

そうなんです。うわさにも安心にも、根拠をセットで持っておきたいですね。

マルチトールとおなかの関係

マルチトールのお菓子は一度にたくさん食べず1〜2本から、とチョコ2本の小皿と閉じた箱を前にしたセイジとナナのバナー

では、マルチトールとはどう付き合えばよいのでしょうか。いちばん身近な心配は、発がん性よりもおなかがゆるくなることです。

これは、体に吸収されにくい糖アルコールならではの性質といえます。食べる量を少しずつ確かめることが大切です。

マルチトールとおなかの関係の図解。EUでは糖アルコールを10%超加えた食品に注意表示を義務づけている

どのくらいでゆるくなるかは、人によって違うんですか。

体質や体調で変わります。だからこそ、少しずつ試すのが安心なんですよ。

吸収されにくい糖アルコール

マルチトールは、体に吸収されにくい糖アルコールです。吸収されなかった分がおなかの中に残り、量が多いとおなかがゆるくなることがあります。

糖類ゼロのお菓子は、ついたくさん食べてしまいがちです。一度に1箱を食べきらないのがポイントです。

ヘルシーだと思って、1箱食べていました。

分けて食べるだけで、ずいぶん違いますよ。

EUでは注意書きが義務

ヨーロッパの食品表示の規則(EU規則1169/2011 附属書III)では、マルチトールなどの糖アルコールを10%を超えて加えた食品に、「とりすぎるとおなかがゆるくなることがある」と書くよう義務づけています。

日本では同じ義務はありませんが、同じ性質の成分であることに変わりはありません。表示がなくても、量には気をつけましょう。

ヨーロッパでは、袋に書いてあるんですね。

そうなんです。日本で買うときは、自分で量を決めておくと安心ですよ。

初めてのときは少しずつ

ゼロ1箱(50g)の糖質は20.0gで、糖類は0gです。この糖質の多くは、マルチトールなどの糖アルコールと考えられます。

初めて食べるときは、1〜2本から試して、おなかの様子を見るのがおすすめです。甘味料を使ったお菓子の話は、ミンティアの記事でも調べています。

少しずつなら、安心して試せますね。

体に合う量が分かれば、上手に付き合えますよ。

マルチトールのよくある質問

マルチトールのよくある6つの疑問に数字で回答、と6つの吹き出しの横で笑顔のナナのバナー

ここまでの内容をふまえて、マルチトールについて多い疑問にまとめて答えます。

気になる質問だけ拾い読みしてください。

マルチトールは危険ですか

JECFAは、1日の許容摂取量を「特定しない」と評価しています。ふつうに食べる量で心配な成分ではありません。

ただし、一度にたくさんとるとおなかがゆるくなることがあります。量を決めて食べましょう。

マルチトールに発がん性はありますか

ラットに体重1kgあたり1日4.5gを与えた試験では、副腎の腫瘍が増えました。

JECFAは、吸収されにくい糖アルコールを大量にとったラットで知られる変化として扱い、許容量を「特定しない」と確認しています。

マルチトールは添加物ですか

日本の指定添加物リストにも既存添加物名簿にも名前がなく、食品として扱われています。

原材料表示では、添加物を区切る「/」より前に書かれるのが目印です。

糖類ゼロならカロリーも低いですか

低いとは限りません。ロッテのゼロは50gで240kcal、ガーナミルクは278kcalで、差は1割強です。

脂質はゼロのほうが多いので、エネルギーの数字も見て選びましょう。

マルチトールで血糖値は上がりますか

ロッテは「血糖値を急上昇させる糖類が含まれておりません」としつつ、「本品は糖質を含みます」とも書いています。

糖尿病などで治療中の人は、食べる量を医師に相談してください。

子どもが食べても大丈夫ですか

食べても問題はありませんが、子どもは体が小さいぶん、少ない量でもおなかがゆるくなりやすいと考えられます。

一度にたくさん食べないよう、量を決めて渡しましょう。

マルチトールの危険性のまとめ

ゼロの文字より何がゼロかを見る、と2枚のチョコと虫めがねの前に並ぶセイジとナナのバナー

マルチトールの危険性を、国際機関の評価書と国の添加物リスト、メーカーの公式表示で確かめてきました。

答えは「ふつうに食べる量なら心配はいらない。気をつけるのは一度に食べる量と、ゼロでも下がりきらないカロリー」です。

この記事のポイント
  • 麦芽糖から作る糖アルコール
  • 日本では添加物ではなく食品の扱い
  • 糖類ゼロでもカロリーは1割強減るだけ
  • 脂質はゼロのほうが多い
  • JECFAは許容量を「特定しない」
  • 一度にたくさん食べない

糖類ゼロのチョコでも、カロリーは普通のチョコより1割強しか減らないというのが、今回いちばんの発見でした。

「ゼロ」の文字だけで、安心しないようにします。

そのとおりです。何がゼロなのかを確かめて、量を決めて食べる。これがいちばん大事なポイントですよ。

次に糖類ゼロのお菓子を手に取ったら、エネルギーの数字も見てみてください。

砂糖のかわりに使われる糖では、トレハロースの記事もあります。甘さは砂糖の4割弱でもカロリーは同じ1gあたり4kcalで、砂糖10gと同じ甘さにすると約2.6倍になりました。

同じ糖アルコールの仲間では、ソルビトールの記事もあります。1gあたり2.6kcalで砂糖の約3分の2、お腹がゆるくなりにくい量は体重52.6kgで1日約12gが目安でした。

成分ラボでは身近な食品や成分を、メーカーの表示と国や国際機関の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの記事も、あわせてどうぞ。

数値についての注記

本記事の商品の原材料と栄養成分は、ロッテ公式の商品情報「ゼロ」「ガーナミルク」の表示です(2026年10月12日確認)。ゼロの50gあたりの値は、1本10gあたりの値を5本分に換算しました。マルチトールの評価はJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)の評価書(WHO Food Additives Series 32・1993年)と評価の要約によります。日本の添加物の扱いは、日本食品化学研究振興財団が掲載する指定添加物リストと既存添加物名簿で確かめました。EUの表示ルールはEU規則1169/2011の附属書IIIによります。商品の中身は変わることがあるため、購入時はパッケージの表示を確かめてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。糖尿病などで治療中の方や、おなかの調子に不安のある方は、医師の指示を優先してください。

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