【比較】蒲焼さん太郎は体に悪い?1枚10kcalと添加物4つ

蒲焼さん太郎は体に悪いのかを検証する記事のアイキャッチ。1枚10kcalと軽いのに塩はポテチの6倍と書かれている

赤い袋に入った、うなぎの蒲焼そっくりの平たい駄菓子。それが蒲焼さん太郎です。

1枚10円ほどで買える手軽さから、子どものころから食べ続けている方も多いはずですが、「体に悪い」という評判を耳にして気になったのではないでしょうか。

検索すると添加物と塩分の2つに強い言葉が並びます。

駄菓子だから体に悪いのは当たり前、って思っていました。

その先入観を、今日は数字ではっきり裏切ります。

蒲焼さん太郎でこんなお悩みありませんか
  • 添加物が4種類も入っているのが不安
  • 味が濃いので塩分が多そう
  • 子どもに何枚まで食べさせてよいか分からない
  • 魚肉すり身が何の魚か分からない

そこで、やおきんの公式表示を他の菓子と並べ、添加物は公的機関の資料を1つずつ確かめました。

結果は、評判とはかなり違うところに落ち着きます。

1枚あたりのカロリーは10kcal、脂質は0.02gしかありません。菓子としては極端に小さい数字でした。

蒲焼さん太郎1枚10kcalとうまい棒1本44kcalとポテトチップス1袋308kcalを並べて比べたカード図

ポテトチップス1袋の30分の1ですか。

ええ。ただし「濃さ」では話が変わります。そこが今回の山場です。

この記事で確かめること
  • 他の菓子と比べて本当に塩分が多いのか
  • 1日に何枚までなら目標量を超えないのか
  • 添加物4つはそれぞれ何なのか
  • 魚肉すり身に栄養はあるのか

使う数字は、やおきんとカルビーの公式表示、それに消費者庁と厚生労働省の資料です。

読み終わるころには、子どもに何枚まで渡してよいかまで判断できます。

まずは、なぜ「体に悪い」と言われるのかからです。

目次

蒲焼さん太郎が体に悪いと言われる理由

蒲焼さん太郎が体に悪いと言われる理由は4つだが本当に効くのは1つだけと書かれたバナー

蒲焼さん太郎は、やおきんが販売している魚肉すり身の駄菓子です。

うなぎは一切入っておらず、魚のすり身を薄く伸ばして甘辛いたれで味つけしたものに、格子状の焼き目を入れて蒲焼らしく見せています。

「体に悪い」と言われる理由をたどると4つに分かれ、根拠の強さはそれぞれまったく違いました。

4つとも同じくらい危ないわけではないんですね。

ええ。今回は本当に効くものが1つしかありません。

添加物4つへの不安

原材料表示のスラッシュより後ろには、調味料(アミノ酸等)・カラメル色素・ソルビット・甘味料(ステビア、甘草)が並びます。

1枚10円の駄菓子に4種類という数は、たしかに多く感じるところでしょう。

  • 名前が難しくて何か分からない
  • 子どもに毎日食べさせてよいのか不安
  • 体にたまっていくのではないか
  • 国産だから安心とも言い切れない

ただし4つのうち3つは、この成分ラボで別の商品を調べたときに公的な評価を確認済みのものでした。5章で1つずつ扱います。

残る1つ、甘草にだけは本物の仕組みがあります。

しょっぱすぎるという指摘

2つ目は味の濃さです。

口に入れた瞬間に塩気と甘辛さが来るので、塩分が多いのではという指摘は昔からありました。

ここが今回いちばん面白いところで、「濃い」という感覚は正しく、「多い」という結論は間違いになります。

濃いのに多くない、ってどういうことですか。

3章で図にします。1枚が小さすぎるんです。

魚肉すり身への疑い

3つ目は、原材料の1番目にある魚肉すり身です。

何の魚を使っているのかが表示されていないため、得体が知れないと感じる方がいます。

一方で、この魚肉すり身があるおかげで、蒲焼さん太郎は菓子としては珍しい栄養バランスになっていました。7章で数字を出します。

魚肉すり身のおかげで、たんぱく質もとれるんですね。

菓子としては珍しい栄養です。

致死量という検索ワード

4つ目は「蒲焼さん太郎 致死量」という検索です。

冗談半分の検索ではあるものの、実際に何枚までなら大丈夫なのかを知りたい気持ちの表れでもあるでしょう。

この記事では致死量ではなく、1日の目標量に届く枚数という現実的な数字を出します。

致死量より、そちらのほうがはるかに役に立ちます。

他の駄菓子との数値比較

同じカロリーで比べると蒲焼さん太郎の脂質は他の菓子の30分の1と書かれたバナー

蒲焼さん太郎1枚の数値は、それだけ見ても多いのか少ないのか判断できません。

駄菓子だから軽いのか、それとも小さいだけで中身は濃いのか。ここを分けないと答えになりません。

そこで、同じやおきんのうまい棒と、菓子の代表格であるカルビーのポテトチップスを相手に、公式表示の数字だけで比べました。

同じ土俵で比べられるんですね。

しかも比べ方を2通りやると、結論が正反対になります。

1枚あたりの数値

まずはやおきん公式の表示をそのまま書き出します。

項目蒲焼さん太郎 1枚あたり
エネルギー10kcal
たんぱく質0.70g
脂質0.02g
炭水化物1.90g
食塩相当量0.10g
出典:やおきん公式サイトの栄養成分表示
項目1枚あたり
エネルギー10kcal
たんぱく質0.70g
脂質0.02g
炭水化物1.90g
食塩相当量0.10g
出典:やおきん公式サイト

目を引くのは脂質の0.02gでした。菓子でこの数字はほとんど見かけません。

3つを並べると、1枚あたりの小ささがはっきりします。

1食分内容量エネルギー脂質食塩相当量
蒲焼さん太郎1枚10kcal0.02g0.10g
うまい棒 めんたい味1本 6g44kcal2.90g0.10g
ポテトチップス うすしお味1袋 55g308kcal19.8g0.50g
出典:やおきん・カルビーの公式栄養成分表示(2026年9月時点)
1食分エネルギー脂質
蒲焼さん太郎 1枚10kcal0.02g
うまい棒 1本44kcal2.90g
ポテトチップス 1袋308kcal19.8g
出典:やおきん・カルビーの公式表示

ここだけ見れば、蒲焼さん太郎は圧勝です。ただし小さいものを1個で比べれば小さく出るのは当たり前でした。

同じカロリーで揃えた脂質

そこで、重さではなく同じ100kcalぶん食べたときに揃えて比べ直します。

重さを揃えないので、1枚何グラムかを推測する必要がありません。公式表示の数字だけで計算できる比べ方です。

同じ100kcalで揃えると蒲焼さん太郎の脂質は約30分の1でたんぱく質は約7倍になることを示した棒グラフ
100kcalあたり脂質たんぱく質
蒲焼さん太郎0.20g7.00g
うまい棒 めんたい味6.59g1.14g
ポテトチップス うすしお味6.43g0.91g
出典:やおきん・カルビーの公式表示から100kcalあたりに換算
100kcalあたり脂質たんぱく質
蒲焼さん太郎0.20g7.00g
うまい棒6.59g1.14g
ポテトチップス6.43g0.91g
出典:公式表示から換算

脂質は約30分の1、たんぱく質は約7倍でした。

この2つは同じ理由から来ています。油で揚げていない、魚のすり身の菓子だからです。

揚げていないお菓子って、あまりないですね。

そこが蒲焼さん太郎の正体です。中身はほぼ焼いた魚でした。

同じカロリーで揃えた食塩

ところが、同じやり方で食塩相当量を並べると結果がひっくり返ります。

先ほどまで圧勝だった蒲焼さん太郎が、3つの中で最も濃い側に回りました。

  • 蒲焼さん太郎:100kcalあたり 1.00g
  • うまい棒 めんたい味:0.23g
  • ポテトチップス うすしお味:0.16g

ポテトチップスの約6倍、うまい棒の約4倍という差です。この1点だけは、評判のほうが正しいと認めるべきでしょう。

比べ方で変わる印象

ここまでで、比べ方によって結論が正反対になることが分かりました。

比べ方蒲焼さん太郎の位置
1枚あたり3つの中でいちばん軽い
同じカロリーの脂質いちばん少ない(約30分の1)
同じカロリーのたんぱく質いちばん多い(約7倍)
同じカロリーの食塩いちばん多い(約6倍)
いずれもやおきん・カルビーの公式表示から算出
比べ方位置
1枚あたりいちばん軽い
同カロリーの脂質いちばん少ない
同カロリーのたんぱく質いちばん多い
同カロリーの食塩いちばん多い
公式表示から算出

「体に悪い」も「体に良い」も、どちらも一面しか見ていません。

食塩0.1gという数字の位置

蒲焼さん太郎は味が濃いけれど1枚の食塩は1日の目標量の1.3%にとどまると書かれたバナー

前の章で、蒲焼さん太郎は同じカロリーならポテトチップスの約6倍しょっぱいと分かりました。

ただしこれは濃さの話であって、実際に体に入る量の話ではありません。1枚に含まれる食塩は0.10gしかないからです。

この章では、その0.10gが1日の目安に対してどの位置にあるのかを見ます。

6倍って聞くと、やっぱり怖いです。

その怖さが消えるかどうか、数字で確かめましょう。

1日の目標量との比率

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食塩相当量の目標量が定められています。

対象1日の食塩相当量の目標量蒲焼さん太郎1枚の割合
成人男性7.5g未満1.3%
成人女性6.5g未満1.5%
6〜7歳4.5g未満2.2%
3〜5歳3.5g未満2.9%
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」。割合は1枚0.10gから計算
対象目標量1枚の割合
成人男性7.5g未満1.3%
成人女性6.5g未満1.5%
6〜7歳4.5g未満2.2%
3〜5歳3.5g未満2.9%
出典:食事摂取基準2020年版

大人なら1枚で1日の1.3%、いちばん厳しい3〜5歳でも2.9%でした。

1枚では、どの年齢でも3%に届きません。

ポテトチップスの約6倍という濃さ

濃さと量を混同しないために、図でもう一度整理します。

同じ100kcalで揃えると蒲焼さん太郎の食塩1.00gがポテトチップスの約6倍になることを示した棒グラフ

左の棒が示すのは「同じカロリーを食べたときの食塩」であって、「1枚の食塩」ではありません。

蒲焼さん太郎で100kcalに届くには10枚必要なので、そのときに初めて食塩1.00gになります。

10枚食べてやっと1gですか。

ええ。そしてポテトチップス1袋の食塩は0.50gです。

1枚で0.1gにとどまる理由

濃いのに量が少ない理由は単純で、1枚が非常に薄くて軽いからでした。

やおきんの表示は1枚あたりで書かれており、たんぱく質0.70g・脂質0.02g・炭水化物1.90gを合計しても3g足らずです。

つまり、味が濃くても持ち込める食塩の絶対量に上限があります。

  • 1枚が薄いので総量が増えない
  • 1枚10kcalなので満腹まで遠い
  • ただし枚数を重ねれば積み上がる
  • 袋で買うと枚数の管理が難しくなる

子どもが食べる場合

気をつけるとすれば、ここが唯一の実用的な注意点になります。

3〜5歳の目標量3.5g未満に対して、蒲焼さん太郎だけで届くには35枚必要です。現実には起こりません。

問題は他の食事とあわせた1日の合計のほうでした。子どもは体が小さいぶん目標量も小さいので、駄菓子を何種類も重ねると効いてきます。

蒲焼さん太郎を止めるより、1日の合計を見るほうが効果的です。

安全に食べられる枚数の目安

蒲焼さん太郎で食塩の目標量に届くのは大人で1日65枚と書かれたバナー

ここまでの数字を使えば、何枚でどこに届くのかを計算できます。

「蒲焼さん太郎 致死量」という検索をする方が多いようですが、致死量は現実に起こらない量なので役に立ちません。

代わりに、カロリー・食塩・脂質のそれぞれで、意味のある線に届く枚数を出しました。

何枚くらいだと思いますか。

想像よりずっと多いはずです。

カロリーで見た目安

1枚10kcalなので、枚数の計算はかけ算だけで済みました。

蒲焼さん太郎が1日の食塩の目標量に届くのは65枚で2000kcalに届くのは200枚であることを示した図
どこに届くか必要な枚数
ポテトチップス1袋(308kcal)と同じ31枚
1日ぶんのカロリー(2,000kcal)200枚
ポテトチップス1袋の脂質(19.8g)と同じ990枚
出典:やおきん・カルビーの公式表示から計算
どこに届くか枚数
ポテチ1袋と同じカロリー31枚
1日ぶんのカロリー200枚
ポテチ1袋と同じ脂質990枚
公式表示から計算

脂質でポテトチップス1袋に並ぶには990枚必要でした。1枚10円としても、約1万円ぶんです。

食塩で見た目安

いちばん早く届くのは食塩でした。

対象目標量届く枚数
成人男性7.5g75枚
成人女性6.5g65枚
6〜7歳4.5g45枚
3〜5歳3.5g35枚
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から計算
対象届く枚数
成人男性75枚
成人女性65枚
6〜7歳45枚
3〜5歳35枚
食事摂取基準2020年版から計算

カロリーより先に食塩が来るところに、この商品の性格が出ています。

とはいえ、大人で1日65枚以上という線なので、普通の食べ方では届きません。

致死量の話の読み方

念のため、致死量についても触れておきます。

結論から書くと、食塩や糖の致死量について、公的機関がはっきりした数値を示している資料は見つかりませんでした。

人によって体格も体調も違うため、線を引ける性質の数字ではないからでしょう。根拠のない数値を並べても意味がありません。

じゃあ、何を目安にすればいいんですか。

この記事で出した65〜75枚のほうです。そちらは公的な目標量から計算できます。

現実的な1日の枚数

以上をふまえると、目安はこうなります。

  • 大人:1日5枚までなら食塩0.5gで、目標量の7%以内
  • 小学生:1日3枚までなら食塩0.3gで、目標量の7%前後
  • 未就学児:1日1〜2枚を上限にすると安心
  • いずれも他の食事の塩分と合わせて考える

この枚数を守る限り、蒲焼さん太郎が原因で何かが起こる余地はほとんどありません。

添加物4つの正体

蒲焼さん太郎の添加物4つはすべて由来がわかり3つは量で問題ないと書かれたバナー

原材料表示のスラッシュより後ろに書かれているのが添加物です。

蒲焼さん太郎には、調味料(アミノ酸等)・カラメル色素・ソルビット・甘味料(ステビア、甘草)の4つが入っています。

名前だけ見ると身構えますが、1つずつたどると由来も評価もはっきりしていました。

4つのうち3つは、この成分ラボで別の商品を調べたときに確認済みです。

調味料アミノ酸等

うま味をつけるための調味料で、中心はグルタミン酸ナトリウムです。

こんぶのうま味成分と同じもので、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)は1日摂取許容量を「特定しない」と評価しています。

これは、通常の使い方であれば上限を決める必要がないという意味でした。

上限を決めなくていいなんて、逆に不安になります。

毒性が低く、線を引く意味がないと判断されたものに付く評価です。

同じ評価の詳しい経緯は、ウエイパーの記事でまとめています。

カラメル色素

色をつけるための添加物で、糖類を加熱して作ります。

プリンのカラメルソースと原理は同じで、焦がした砂糖の色です。

蒲焼さん太郎の茶色い焼き目のような色合いは、この色素で出しています。

お菓子作りで作るのと同じなんですね。

ええ。名前が化学的なだけで、正体は焦がした糖です。

ソルビット

ソルビトールとも呼ばれる糖アルコールで、しっとりした食感を保つために使われます。

りんごやなしにも含まれる成分で、体内で吸収されにくいのが特徴です。

吸収されにくいぶん、とりすぎるとお腹がゆるくなることがあります。東京都保健医療局は、下痢を起こさない最大量を男性で体重1kgあたり0.15g、女性で0.3gとしています。

体重男性(0.15g/kg)女性(0.3g/kg)
20kg(未就学児)3.0g6.0g
40kg(小学生)6.0g12.0g
60kg(大人)9.0g18.0g
出典:東京都保健医療局が示す、下痢を起こさないソルビトールの最大量から計算
体重男性女性
20kg3.0g6.0g
40kg6.0g12.0g
60kg9.0g18.0g
出典:東京都保健医療局

蒲焼さん太郎のソルビットの量は表示されていませんが、1枚の炭水化物が1.90gしかないため、多くてもそれ以下です。いちばん小さい3.0gに届くには、少なく見積もっても2枚以上を一度に食べる必要があります。

実際にはもっと多くの枚数が要ります。お腹がゆるくなる心配はまずありません。

甘味料ステビアと甘草

どちらも植物から取り出した甘味料です。

ステビアは南米原産のキク科の植物で、砂糖の200〜300倍の甘さがあります。消費者庁の令和6年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査では、日本人の摂取量は1日0.40mgで、上限(ADI)の0.17%でした。

甘味料1日の推定摂取量対ADI比
ステビア抽出物(20歳以上)0.40mg0.17%
ステビア抽出物(1〜6歳)0.24mg0.36%
グリチルリチン酸(20歳以上)0.36mgADI設定なし
グリチルリチン酸(1〜6歳)0.25mgADI設定なし
出典:消費者庁「令和6年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査」
甘味料推定摂取量対ADI比
ステビア(大人)0.40mg0.17%
ステビア(1〜6歳)0.24mg0.36%
グリチルリチン酸(大人)0.36mg設定なし
グリチルリチン酸(1〜6歳)0.25mg設定なし
出典:消費者庁の摂取量調査

体重が軽いぶん、子どものほうが対ADI比は高く出ます。それでも0.36%、つまり上限の約280分の1でした。

残るのが甘草です。4つの中で、唯一はっきりした副作用の仕組みがある成分なので、章を分けて扱います。

甘草だけにある仕組み

甘草の副作用の仕組みは本物だが食品からの摂取量は1400分の1と書かれたバナー

ここまで、4つの添加物のうち3つには量の裏づけがあり、心配する必要がないと分かりました。

甘草だけは事情が違います。甘味成分であるグリチルリチン酸には、厚生労働省が医薬品の副作用として注意喚起している症状があるからです。

この章では、その仕組みと、食品からとる量が実際にどれくらい離れているのかを見ます。

急に不安になってきました。

仕組みは本物です。ただし距離が桁違いでした。

グリチルリチン酸という成分

甘草はマメ科の植物の根で、漢方薬の原料としても広く使われています。

その甘み成分がグリチルリチン酸で、砂糖の150倍ほどの甘さがあります。

食品では甘味料として、医薬品では漢方薬の成分として使われる、二つの顔を持つ成分でした。

甘草は、漢方薬にも使われている植物なんですね。

砂糖の150倍ほど甘いので、使う量はごくわずかです。

偽アルドステロン症の中身

グリチルリチン酸を大量にとり続けると、体内でナトリウムをためこみ、カリウムを外へ出す働きが強まります。

その結果として起こるのが偽アルドステロン症です。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルにまとめられています。

  • むくみ
  • 血圧の上昇
  • 血液中のカリウムの低下
  • 手足の脱力やしびれ

昭和53年の厚生省の通知には、報告された症例の大部分が1日500mg以上のグリチルリチン酸を使っていたと書かれています。

日本人の摂取量0.36mg

では、食品から実際にどれくらいとっているのか。消費者庁の調査に答えがありました。

甘草のグリチルリチン酸が医薬品の500mgに対し食品からの摂取量は0.36mgで約1400分の1であることを示した図

20歳以上で1日0.36mg、1〜6歳の子どもで0.25mgです。医薬品で問題になる500mgとは、大人で約1,400倍、子どもで約2,000倍の開きがありました。

しかもこの0.36mgは、蒲焼さん太郎だけでなく、しょうゆやつくだ煮なども含めた食品全体からの量です。

1,400倍って、もう別の話ですね。

ええ。仕組みは本物でも、食品の量では届きません。

気をつけたほうがよい人

とはいえ、まったく無関係とも言い切れない方がいます。

  • 甘草を含む漢方薬を毎日のんでいる方
  • 高血圧やむくみの治療を受けている方
  • 血液中のカリウムが低いと言われたことがある方
  • 利尿薬を使っている方

これらに当てはまる場合は、駄菓子より先に漢方薬のほうを医師や薬剤師に相談してください。蒲焼さん太郎の甘草が問題になる場面ではありません。

魚肉すり身の中身

蒲焼さん太郎のたんぱく質は7倍だがDHAはほぼゼロと書かれたバナー

原材料の1番目に書かれているのが魚肉すり身です。原材料表示は重い順に並ぶので、蒲焼さん太郎の主成分は魚ということになります。

何の魚かは表示されていませんが、この魚肉すり身があるおかげで、蒲焼さん太郎は菓子としては珍しい数字になっていました。

一方で、栄養面で期待しすぎると当てが外れる部分もあります。両方まとめて見ていきます。

ここは、競合サイトが正しいことを書いていた数少ない部分でもあります。

原材料の1番目

公式に表示されている原材料は次の通りです。

区分原材料名
食品魚肉すり身(魚肉、砂糖)(国内製造)、小麦粉、イカ粉、しょうゆ、みりん、砂糖、香辛料
添加物調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、ソルビット、甘味料(ステビア、甘草)
出典:やおきん公式サイトの原材料名表示
区分原材料名
食品魚肉すり身、小麦粉、イカ粉、しょうゆ、みりん、砂糖、香辛料
添加物調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、ソルビット、甘味料(ステビア、甘草)
出典:やおきん公式サイト

うなぎは入っていません。魚肉すり身にイカ粉としょうゆとみりんを合わせ、蒲焼の味と見た目を再現した商品です。

たんぱく質が多い理由

2章で見たとおり、同じ100kcalで揃えるとたんぱく質はポテトチップスの約7倍ありました。

油で揚げず、魚のすり身をそのまま乾かしているためです。

お魚だから、たんぱく質が多いんですね。

ええ。ただし1枚の量を見ると、話がまた変わります。

ただし1枚では0.70gにすぎません。食品成分データベースによると鶏卵は可食部100gあたりたんぱく質12.2gなので、Mサイズ1個の可食部を50gとすれば約6gです。

つまり、卵1個ぶんのたんぱく質をとるには約9枚必要でした。そのとき食塩は0.9gになります。

DHAとEPAはほぼゼロ

魚が原料と聞くと、DHAやEPAを期待したくなるところでしょう。

ここは期待できません。1枚の脂質が0.02gしかないためです。

DHAもEPAも脂質の一部なので、脂質が0.02gなら、その中に含まれる量はさらに小さくなります。魚の油は残っていないと考えるべきでしょう。

魚なのに、油はないんですね。

すり身を薄く伸ばして乾かす工程で抜けてしまいます。

栄養食品ではない理由

たんぱく質の比率が高いことは事実でも、蒲焼さん太郎を栄養補給に使うのは無理があります。

  • 1枚のたんぱく質は0.70gしかない
  • 量を増やすと食塩が先に積み上がる
  • ビタミンやミネラルの表示はない
  • 主原料の一部は小麦粉と砂糖

あくまで駄菓子として、おいしく食べるものと考えるのが正しい位置づけです。

蒲焼さん太郎のよくある質問

蒲焼さん太郎について検索で多い6つの疑問に数字でまとめて回答すると書かれたバナー

ここまでの数字をふまえて、検索で多い疑問にまとめて答えます。

いずれも公式表示と公的機関の資料にもとづいた回答です。

迷ったときは、この章だけ読み返してください。

毎日食べても大丈夫ですか

1日数枚であれば問題になる量ではありません。1枚10kcal・食塩0.10gなので、5枚食べても50kcal・食塩0.5gにとどまります。

ただし1日の食塩の目標量は他の食事も合わせた合計で考えるものなので、味噌汁や漬物が多い日は枚数を控えめにしてください。

子どもは何枚まで大丈夫ですか

未就学児なら1日1〜2枚、小学生なら3枚ほどを目安にすると安心です。

3〜5歳の食塩の目標量は1日3.5g未満と小さいため、駄菓子を何種類も重ねると効いてきます。蒲焼さん太郎そのものより、1日の合計で管理するのが現実的です。

食べると太りますか

1枚10kcalなので、この商品だけで太るのは難しい数字です。ポテトチップス1袋(308kcal)に並ぶには31枚必要になります。

脂質は1枚0.02gしかなく、菓子としては極端に低い部類でした。

妊娠中に食べても大丈夫ですか

妊娠中に避けるべき成分は入っていません。加熱済みの加工食品なので、リステリア菌などの心配もありません。

ただし妊娠高血圧症候群の予防で減塩を指導されている場合は、枚数を減らすか主治医に相談してください。同じカロリーあたりでは塩分が濃い商品です。

蒲焼さん太郎にうなぎは入っていますか

入っていません。原材料は魚肉すり身が主で、そこにイカ粉・しょうゆ・みりん・砂糖・香辛料を合わせています。

うなぎの蒲焼に似せた形と焼き目をつけ、甘辛いたれの味で再現した商品です。

賞味期限が切れたものは食べられますか

賞味期限はおいしく食べられる期限であって、安全の期限ではありません。蒲焼さん太郎の賞味期限は150日と長めに設定されています。

未開封で常温保存していたものであれば、少し過ぎた程度で急に危険になることはありません。ただし湿気ると風味が落ちるため、開封後は早めに食べきってください。

蒲焼さん太郎についてのまとめ

蒲焼さん太郎は1枚が小さすぎて悪くなりようがないと書かれたバナー

蒲焼さん太郎が体に悪いのかを、やおきんの公式表示と公的機関の資料で確かめてきました。

答えは「1枚が小さすぎて、悪くなりようがない」でした。

この記事のポイント
  • 1枚は10kcal・脂質0.02g・食塩0.10g
  • 同じカロリーで揃えると脂質は約30分の1、たんぱく質は約7倍
  • ただし食塩だけはポテトチップスの約6倍と濃い
  • 1日の食塩の目標量に届くのは大人で65〜75枚
  • 添加物4つのうち3つは量の裏づけがあり心配ない
  • 甘草の成分は医薬品で問題になる量の約1,400分の1

「駄菓子だから体に悪い」という先入観は、この商品には当てはまりませんでした。

ただし同じカロリーで比べると3つの中でいちばんしょっぱいことは事実です。ここだけは譲れません。

やめなくていいけど、枚数は数えるんですね。

そうです。「何枚食べたか」だけ覚えておけば十分でした。

次に蒲焼さん太郎を買ったら、袋から出す前に枚数を決めてみてください。大人なら5枚、子どもなら1〜2枚。それだけで、この記事の数字はすべて安全側に収まります。

同じカラメル色素が入ったアイスを調べたのがジャイアントコーンの記事です。発がん性の噂の元になった4-MEIの実験の量も確かめました。

同じやおきんのスナックでも、油の使い方で数字は大きく変わります。キャベツ太郎の記事では、カロリーの約6割が脂質で、ポテトチップスとほぼ同じ割合でした。

駄菓子の着色料が気になる方には、コチニール色素のお菓子の記事もあります。赤い色素ごとの1日の許容量と、裏面の色素名の見分け方をまとめています。

スナックの塩分が気になる方は、かっぱえびせんの記事もどうぞ。1袋77gの食塩1.7gは、成人男性の1日の目標量の約23%でした。

同じ駄菓子のおつまみでは、カルパスの記事もあります。「大腸がんリスク18%」は加工肉を毎日50g、カルパスなら約15本食べた場合の数字でした。

成分ラボでは身近な食品を、メーカーの公式表示と国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。

同じ添加物が入った商品や、逆に「濃さ」で誤解されている商品も扱っているので、あわせてどうぞ。

数値についての注記

本記事の栄養成分値は各メーカーが公表する数値です。製品規格や原材料の変更により変わることがあるため、購入時はお手元の商品の表示をご確認ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。高血圧や腎臓の病気で食塩の制限を受けている方、甘草を含む漢方薬を服用中の方は、医師や薬剤師の指示を優先してください。

目次