パンに塗りやすく、長く親しまれている雪印メグミルクの「ネオソフト」。冷蔵庫から出してすぐ塗れる、やわらかいマーガリン類です。
一方で、「マーガリンはトランス脂肪酸が多くて体に悪い」「海外では禁止されている」という話を耳にして、バターに替えようか迷っている方もいるかもしれません。
- トランス脂肪酸がどのくらいか知りたい
- 海外で禁止されていると聞いて不安
- バターに替えたほうがよいか迷う
- 毎朝パンに塗っても大丈夫か知りたい
そこで、雪印メグミルクの公式表示と、農林水産省のトランス脂肪酸の調査をつき合わせて、ネオソフトとバターを同じ10gで比べています。
結果、ネオソフトを避けてバターにすると、トランス脂肪酸は約4倍になることが分かりました。いまのネオソフトのトランス脂肪酸は、食パン1枚分で0.05gでした。
バターのほうが、トランス脂肪酸は少ないと思っていました……。
バターにも、もともとトランス脂肪酸が入っているんです。順番に確かめていきましょう。
- ネオソフトの原材料と栄養成分
- ネオソフト4種類のトランス脂肪酸
- バターと10gで比べた結果
- 海外の規制と日本人の摂取量
使う数字は、メーカーの公式表示と国の資料に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。
ネオソフトが体に悪いと言われる理由


ネオソフトは、植物油脂を主な原料にした「ファットスプレッド」です。マーガリンと同じなかまで、パンに塗りやすい固さに作られています。トーストに塗る家庭用のマーガリン類として、長く売られている商品です。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。トランス脂肪酸、海外の規制の話、そして植物油なのに固いことです。
どれも、聞いたことがあります。
1つずつ、公式の表示と国の資料で確かめていきましょう。
トランス脂肪酸が多いイメージ
マーガリン類は、トランス脂肪酸が多い食品として名前があがることがよくあります。
ところが、いまのマーガリン類のトランス脂肪酸は、以前の調査より大きく減っています。5章で国の調査を比べます。
昔と今で、ちがうんですね。
そうなんです。古い情報のまま広まっていることもあるんですよ。
海外では禁止されていると聞く
「アメリカではマーガリンが禁止された」という話を耳にすることがあります。実際に規制されているのは、「部分水素添加油脂」という原料です。
農林水産省は、トランス脂肪酸そのものを食品に加えることが禁止されたわけではないと説明しています。5章でくわしく見ていきます。
マーガリンが禁止されたわけではないんですね。
そのとおりです。何が規制されたのかを正確に知ることが大事ですよ。
植物油なのに固い
植物油はふつう液体ですが、ネオソフトは冷蔵庫で固まった状態です。そのため、不自然な加工をしているのではと心配する声があります。
原材料には、「食用精製加工油脂」という、固さを調えるための油脂が使われています。2章で原材料を確かめましょう。
固さを出すための油が入っているんですね。
そうなんです。原材料を見ると、役割が分かりますよ。
ネオソフトの原材料と栄養成分


ネオソフトの中身を、雪印メグミルクの公式の商品情報で確かめました。
結果、10g(食パン1枚に塗る量)で60kcal、脂質6.6g、トランス脂肪酸0.05gでした。


食パン1枚分で、60kcalなんですね。
そうなんです。塗る量で、カロリーも脂質も変わりますよ。
原材料は植物油脂と加工油脂
原材料は多い順に、食用植物油脂、食用精製加工油脂、食塩、粉乳です。添加物は乳化剤・香料・着色料(カロテン)の3つでした。
乳化剤は、水分と油を均一に混ぜるために使われています。乳化剤そのものについては、乳化剤の記事で国や国際機関の評価を確かめました。
乳化剤は、水と油を混ぜるためなんですね。
そうなんです。名前に役割が表れていますよ。
10gで60kcal
| 10gあたり | ネオソフト |
|---|---|
| エネルギー | 60kcal |
| 脂質 | 6.6g |
| 飽和脂肪酸 | 2.3g |
| トランス脂肪酸 | 0.05g |
| 食塩相当量 | 0.12g |
雪印メグミルクは、食パン1枚に塗る量はおよそ8〜10gとしています。この記事でも10gを1回分として比べます。
名前はファットスプレッド
ネオソフトの名称は、「ファットスプレッド」です。公式の商品情報では、油脂含有率は66%とされています。
マーガリンより油脂の割合が少ないものが、ファットスプレッドと呼ばれます。どちらも「マーガリン類」のなかまです。
マーガリンとファットスプレッドは、油の割合がちがうんですね。
そのとおりです。表示の名前を見ると分かりますよ。
ネオソフトのトランス脂肪酸は10gで0.05g


トランス脂肪酸の量を、雪印メグミルクの公式Q&Aで確かめました。ネオソフトのなかまの4種類が、10gあたりで公開されています。
結果、ネオソフトは0.05gで、4種類とも0.02〜0.06gでした。


どれも、ほんの少しなんですね。
そうなんです。1日の目安と比べてみましょう。
4種類で比べる
| 10gあたり | トランス脂肪酸 |
|---|---|
| ネオソフト コクのあるバター風味 | 0.06g |
| ネオソフト | 0.05g |
| ネオソフト ハーフ | 0.04g |
| ネオソフト べに花 | 0.02g |
いちばん少ないのはべに花の0.02gでした。ただし、どれも10gで0.1gに届かないので、好みで選んでよい差です。
WHOの目安の2.5%
農林水産省によると、WHO/FAOの専門家会合は、トランス脂肪酸を総エネルギーの1%未満にするよう勧告しています。日本人の平均では1日約2gにあたります。
ネオソフト10gの0.05gは、この約2gの2.5%です。毎朝1枚に塗っても、トランス脂肪酸の量はごくわずかです。
2.5%なら、ほとんど気にしなくてよさそうですね。
そうですね。ただ、脂質全体のとりすぎには気をつけましょう。
塗る量で変わる
数字は10gあたりなので、たっぷり塗るとそのぶん増えます。20g塗れば、どの数字も2倍です。
トランス脂肪酸より、脂質やカロリーのほうが、塗る量で大きく変わると考えておきましょう。
塗る量を決めるのが大事なんですね。
そのとおりです。薄く広げて塗るのがコツですよ。
ネオソフトをバターに替えるとトランス脂肪酸は約4倍


次に、バターと比べました。バターは雪印北海道バターの公式表示、バターのトランス脂肪酸は農林水産省の調査の平均値を使っています。
結果、10gあたりのトランス脂肪酸はバター0.19gで、ネオソフトの約4倍でした。飽和脂肪酸も約2.2倍です。


バターのほうが、多いんですね。
そうなんです。バターにも、もともとトランス脂肪酸が入っているんですよ。
10gで比べると
| 10gあたり | ネオソフト | バター |
|---|---|---|
| トランス脂肪酸 | 0.05g | 0.19g |
| 飽和脂肪酸 | 2.3g | 5.1g |
| エネルギー | 60kcal | 73kcal |
| 食塩相当量 | 0.12g | 0.14g |
バターのトランス脂肪酸は、国の調査の平均値で、商品ごとの値ではありません。それでも、ネオソフトより多いことは分かります。
バターには天然のトランス脂肪酸
農林水産省によると、トランス脂肪酸は牛などの胃の中でも自然にできるため、牛乳や乳製品、牛肉にも含まれています。
バターのトランス脂肪酸は、原料の牛乳に由来するものです。作り方を変えても、なくすことはできません。同じ比べ方は、ネオバターロールの記事でもしました。
バターは自然のものだから、ゼロだと思っていました。
自然のものにも入っている、というのがポイントですよ。
飽和脂肪酸は約2.2倍
10gあたりの飽和脂肪酸は、ネオソフト2.3g、バター5.1gでした。バターに替えると、飽和脂肪酸も約2.2倍になります。
飽和脂肪酸も、とりすぎると血中のコレステロールを増やすことが知られています。トランス脂肪酸だけを見て選ぶと、ほかの脂肪酸を見落としがちです。
どちらを選んでも、塗る量が大事なんですね。
そのとおりです。量を決めれば、好みで選んで大丈夫ですよ。
マーガリン類のトランス脂肪酸は15年で10分の1以下


最後に、マーガリン類全体の変化を、農林水産省の平成18・19年度の調査と令和4・5年度の調査で比べました。
結果、ファットスプレッドのトランス脂肪酸は、100gあたり平均6.1gから0.48gに減っていました。10分の1以下です。


こんなに減っているんですね。
そうなんです。「マーガリンは多い」というのは、昔の話になりつつありますよ。
15年で10分の1以下に
| 100gあたり平均 | 平成18・19年度 | 令和4・5年度 |
|---|---|---|
| ファットスプレッド | 6.1g | 0.48g |
| マーガリン | 8.7g | 0.65g |
ネオソフトの0.05g(10gあたり)は、100gにすると0.5gで、令和4・5年度の平均とほぼ同じです。いまのマーガリン類の標準的な値でした。
アメリカは原料を規制
農林水産省のまとめでは、アメリカやカナダなどは部分水素添加油脂の使用を規制しています。EUなどは、食品中のトランス脂肪酸の上限値を決めています。
日本では、消費者庁が、トランス脂肪酸の量を事業者が自主的に開示するよう呼びかけています。ネオソフトの値が公開されているのも、その流れの1つです。
国によって、やり方がちがうんですね。
そうなんです。とる量が多い国ほど、きびしく決めているんですよ。
日本人の摂取量は約0.3%
農林水産省によると、食品安全委員会は日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量を総エネルギーの約0.3%と推定しています。WHOの目安の1%未満を下回っています。
ただし、脂質の多い食事が続くと、とる量も増えます。マーガリンだけでなく、揚げ物や洋菓子など脂質全体を控えめにすることが大切です。マーガリンを使ったパンについては、ロイヤルブレッドの記事でも調べました。
食事全体で考えるんですね。
そのとおりです。1つの食品だけで決めないことが大事ですよ。
ネオソフトのよくある質問


ここまでの内容をふまえて、ネオソフトについて多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
ネオソフトは体に悪いですか
トランス脂肪酸は10g(食パン1枚分)で0.05gで、WHOの目安の1日約2gの2.5%にあたります。気をつけたいのはトランス脂肪酸より、塗る量による脂質やカロリーの増え方です。
ネオソフトのトランス脂肪酸はどのくらいですか
雪印メグミルクの公式Q&Aでは、10gあたり0.05gでした。ネオソフト べに花は0.02g、ハーフは0.04g、コクのあるバター風味は0.06gと、どれも0.1gに届きません。
バターとネオソフトはどちらが体にいいですか
10gで比べると、トランス脂肪酸はバターが約4倍、飽和脂肪酸も約2.2倍でした。どちらも脂質が多い食品なので、好みで選び、塗る量を決めることが大切です。
マーガリンは海外で禁止されていますか
アメリカなどが規制しているのは、トランス脂肪酸ができやすい「部分水素添加油脂」という原料です。マーガリンという食品そのものが禁止されたわけではありません。
毎朝パンに塗っても大丈夫ですか
10gずつなら、トランス脂肪酸は0.05g、エネルギーは60kcalにとどまります。たっぷり塗ると脂質が増えるので、薄く広げて塗るのがおすすめです。
ネオソフトの添加物は何ですか
乳化剤・香料・着色料(カロテン)の3つです。乳化剤は水分と油を均一に混ぜるため、カロテンはバターのような色をつけるために使われています。
ネオソフトのトランス脂肪酸のまとめ


ネオソフトのトランス脂肪酸を、メーカーの公式表示と国の資料で確かめてきました。
答えは「いまのネオソフトのトランス脂肪酸は、食パン1枚分で0.05g。バターに替えるとかえって約4倍になる。気をつけたいのは塗る量」です。
- ネオソフト10gでトランス脂肪酸0.05g
- WHOの目安(1日約2g)の2.5%
- バターに替えると約4倍
- 飽和脂肪酸もバターは約2.2倍
- マーガリン類は15年で10分の1以下
- 日本人の摂取量はエネルギーの約0.3%
ネオソフトを避けてバターにすると、トランス脂肪酸は約4倍というのが、今回いちばんの発見でした。
昔のイメージのまま、こわがっていたんですね。
そのとおりです。名前でこわがらず、量で考える。これがいちばん大事なポイントですよ。
次にパンに塗るときは、ネオソフトでもバターでも、量を決めて薄く塗ってみてください。
マーガリンを使ったお菓子では、源氏パイの記事もどうぞ。カロリーの約53%が脂質から来るパイ菓子で、お菓子の目安なら1日3枚まででした。






植物油脂を使ったほかの食品では、らくらくホイップの記事もあります。100mlで144kcal・脂質11.2gで、トランス脂肪酸の量は公表されていませんでした。
「マーガリンは海外で禁止されているのに日本だけ規制がない」という話については、マーガリンは日本だけ規制なし?の記事もどうぞ。農林水産省の調査では、市販のマーガリン60点のトランス脂肪酸は、脂質100gあたり中央値で約0.79gでした。
成分ラボでは身近な食品や添加物を、国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかのパンや油脂の記事も、あわせてどうぞ。






本記事のネオソフトの栄養成分は雪印メグミルクの商品情報、トランス脂肪酸は同社「よくいただくご質問」(10gあたり)、バターの栄養成分は雪印北海道バターの商品情報、バターのトランス脂肪酸とマーガリン類の推移は農林水産省「食品中のトランス脂肪酸」の調査(平成18・19年度、令和4・5年度)、WHOの目安と日本人の摂取量は農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」によります(2026年10月19日確認)。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。脂質の制限を受けている方は、医師の指示を優先してください。







