ステーキ店のサイコロステーキや、スーパーの安いステーキ肉。肉の切れ端を固めて作る「成型肉」が使われていることがあります。
一方で、「成型肉は体に悪い」「食中毒になりやすい」という話を耳にして、食べても大丈夫か迷っている方もいるかもしれません。
- 成型肉が体に悪いと言われる理由を知りたい
- ふつうのステーキと何がちがうのか気になる
- どのくらい焼けば安全なのか知りたい
- 成型肉かどうかの見分け方が知りたい
そこで、厚生労働省の通知と食中毒の調査報告、食品表示基準をつき合わせて調べています。
結果、気をつけたいのは成型肉の「生焼け」で、中心部を75℃で1分間以上加熱すれば病原微生物は死滅するとされていました。表示の「あらかじめ処理してあります」が見分ける目印です。
成型肉って、なんとなく避けていました……。
大事なのは焼き方なんです。国の資料で順番に確かめていきましょう。
- 成型肉とはどんな肉か
- 実際に起きた食中毒の事例
- 安全に食べるための加熱の目安
- 表示での見分け方
使う数字は、国の資料に限りました。まずは、危ないと言われる理由から見ていきます。
成型肉が体に悪いと言われる理由


成型肉が「体に悪い」と言われるのはなぜでしょうか。
理由をたどると、3つに分かれました。肉片を固めて作ること、成型肉による食中毒の事例があること、国が加熱をくり返し呼びかけていることです。
どれも、聞いたことがある気がします。
1つずつ、国の資料で確かめていきますね。
肉片を固めて作る
成型肉は、肉の断片をくっつけて形を整えた肉です。
厚生労働省の通知では、こうした処理を「病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれのある処理」としています。2章で、くわしく見ます。
固めるときに、菌が中に入ってしまうんですね。
そのおそれがある、ということです。だから焼き方が大事なんですよ。
食中毒の事例がある
成型肉の加熱不足が原因とされた食中毒は、2009年と2013年に報告されています。
どちらも、中まで火が通らないまま食べられていたのが原因でした。3章で、事例を見ます。
実際に起きているんですね……。
そうなんです。ただ、原因を見ると防ぎ方も分かりますよ。
国が加熱を呼びかけている
厚生労働省の飲食店向けの掲示資料には、「特に細かい肉を固めた『成形肉』などは、中心部までの加熱が必要です」と書かれています。


国が名前を出して注意しているので、不安に感じやすいものです。4章で、加熱の目安を紹介します。
名前を出して注意されていると、こわく感じます。
注意の中身は「中まで焼く」です。やることははっきりしていますよ。
成型肉は結着などの加工処理をした肉


成型肉とは、どんな肉なのでしょうか。厚生労働省の通知で確かめました。
通知では、テンダライズ処理、タンブリング処理、他の食肉の断片を結着させ成形する処理、漬け込みなどを行った食肉と、挽肉調理品をまとめて、「結着等の加工処理を行った食肉」としています。


成型肉は、そのなかの1つなんですね。
そのとおりです。ほかの処理も、同じ扱いになっていますよ。
表面の汚染が内部に広がるおそれ
通知は、こうした処理をした肉を、「病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれのある処理」を行ったものとして、ふつうの肉とは別に扱っています。
肉を切ったり固めたりすると、中心部まで加熱しないと安全とはいえないということです。
かたまりの肉とは、扱いがちがうんですね。
そうなんです。だから、焼き方の決まりも別にあるんですよ。
ハンバーグも同じ扱い
通知では、挽肉調理品も同じ「結着等の加工処理を行った食肉」に入っています。
ハンバーグを中までしっかり焼くのと同じように、成型肉も中まで焼くと覚えておくと分かりやすいです。ハンバーグについては、マルシンハンバーグの記事でも紹介しています。
ハンバーグと同じと考えれば、分かりやすいです。
そのとおりです。表面だけ焼いて中が赤いままは、避けましょう。
成型肉の加熱不足で食中毒が起きている


成型肉による食中毒は、実際に起きているのでしょうか。厚生労働省の資料で確かめました。
結果、2009年に28人、2013年に6人の腸管出血性大腸菌O157の食中毒が、成型肉の加熱不足によるものと報告されていました。


どちらも、ステーキだったんですね。
そうなんです。ステーキに見えるので、表面だけ焼いて食べやすいのかもしれません。
2009年は角切りステーキで28人
厚生労働省の審議会資料によると、2009年8月から9月に、チェーン店の角切りステーキを食べた人にO157の集団発生がありました。
症例の定義に当てはまったのは28人で、ステーキ用の成型肉から、患者と同じ型のO157が検出されています。資料は「汚染された成型肉が不十分な調理状況で提供されたために、広範囲で発症者が発生した」と考えられるとしています。
同じ型の菌が、肉から見つかったんですね。
はい。汚染の原因は確定できなかったものの、加熱不足が重なって広がったとされていますよ。
2013年は牛成形肉ステーキで6人
厚生労働省の通知には、2013年に下関市などで起きた事例ものっています。牛成形肉を原料とする「ステーキ」を食べた6人が、O157の食中毒になりました。
原料は、タンブリング・成形・冷凍・カットした牛肉でした。通知は「加熱不十分な状態で提供されたために引き起こされた食中毒であると推定される」としています。
4年たっても、同じような食中毒が起きているんですね。
そうなんです。だからこそ、国は通知でくり返し注意しているんですよ。
中心部を75℃で1分間以上加熱する


では、どのくらい焼けば安全なのでしょうか。厚生労働省の資料で確かめました。
飲食店向けの掲示資料には、「中心部まで、75℃で1分間以上加熱すれば、腸管出血性大腸菌などの病原微生物は死滅します」と書かれています。


中心部の温度が大事なんですね。
そのとおりです。表面の焼き色ではなく、中心部で考えましょう。
中心部の色が変わるまで焼く
同じ資料では、「中心部まで十分に火が通り、中心部の色が変わるまで、加熱してください」とされています。
家で焼くときは、切って中心部に赤い部分が残っていないかを確かめると安心です。
温度計がなくても、色で確かめられるんですね。
そうなんです。分厚い肉ほど、中まで火が通るのに時間がかかりますよ。
自分で焼く店では案内を見る
通知では、客が自分で焼く店について、処理をした肉であることと、必要な加熱の具体的な方法を、店が客に伝えるよう求めています。
鉄板で自分で焼くタイプの店では、店の案内どおりに中まで焼いてから食べることが大切です。
自分で焼くときは、つい早く食べたくなります……。
気持ちは分かります。でも、中まで火が通ったのを確かめてからにしましょう。
表示の「あらかじめ処理してあります」で見分ける


スーパーで買うときは、成型肉かどうかをどう見分ければよいのでしょうか。食品表示基準で確かめました。
こうした処理をした食肉には、処理を行った旨と、飲食に供する際に全体を十分に加熱する必要がある旨を表示する決まりがあります。


表示を見れば、分かるんですね。
そのとおりです。書き方の例も、基準にのっていますよ。
処理を行ったことが書かれる
食品表示基準では、処理を行った旨を示す文字の例として、「タンブリング処理」「ポーションカット」が挙げられています。
パックの表示にこうした言葉があれば、加工処理をした肉だと分かります。
見慣れない言葉ですが、目印になりますね。
はい。カタカナの処理名が書いてあったら、焼き方に気をつけましょう。
十分な加熱が要ることも書かれる
加熱が必要なことを示す文言の例は、「あらかじめ処理してありますので中心部まで十分に加熱してお召し上がりください」などです。
この表示があれば、中心部までしっかり焼くのが基本です。ハムやソーセージなどの加工肉との違いは、加工肉の記事で紹介しています。
「あらかじめ処理」という言葉を探せばいいんですね。
そのとおりです。買うときに、ひと目確かめてみてください。
成型肉のよくある質問


ここまでの内容をふまえて、成型肉について多い疑問にまとめて答えます。
気になる質問だけ拾い読みしてください。
成型肉は体に悪いですか
国の資料で注意されているのは、加熱が足りないことによる食中毒です。成型肉は汚染が内部に広がるおそれがあるため、中心部まで十分に加熱して食べることが求められています。
成型肉をレアで食べてもいいですか
すすめられません。厚生労働省は、細かい肉を固めた成形肉などは中心部までの加熱が必要としています。
どのくらい焼けば安全ですか
中心部まで75℃で1分間以上加熱すれば、腸管出血性大腸菌などの病原微生物は死滅するとされています。中心部の色が変わるまで焼くのが目安です。
成型肉かどうかはどう見分けますか
パックの表示を確かめるのが確実です。「タンブリング処理」などの処理を示す文字や、「あらかじめ処理してありますので中心部まで十分に加熱してお召し上がりください」などの文言が書かれています。
ハンバーグも同じですか
厚生労働省の通知では、挽肉調理品も成型肉などと同じ「結着等の加工処理を行った食肉」に入っています。中までしっかり焼いて食べましょう。
自分で焼く店で気をつけることは
店の案内どおりに、中まで火が通ったことを確かめてから食べましょう。通知では、店が客に必要な加熱の方法を伝えるよう求めています。
成型肉は体に悪いかのまとめ


成型肉は体に悪いのかを、厚生労働省の通知と調査報告、食品表示基準で確かめてきました。
答えは「汚染が内部に広がるおそれがあるため、生焼けが危ない肉。中心部を75℃で1分間以上加熱すれば病原微生物は死滅する。表示の『あらかじめ処理してあります』が見分ける目印」です。
- 肉の断片をくっつけて形を作った肉
- 汚染が内部に広がるおそれがある
- 2009年・2013年に加熱不足の食中毒
- 中心部75℃で1分間以上が加熱の目安
- ハンバーグなどの挽肉料理も同じ扱い
- 表示の「あらかじめ処理してあります」を見る
中心部まで焼けば病原微生物は死滅する。表示を見て、中まで焼くというのが、今回いちばん大事な点でした。
避けるより、焼き方を気をつければいいと分かりました。
そのとおりです。成型肉かどうかを確かめて、中まで焼く。これがいちばん大きなポイントですよ。
次にステーキ肉を買うときは、パックの表示を見てみてください。
成分ラボでは身近な食品を、国の資料をつき合わせて1つずつ調べています。ほかの肉の記事も、あわせてどうぞ。






本記事の加熱の目安は厚生労働省の飲食店向け掲示資料、結着等の加工処理の範囲と2013年の事例は厚生労働省の通知(2013年12月25日)、2009年の事例は厚生労働省の審議会資料(2010年3月)、表示のルールは食品表示基準によります(2026年10月21日確認)。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。食中毒が疑われる症状があるときは、早めに医療機関を受診してください。







