ラーメンや焼きそばの原材料で見かける「かんすい」。中華めんのコシや黄色みを出すために使われる食品添加物です。
一方で、「かんすいは体に悪い」「添加物が入っていないうどんのほうが安心」という話を耳にして、めんを選ぶときに迷っている方もいるかもしれません。
- かんすいの中身を知りたい
- リン酸塩が入っていると聞いて不安
- うどんやそばに替えたほうがよいか迷う
- ラーメンの塩分が気になる
そこで、消費者庁の表示のルールと、文部科学省の食品成分表、厚生労働省の食事摂取基準をつき合わせて、かんすいの中身とめんの成分を調べています。
結果、かんすいを避けてうどんにすると、ゆでる前の生めんの食塩は2.5倍になることが分かりました。かんすいを使わないめんが、塩分が少ないとは限らないのです。
添加物がないうどんのほうが、塩分も少ないと思っていました……。
ゆでる前の数字を見ると、逆なんです。順番に確かめていきましょう。
- かんすいの中身と表示のルール
- めんごとの食塩(ゆでる前・ゆでたあと)
- リンとカリウムの量
- ラーメンで気をつけたいところ
使う数字は、国の資料とメーカーの公式表示に限りました。まずは、なぜ体に悪いと言われるのかから見ていきます。
かんすいが体に悪いと言われる理由


かんすい(かん水)は、中華めんを作るときに小麦粉に加えるアルカリ剤です。ラーメン、焼きそば、つけめん、インスタントラーメンなど、ほとんどの中華めんに使われています。
「体に悪い」と言われる理由をたどると、3つに分かれました。中身が分かりにくいこと、リン酸塩、そしてラーメンの塩分のイメージです。
どれも、なんとなく気になっていました。
1つずつ、国の資料で確かめていきましょう。
中身が分かりにくい
原材料の欄には「かんすい」としか書かれていないことが多く、何が入っているのか分からないという不安の声があります。
これは、国のルールで、まとめた名前で書くことが認められているためです。2章で中身を見ていきます。
名前だけだと、何が入っているのか分からないですね。
そうなんです。中身を知ると、印象が変わりますよ。
リン酸塩が入ることがある
かんすいには、リン酸塩が使われることがあります。リンのとりすぎを心配する声から、かんすいを避ける方もいます。
リンの量は、4章で中華めんとうどんを比べて確かめましょう。リン酸塩そのものについては、リン酸カルシウムの記事でもくわしく調べました。
リンって、とりすぎるとよくないんですよね。
量しだいです。めん1玉でどのくらいか、数字で見てみましょう。
ラーメンは塩分が多いイメージ
ラーメンは塩分が多い食べものと言われることが多く、その印象がめんのかんすいにも向けられがちです。
ところが、ゆでる前のめんの食塩は、中華めんのほうがうどんより少ないのです。3章でくわしく比べます。
めんとスープは、分けて考えたほうがいいんですね。
そのとおりです。5章でスープの塩分も確かめますよ。
かんすいとは?中華めんに使うアルカリ剤


かんすいの中身を、消費者庁「食品表示基準について」で確かめました。
結果、かんすいは炭酸塩3種類とリン酸塩13種類、あわせて16種類の添加物をまとめた名前でした。


16種類もあるんですか。
そうなんです。ただ、どれか1種類以上を使っていれば「かんすい」と書けるんですよ。
16種類の添加物のまとめた名前
消費者庁の資料では、かんすいを「中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤」と定めています。
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸類のカリウム塩・ナトリウム塩のうち1種類以上を含むものが、かんすいです。
まとめて書いていいことになっているんですね。
そうなんです。「一括名」と呼ばれる書き方の1つですよ。
炭酸塩とリン酸塩
| 種類 | かんすいに使える添加物 |
|---|---|
| 炭酸塩(3種類) | 炭酸カリウム(無水)、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム |
| リン酸塩(13種類) | ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三ナトリウム など |
炭酸水素ナトリウムは、重曹のことです。どれも国が食品への使用を認めている添加物で、かんすいとして使う目的の場合にまとめて表示できます。
表示は「かんすい」だけでよい
同じ炭酸カリウムでも、ほかの目的で使うときは別の名前で表示されます。たとえば、食品のpHを整える目的なら「pH調整剤」です。
つまり「かんすい」と書いてあれば、中華めんのコシや黄色みを出すために使ったという意味になります。マルタイラーメンの原材料での表示例は、マルタイラーメンの記事で確かめました。
書き方で、使った目的が分かるんですね。
そのとおりです。表示のルールを知ると、原材料が読みやすくなりますよ。
かんすいを避けてうどんにすると生めんの塩分は2.5倍


次に、めんの塩分を比べました。文部科学省の食品成分表(八訂)で、中華めんと、かんすいを使わないうどん・そうめん・そばを並べています。
結果、ゆでる前の生めん100gの食塩は、中華めん1.0gに対してうどん2.5gでした。かんすいを避けると、生めんの塩分は2.5倍です。


うどんのほうが、2倍以上も多いんですね。
そうなんです。添加物の有無と塩分の多さは、別の話なんですよ。
ゆでる前のめんで比べる
| めん100g(ゆでる前) | 食塩相当量 |
|---|---|
| 干しうどん(乾) | 4.3g |
| そうめん・ひやむぎ(乾) | 3.8g |
| うどん(生) | 2.5g |
| 干しそば(乾) | 2.2g |
| 中華めん(生) | 1.0g |
乾めんは水分が少ないぶん、100gあたりの食塩がさらに多くなります。干しうどんは生の中華めんの4.3倍でした。
ゆでると差は小さくなる


ゆでたあとのめん100gでは、中華めん0.2g、うどん0.3g、干しうどん0.5g、干しそば0.1gでした。ゆでたあとでも、うどんは中華めんの1.5倍です。
ゆで汁をスープに使う料理では、ゆで湯に出た食塩もとることになります。めんはたっぷりのお湯でゆでて、ゆで汁は捨てると、めんからとる塩分を減らせます。
ゆで汁は捨てたほうがいいんですね。
そうなんです。ゆで方でも、塩分は変わるんですよ。
かんすいなしのめんが安心とは限らない
「添加物が入っていない」という理由でめんを選ぶと、塩分の多いめんを選んでしまうことがあります。
塩分が気になるなら、添加物の有無ではなく、栄養成分表示の食塩相当量で比べましょう。袋めんなら、ゆでる前の値が書かれていることが多いので、ゆでたあとはそれより少なくなります。
表示の見方を知っておくと、選びやすいですね。
そのとおりです。数字で比べるのがいちばん確実ですよ。
かんすい入りのめんのリンとカリウム


かんすいにはリン酸塩やカリウム塩が使われるので、リンとカリウムの量を食品成分表で比べました。
結果、生めん100gのリンは中華めん66mg、うどん49mgで、差は17mgでした。大人の1日の目安量の2%ほどです。


17mgなら、思ったより小さい差ですね。
そうなんです。リンはふだんの食事にも多く含まれていますよ。
リンの差は目安量の2%ほど
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、大人のリンの目安量は男性1,000mg、女性800mg、耐容上限量は3,000mgです。めんの差の17mgは、目安量の2%ほどにあたります。
カリウムは生めんで約3.9倍
炭酸カリウムなどが使われるため、生の中華めんのカリウムは350mgで、うどんの約3.9倍でした。
ただし、ゆでたあとは中華めん60mg、うどん9mgに減ります。カリウムの制限を受けている方は、医師の指示に合わせてめんの量やゆで方を決めてください。
カリウムを気にしている人は、気をつけたほうがいいんですね。
そうなんです。そういう方は、主治医に相談するのがいちばんですよ。
ナトリウムはうどんのほうが多い
ナトリウムは、生めん100gで中華めん410mg、うどん1,000mgでした。食塩相当量の差と同じで、うどんが約2.4倍です。
かんすいの炭酸ナトリウムなどにもナトリウムは含まれますが、めん全体ではうどんのほうが多いという結果でした。
ナトリウムでも、うどんのほうが多いんですね。
そうなんです。名前の印象と数字は、ちがうことが多いんですよ。
ラーメンで気をつけたいのはスープの塩分


最後に、ラーメン1食の塩分を見てみます。例として、日清食品「チキンラーメン」の公式表示を使いました。
結果、1食の食塩5.2gのうち、めんが2.3g、スープが2.9gでした。かんすいより、スープの飲み方のほうが塩分に大きく関わります。
スープのほうが多いんですね。
そうなんです。気をつけるならスープですよ。
1食の食塩はスープが半分以上
| チキンラーメン 1食(85g) | 食塩相当量 |
|---|---|
| めん | 2.3g |
| スープ | 2.9g |
| 合計 | 5.2g |
チキンラーメンは、めんに味がついているので、めんの食塩も多めです。それでもスープの分のほうが多いことが分かります。食べ方による差は、チキンラーメンの記事でくわしく計算しました。
スープを残すと塩分を減らせる
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食塩の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
チキンラーメン1食の5.2gは、女性の目標量の約8割にあたります。スープを残せば、そのぶん塩分を減らせます。お店のラーメンでも考え方は同じです。
スープを全部飲むかどうかで、大きく変わるんですね。
そうなんです。かんすいよりも、スープの量を気にしましょう。
具や組み合わせも工夫する
ラーメンに野菜をたっぷり足すと、食べごたえが増えて、スープを飲む量を減らしやすくなります。
ほかの食事の塩分も合わせて、1日の合計で目標量におさめることが大切です。ラーメンの日は、ほかの食事の味つけをうすめにして調節しましょう。
1日の合計で考えるんですね。
そのとおりです。1食だけで考えないことが大事ですよ。
かんすいのよくある質問


ここまでの内容をふまえて、かんすいについて多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
かんすいは体に悪いですか
かんすいは、炭酸塩3種類とリン酸塩13種類のうち1種類以上を含むアルカリ剤で、どれも国が食品への使用を認めている添加物です。めんの塩分やリンを比べても、かんすいを使った中華めんが特に多いわけではありませんでした。
かんすいの中身は何ですか
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)と、リン酸類のカリウム塩・ナトリウム塩です。消費者庁のルールで、16種類のどれを使っても「かんすい」とまとめて表示できます。
かんすいなしのうどんのほうが体にいいですか
塩分で比べると、ゆでる前の生めん100gの食塩は中華めん1.0g、うどん2.5gで、うどんのほうが多くなります。めんを選ぶときは、添加物の有無より栄養成分表示の食塩相当量で比べましょう。
かんすいでリンをとりすぎませんか
生めん100gのリンは中華めん66mg、うどん49mgで、差は17mgです。大人の1日の目安量(男性1,000mg・女性800mg)の2%ほどにあたります。
腎臓の病気でカリウムを制限していても大丈夫ですか
生の中華めんはカリウムが100gあたり350mgと、うどんより多めです。ゆでると60mgに減りますが、制限を受けている方は医師の指示に合わせてください。
ラーメンの塩分を減らすには
スープを残すのがいちばん効果的です。チキンラーメンでは1食の食塩5.2gのうち2.9gがスープの分でした。野菜を足して、スープを飲む量を減らすのもおすすめです。
かんすいは体に悪いかのまとめ


かんすいは体に悪いのかを、国の資料とメーカーの公式表示で確かめてきました。
答えは「かんすいは国が認めた16種類の添加物をまとめた名前で、めんの塩分やリンを比べても中華めんが特に多いわけではない。気をつけたいのはスープの塩分」です。
- かんすいは炭酸塩とリン酸塩の16種類
- 表示は「かんすい」とまとめて書ける
- 生めんの食塩はうどんが中華めんの2.5倍
- リンの差は100gで17mg
- カリウムはゆでると減る
- ラーメンの塩分はスープが半分以上
かんすいを避けてうどんにすると、生めんの塩分は2.5倍というのが、今回いちばんの発見でした。
かんすいより、スープを気にすればいいんですね。
そのとおりです。名前でこわがらず、量で考える。これがいちばん大事なポイントですよ。
次にめんを選ぶときは、原材料の「かんすい」だけでなく、栄養成分表示の食塩相当量も見てみてください。
かんすいと似たはたらきの添加物は、pH調整剤の記事もどうぞ。中華めんに使うときは「かんすい」、それ以外は「pH調整剤」と、目的で書く名前が変わります。


成分ラボでは身近な食品や添加物を、国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかのめんや添加物の記事も、あわせてどうぞ。






本記事のかんすいの定義と添加物の範囲は消費者庁「食品表示基準について」(別添 添加物1-4)、めんの成分は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」、リンの目安量と食塩の目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、ラーメン1食の値は日清食品「チキンラーメン」の公式表示によります(2026年10月17日確認)。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。腎臓の病気などで食事制限を受けている方は、医師の指示を優先してください。








